2025年12月10日

『あなたは他の人とはちょっと違うみたいだ』 松本健太郎・著 vol.6861

【数値に基づいたセルフブランディング設計】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4620328367

本日ご紹介する一冊は、データサイエンティスト、マーケターとして活躍する著者が、自らの著者としての成功体験から、セルフブランディングの戦略、戦術を語った一冊。

北の達人コーポレーションの木下勝寿社長が、「セルフブランディングは”虚飾”ではなく”設計”だった」と、本書を絶賛しています。

緻密なロジックとデータに基づくアプローチで、これまでのセルフブランディング本にはなかった視点が織り込まれています。

例えば、64ページにある「令和2年国勢調査職業別就業者内訳」。

これを見ると、「事務従事者」が1175万人で圧倒的に多いことがわかります。

では、マーケティングスキルを必要とするビジネスパーソンのうち、書籍を買って勉強する人は一体何人いるのか。

著者はこれを、厳しめに見て141万人、緩めに見て241万人と算出しています。

本書で示された各種データを見ていると、あなたがどこでポジションを取れば売れるのか、勝てるのかが見えてくる。

これが本書の類書にない魅力でしょう。

本書ではまた、競合と戦うためのブランディングの考え方を示しており、極めて実践的です。

<競合とは違う「差別化ポイント」や競合にはない「独自性」を設けるだけでなく、特定のカテゴリーにおいて競合と一緒に思い出して貰う「類似ポイント」を設けること>

<競合の相違点を同質点として取り込み、自分の相違点が競合の脱落点になるように仕向けるのが重要>

など、とかく差別化ばかりが強調されるマーケティング、ブランディングの世界にあって、現実的な闘い方を示した点が特徴です。

著者自身のキャリアが、この戦略に基づいて立てられているため、極めて説得力があります。

土井も「セルフブランディング」というカテゴリーでは競合になるのですが、これは読んでおいて損のない一冊。強く読むことをおすすめします。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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稀少性と、人材として需要・ニーズがあるかどうかは別の話

目の前に100人の客がいたとしたら、100人全員に買っていただくために差別化を行うのであって、「これは私向きじゃない」と買う気を削ぐために差別化を行うのではありません

唯一無二の独自性をもって「○○と言えばあなた」という連想が成立したとき、周囲に存在感が強く刻み込まれます

10秒以内で周囲に一瞬で伝わる100点ワードが多ければ多いほど、あなたのセルフブランディングは成功します

同じ商品・サービスであっても「誰向け」なのかで、価値は大きく変化します

「何か凄そう」を求めるメディアにとっては「マーケター」より「データサイエンティスト」が解説したほうが、視聴者から見て価値が高いと気付いた

■階段の法則
たとえば書籍なら、内容を理解するのに高度な知識が求められたり、文章が難解で内容を咀嚼するのに時間がかかったり、解説している内容が極めて専門的で興味を持つ人が少なかったりすると、壁が何個も生まれて、階段が出来ます。階段を昇るのは辛い作業ですから、昇れば昇るほど顧客は息切れして、付いていけなくなります。つまり、規模感が小さくなるのです

「何人くらい存在するのか?」を定量的に見積もる

アイデアを尖らせても、対象となる顧客を尖らせ(狭め)てはいけません

「選ぶ対象」にも興味はあるし、さらに対象の競合を含むジャンル全般にも興味があるファンの存在を忘れてはいけません

10種類のコーヒーのうち、「その商品のみを購入している」と回答した人数を洗い出してみました。結果は1599人(23.05%)でした

10種類のうち複数のコーヒーを購入している方は2829人(40.78%)でした

もし自分の「魅力」が最大限に活かせる「場面・状況」が見つけられれば、絶対に勝てる

何か1つのスキル・能力に特化し過ぎると、その領域の案件が発生しない限りはまったく思い出して貰えない可能性が高い

競合とは違う「差別化ポイント」や競合にはない「独自性」を設けるだけでなく、特定のカテゴリーにおいて競合と一緒に思い出して貰う「類似ポイント」を設けること

競合の相違点を同質点として取り込み、自分の相違点が競合の脱落点になるように仕向けるのが重要

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データサイエンティストを名乗る著者だけに、数字を用いたセルフブランディングのアプローチがユニークで面白い。

切り口や言葉を変えるとどうマーケットが変わるのか、実感しながら読めると思います。

自分のブランドを構築したいと考える人には、ぜひ読んでいただきたい実践的な一冊です。

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『あなたは他の人とはちょっと違うみたいだ』
松本健太郎・著 毎日新聞出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4620328367

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0G2F8JKBM

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◆目次◆

はじめに
第1章 思い通りにいかないが、諦めたくもない人へ
第2章 自分をプロデュースする技術
第3章 「個」の理解と「群」の理解
第4章 どんな場面や状況なら選ばれやすいか
おわりに

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