2026年3月12日

『自由より自在に生きる』 内田樹、近内悠太・著 vol.6922

【内田樹×近内悠太 生き方の哲学を語る。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866803630

本日ご紹介する一冊は、思想家・武道家のの内田樹さんと『世界は贈与でできている』の近内悠太さんによる対談本。

『世界は贈与でできている』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4910063056

近内さんにとっては、これが初の対談本だったらしく、本書では、その緊張感やたどたどしさが表現されており、じつに新鮮な読書体験をすることができます。

著者の内田さんが言うように、話題はあっちこっちに飛び移り、贈与論から武道の話、アメリカの政治の話、映画の話まで、本当に多岐にわたります。

ただ面白いのは、そのすべてに、われわれが良い社会を作るためのヒント、これからの時代を自在に生きるためのヒントが書かれていること。

なぜ、今の時代に「自由」ではなく、「自在」なのか。

近内さんの言葉を引用しながら説明しましょう。

<「自由」と「自在」には違いがあって、導かれたものに上手く乗るのが、僕の中での「自在」の感覚です>

変化の激しい時代には、導かれたものに上手く乗るのがいい。

「自由」を約束され、不安な状態でいるよりも、こちらの方がずっと今の時代に適応できる。

なるほど、自在っていいですね。

そして本書は、現在停滞している日本、日本人に、「居着かない」ことの大切さを教えてくれます。

「居着く」というのは、武道の言葉で、<自分が自分に釘付けにされている>状態のこと。

具体的には、<足裏が地面に貼りついて身動きができない状態>のことです。

居着いてしまえば、次のアクションを取ることができない。できたとしても遅れる。

そうならないためには、著者らが言うように、「自在」であることが大事。

ちなみに自在というのは、<いるべきときに、いるべきところにいて、なすべきことをなす>ことだそうです。

なんだか、できるサッカー選手の動きに似ていますね。

一寸先が読めない現代にあっては、この「自在」という概念は、極めて有用。

ぜひ、「自在」になるための思想を学んでみてください。

さっそく、本文の中から気になる部分を、赤ペンチェックしていきましょう。

—————————-

居着けば必ず後手に回る。後手に回れば必ず負ける。だから、相手に居着かない。勝ちや技に居着かない。それが武道修行のさしあたりの目標です(内田氏)

平等を強調し過ぎると、社会は停滞します。自由を強調し過ぎると、社会は競争的で苛烈になります(内田氏)

「自由」と「平等」の間に入って、これを調整するのが「友愛」の原理(中略)ただし、友愛も強調し過ぎると、身内だけが大事という「身内ファースト」主義に陥るリスクがある(内田氏)

「自由」と「自在」には違いがあって、導かれたものに上手く乗るのが、僕の中での「自在」の感覚です(近内氏)

一日ディスプレイに向かってキーボードを打っている人間は、「労働がもたらした価値あるもの」を自分の眼で見ることができません。仕方がないので、「いかなる商品を買ったか」を通じて、自分がどんな人間であるかを示すようになった(内田氏)

どこまでが「身内」かを決めるのは、その人の社会的な力なんです。非力な人は「身内」が少ない。力が大きくなると、「身内」の範囲が大きくなる(内田氏)

「文明とは何よりも共同生活への意志である」とオルテガは断言しています。純粋を求める分断が「野蛮」、他者との共生をめざすことが「文明」。このオルテガの定義に従うなら、今の日本はまっすぐに「野蛮」に向かっていると言っていいでしょう(内田氏)

「悪」は既成制度を破壊したり、人々が価値あると信じているものを否定したり、規範を破ったりすることはできるけど、自力で新しいものを作ることができない(内田氏)

他者を理解する、知性がドライブするには矛盾を排除するのではなく、むしろ矛盾の発生地点に立って僕らは考え始める必要があるのかなと(近内氏)

知的達成というのは、他者に手渡されなければならない(近内氏)

贈与されたものは退蔵してはいけない。退蔵すると「何か悪いこと」が起きて、場合によっては死ぬ(内田氏)

価値あるものを誰かが私物化して、独占すると、その集団は遠からず滅びる。だから、価値あるものは公共財として共有する(内田氏)

ぜひ日頃から「驚く」訓練をしてほしい。四季のうつろいや人心の変化に日々「驚く」ことで、さまざまな出来事の予兆に気づける。そうしておけば、世の中の人が「驚かされて」腰を抜かすときに、もう対処を済ませていられる(内田氏)

—————————-

社会のあり方や個人のあるべき生き方について、いろいろと示唆が得られる内容で、現在の日本に感じている閉塞感が、一気になくなる印象を受けました。

個人、社会が良い方向に成長するために、欠かせない思想が書かれています。

ぜひ、読んでみてください。

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『自由より自在に生きる』
内田樹、近内悠太・著 フォレスト出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866803630

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0GRZSJ1ZB

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◆目次◆

INTRODUCTION
(1)愉快に生きるとは?
(2)自由よりも「自在」に動く
(3)愉快な身体の共振
(4)私たちの社会に必要な「贈与」
CONCLUSION

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