【勝負勘を養う経営者のための本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163920471
本日ご紹介する一冊は、8000億円企業を作り上げ、2026年に引退を決めた、サイバーエージェント創業者、藤田晋さんによるエッセイ。
『週刊文春』の連載「リーチ・ツモ・ドラ1」(2024年5月16日号から2025年9月4日号)をベースに一部加筆修正したもので、何と本人が直接書いています。
麻雀、高級ワイン、馬主、サッカーチームのオーナーなど、華やかな部分を隠すことなく書いているので、誰かが言うように、「自分の人生が充実していないと嫌味な本に見える」本ではありますが、経営においては、勉強になる部分が多いと思います。
勝負所をどう見極めるか、ゲームのルールをどう理解して攻略するか、組織をどうやる気にさせるか、どうやってリスクを減らすか…。
著者の日々のエピソードが中心の内容ではありますが、そこから得た気づき、過去の重大な意思決定の場面を振り返ってどう考えるか、著者自身の言葉でつづられています。
小学校の頃、将来の夢に「作家になりたい」と書いていたという著者だけに文章は面白く、たわいない話もぐいぐい読んでしまいます。
ビジネスパーソンとして参考にしたいのは、著者がどんな時にも長期目線、全体目線を崩さないこと。
後半に麻雀の秘訣としてまとめてある、「主観、客観、俯瞰」の3つをまさに体現した経営をしていることがわかり、まさに勝てる人間の思考法が備わっているのだと思いました。
過去にいざこざのあった人間との和解、損得抜きで観まくった映画から学んだこと…。
見出しにあるように、「過去の経験はすべて糧になる」と言えばそこまでなのですが、どうやって著者が経験を強さに変えているのか、その真髄がわかる内容でした。
経営であれ株であれ、ゲームであれ、勝負に勝ちたいすべての人におすすめしたい内容です。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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麻雀において重要なのは、期待値の高い、つまりリスクが小さくて大きなリターンが見込める「チャンス」が目の前に現れた時に大きく勝負に出ること。普段は手堅く打っていたとしても、その時ばかりは腹を決めて勝負する度胸が必要だ。サイバーエージェントのビジネスに即して言うと、スマホが世の中に出てきた時がまさにそうだった
「麻雀というのは、みんなで同時に水を張った洗面器に顔を突っ込んで、最後まで顔を上げなかったやつが勝つ」(桜井章一)
みんな、自分のタイミングで勝負して自滅する
そもそも麻雀というのは4人でやっているわけだから、上がれる確率も大体4分の1だ。つまり4回に1回しか上がれないのにせっせと自分の手牌を作り上げていく。確率を意識すれば、4回に3回は防御のために手を崩して降りていてもおかしくない。それなのに打っているとなぜか毎回勝負したくなってくる。この気持ちを抑えなければいけない
昔、大王製紙の社長だった友人の井川意高さんと話していた時、彼がこんなことを言っていた。「藤田くん、飲み食いで潰れた会社というのはないんだよ。潰れるのは、だらしなく事業をだらだらとやっている会社なんだ」
私も会社を起業したばかりの20代の頃はイケイケどんどんで、前に出ることしか考えていなかった。だけど「撤退戦」の大切さに気づけたからこそ、長く生き残れたのだと思う
お人好しの人は麻雀が強いことはまず無いと言っていい。逆に疑い深い人もたいして強くない。お人好しな人はすぐ騙されて振り込んで失点するし、疑い深い人はまっすぐ行くべき場面で加点を取り逃すからだ
経営においても、私は常に「先手必勝」を意識してきた。ヒト、モノ、カネ、全てそうなんだけど、分かりやすいのはカネだ。資金は常に先に調達を済ませておく。資金調達環境は、変化が激しく、ベストなタイミングがイコール調達したい時とは限らない。自分たちがどうしても必要な場面で調達を検討すると、「今、調達する」の一択になる。それが足元を見られる要因となってしまう
ツイている時、追い風が吹いている時は、手を緩めず一気に刈り取らなければならない。それは麻雀から学んだことだ。麻雀が強いドン・キホーテの安田隆夫創業会長も、「得られる果実を完全に収穫できなかった時、地団駄踏んで悔しがる人が本当の勝負師である」と仰っている
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華やかなプライベートに嫉妬するタイプの人は、読まないことをおすすめしますが、「自分もこうなれるかも」と思える人、「強くなりたい」「勝ちたい」と思う人には、推せる内容です。
ぜひ読んでみてください。
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『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』
藤田晋・著 文藝春秋
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◆目次◆
はじめに
CHAPTER1 リスクを見極める眼
CHAPTER2 Z世代を見極める眼
CHAPTER3 社交を見極める眼
CHAPTER4 勝負を見極める眼
CHAPTER5 投資を見極める眼
CHAPTER6 企画を見極める眼
CHAPTER7 組織を見極める眼
CHAPTER8 社長を見極める眼
おわりに
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