http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4627664710
本日の一冊は、東京大学大学院の教授であり、エンジニアリングの失敗事例に詳しい著者が、膨大な失敗事例を研究した結果発見した、「41の失敗パターン」を紹介したものです。
驚くことに、エンジニアリングに関する事故は、必ずこのパターンにはまるらしく、この41パターンを知っておけば、失敗は未然に防げるというのです。
テーマはエンジニアリングとはいえ、内容を読む限り、ビジネスにも十分適用できる考え方で、実際、事例のほとんどはテレビや新聞で取り上げられた、有名な民間企業の失敗事例です。
専門的な記述も確かに見られますが、タイタニック号や歌舞伎町雑居ビル火災、雪印の集団食中毒など、世間を騒がせた大事件の数々とその構造を概観できるという点では、「買い」だと思います。
著者によると、「人は誰でも同じような失敗をする」そうですが、失敗に学んで改めなければ、まったく進歩がありません。
つまらないことで損しないためにも、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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過去の事故の知識から一般的な上位概念を抽出できると、後で日常の失敗予防に応用できる
多くの人が死んだり怯えたりするような大事故・大事件は、突然に偶発的に予兆なしに発生することはない
◆大惨事に至る連鎖反応は、最後が「逃げる暇が(手立ても)ない」で終わる
・タイタニック号:救命ボートの不足が大惨事を招いた
・大惨事の有名火事:燃焼面積が大きい火事ではなく、脱出方法がない火事
◆敦賀原発2号機の熱交換器から一次冷却水漏れ
・複雑なシステムの恐さ
わずか1mmの隙間変化や隙間偏心が12年もの間、熱応力の振動を発生させ続け、致命的な事故を引き起こした
◆カネミ油症事件 脱臭缶加熱コイルからPCBが米糠油に漏出
食品のプロセスには、間接的でも有毒物質を用いるべきではなかった
◆想定外の制約 ― 特殊使用
事故が生じてから「君の設計が間違っていた」と責められても、「まさかそんな使い方をするとは思わなかった」という感想が、設計者から吐露されてくるような失敗
◆逆流
水や空気、電流などが設計していた方向と逆に流れると、設計者が逆流を考えていなかった分、大事故に至る(中略)逆は起こるはずがないと思い込む”心理的障壁”が思考回路をはずしてしまう
◆脆弱構造 事例:世界貿易センタービル崩壊
1本の「心棒」を抜いたら全部がバタバタと崩壊するような構造
◆フィードバック系暴走 事例:六本木ヒルズの回転ドア
センサは壊れるものであり、偽信号を出すものである。その不良が起こっても、最後は暴走してきたものを受け止めるエンドストッパや、暴走してきたもの自体が自壊するようなファイルセーフが不可欠
◆産業連関
最初の素材を作っているエンジニアには、最終製品が見えない。見えないというのは、最終製品の要求機能がわからない、ということである。最初から要求機能がわかっていたら、回避するのは簡単であったという事実は各失敗事例で確かめられている
◆コミュニケーション不足
一緒に仕事をしている相手にちょっと連絡を入れて確認しておけば、防止できたトラブルは多い。恐いのは慣れである
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『失敗百選 41の原因から未来の失敗を予測する』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4627664710
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■目次■
第1部「失敗百選」とは何か
第2部「失敗百選」を学ぶ
タイタニック号の沈没
美浜原発の冷却水漏れ
カネミ油症事件
スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発
自動販売機で下敷き
「ポケモン」パニック
タコマ橋の崩壊
スーパーカミオカンデの連鎖破壊
青函連絡船洞爺丸の沈没
コンコルドの墜落
歌舞伎町雑居ビル火災
ニューヨーク世界貿易センタービル崩壊
チェルノブイリ原発の爆発
雪印製品の集団食中毒
狂牛病
スリーマイル島原発の破壊
信楽高原鉄道の正面衝突
地下鉄サリン事件
そのほか、計178事例
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