【通販の歴史とチャンスがこの一冊でわかる】
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本日の一冊は、テレビ東京系列の通販会社の社長であり、テレビ通販に詳しい石光勝さんと、日本通信販売協会理事、日本ダイレクトマーケティング学会理事を兼任する柿尾正之さんとが、共著で通販の歴史・展望をまとめた一冊。
日米の通販の発展の歴史と、販売手法の進化、大手通販会社の成功要因など、通販の歴史をまとめて俯瞰できる、資料価値の高い内容です。
アメリカの「通販の父」はじつはベンジャミン・フランクリンだったという話や、通販が種苗から発達したという話、シアーズ、モンゴメリーの発展、太平洋戦争直後の日本で流行った「リーダーズ・ダイジェスト」など、知られざる通販の史実が続々登場。
現在隆盛を極めている大手通販会社の成り立ちや、飛躍の理由、販売手法の開発の話などは、読んでいるだけで知的好奇心と起業家精神を刺激します。
また、最近の情報に関しても、15歳以下の女子小中学生の利用者が急速に増えている話や、ファッション・ショッピング・モールとして成功しているZOZOTOWN、ネット版アウトレットのギルトなど、トレンドがきっちり押さえられています。
後半のネット通販の部分は、割と知っている内容が多く、退屈しましたが、全体としては、よくまとまっています。
通販業界の研究をしているコンサルタントや銀行員、就活生はもちろん、通販の手法を自社のビジネスに適用したい経営者にも、おすすめの内容です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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2008年度の通販業界の総売上は、日本通信販売協会(JADMA)の調べによると4兆1400億円に達しています。小売業全体の売上がここ5年連続してマイナス成長をつづけているのに、前年度比6・7%増と好調そのものです
女性の通販利用率は72・0%もあり、特に30代では84・4%に達している
急激な伸びの要因の一つには、15歳以下の女子小中学生の利用者が急速に増えていることがあるとあります。たとえば商品単価200円から300円の指輪やネックレスをケータイ通販でまとめ買いする小中学生がさほど珍しくはなく、その平均の購入額は2000円ほど。支払方法は半分以上が代引きだが、実際は玄関先で母親が支払うケースが多い
「通信販売」という言葉ができたのは明治末期のことで、生みの親は「今日は帝劇、明日は三越」という名コピーを残した三越の宣伝部長、濱田四郎さん
通販の先達国アメリカで通販の祖と言われているその人の名は、ベンジャミン・フランクリン(中略)彼は1774年に、『知識と科学の主な分野の600冊の本』というカタログを発行しました
1円切手でおなじみの前島密によって郵便制度が創設されたのが、1871(明治4)年。その5年後には、日本初の通販がお目見えしていました。1876年に創刊された『農業雑誌』のなかで、アメリカ産のトウモロコシの種が売られていたのです(中略)この『農業雑誌』の発行者は農学者の津田仙(中略)のちに津田塾女子大の創立者になった津田梅子は彼の次女です
「あったら重宝」の性格をもった日本の通販は、日常生活の必要品ではなく、むしろ付録のような商品を追いかけることになります。のちのち「鼻が高くなる」「背が伸びる」といった珍奇なアイデア商品が生まれるわけです。当然、事業も一発屋の性格が強くなる
顧客の目が自分の好みに特化した商品に向けられるようになると、それでは物足りなくなります。そこでこぞって総合からスペシャルへと、商品や訴求対象を細分化する方向を目指したのでした
際立って業績を伸ばして行った会社は、元をただすと、どれもが頒布会とか職域販売から出発しているのです
セシールは、92年度の売上高で通販会社として初めて年商2000億円を超えました。これは業界の記録で、その後もこの大台に達したところはありません
カタログハウスを異端とするわけは、発行する『通販生活』に、他の通販カタログにない二つの特徴があるからです。一つは有料であること、もう一つは読み物の頁が多いこと
なぜネット通販をしたのか、その利用目的をみると、「近所の店で売っていないから」が76・3%
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『通販「不況知らず」の業界研究』石光勝、柿尾正之・著 新潮社
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◆目次◆
第1章 始まりは西部劇の世界
第2章 昔も今もベースは「紙」
第3章 セールスマンは「公共の電波」
第4章 一人と世界をつなぐ
第5章 ポケットの中の百貨店
第6章 通販2.0の方向性と未来
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