【わかる。面白い。】
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本日ご紹介する一冊は、「AIを超える衝撃がやってくる」と注目される、「量子コンピュータ」の基本について、この分野の第一人者である、大阪大学大学院基礎工学研究科教授の藤井啓祐氏がまとめた一冊。
株式会社QunaSysの最高技術顧問も務める方なので、ビジネスパーソンにとってもわかりやすく説明されているのが特長です。
「量子力学一〇〇年史」と題した1章で、量子力学を発展させてきた物理学者たちの発見の歴史を概観し、半導体や量子コンピュータの基礎知識を解説。
量子力学の父マックス・プランクやアインシュタイン、ヴェルナー・ハイゼンベルク、江崎玲於奈などの偉人と、彼らの功績について、素人にもわかりやすく紹介されています。
本書を読まなければ、江崎玲於奈の功績や、2025年のノーベル物理学賞を受賞した3名の研究が、量子コンピュータの最も重要な部品「超伝導量子ビット」とつながっているなんて一生わからなかったかもしれません。
2章で「量子コンピュータ革命」、3章で量子コンピュータの「五大方式」と代表的なスタートアップ企業の紹介をしています。
量子コンピュータ関連のスタートアップに投資している方は、自分の投資している企業がどの方式かくらいは理解しておいた方がいいかもしれません。
4章以降は、発展途上の量子コンピュータにおける機会と脅威を説明しており、当該テーマがどこまで有望か、冷静に見極めるための材料を提供しています。
技術面から、どの方式が有望か、どんな事業が有望か、どの企業が有望か判断できるので、投資的な側面から見ても、下手な経済アナリストが書くより説得力があるでしょう。
文系人間にはこれ一冊でお腹いっぱいですが、もっと深く知りたい人には、「巻末作品案内」(=書籍紹介)「量子余話」が載っており、さらに勉強を深めることができます。
個人的には、これで最先端の話題についていけると思い、本当に読んで良かったと思える内容です。
ぜひ、読むことをお勧めします。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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物理学者である佐藤文隆先生の言葉が印象に残っている。
「不思議とは古い理論への執着、工学とは不思議を制御し応用すること」
自然を、自然の言葉である量子力学の原理で”計算”できる機械。それが量子コンピュータだ
たとえば、光は粒子のようにも振る舞い、逆に電子などの粒子は波のようにも振る舞う。これら「粒子」と「波」の性質を併せ持ったものを「量子」という。この二重性を基盤とし、ミクロの世界を統一的に説明する自然界の最も基本的な物理法則が「量子力学」である
世のなかには、金属と絶縁体の両方の性質を切り替えることができる半導体という性質を持った物質が存在する。これは、禁止帯の幅が小さくなるように制御された物質であり、外部からの電圧などの刺激を与えると、電子が禁止帯を乗り越えて電流が流れるという性質を持った物質である。この半導体を用いることによって、電流を流れやすくしたり、逆に抵抗として電流を流れにくくする機能を持った部品を作ることができる。その部品のことを、伝導(transfer)と抵抗器(resistor)を組み合わせ、トランジスタと呼んでいる
量子コンピュータの性能の要でもあるマイクロ波の発生や信号処理を行う制御装置は大阪大学で開発されている。いまは、大阪大学発スタートアップのキュエル社(QuEL)へと技術移転し、国産量子コンピュータの部品として供給されている
量子大崩壊を防ぐ最も有効な手段は、AIにおけるChatGPTのように、量子コンピュータならではの強みを活かし、その普及を決定づけるアプリケーション、「キラーアプリ」を見つけることだ。配送や交通などの最適化問題、電気自動車(EV)用二次電池のための高機能な材料の開発、金融工学への応用などが期待されている
将来的には、大規模な量子コンピュータによって複雑な触媒や化学反応を高精度かつ高速に解析することが可能となり、これまで作り出すことが困難だった新機能材料などの開発が現実のものとなるだろう
古典コンピュータでは計算が難しいような、極めて高精度な物質データを量子コンピュータなら大量に作り出すことができる。いわば量子コンピュータは、プログラムすることができる化学実験室だといえよう。そうして得られた正確なデータをAIに学習させることで、AIの性能はさらに向上する
今日では、生成AIの登場をはじめ、人工知能の進歩によってこのような知識の蓄積と創意工夫によるイノベーションそのものが効率化されつつある
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適当にお茶を濁さず、ちゃんと量子コンピュータや半導体、AIの仕組みが学べる、文系人間が理解できるギリギリの本です。
国内、海外問わず、量子コンピュータ関連のスタートアップの情報も網羅されており、ビジネスパーソンにとっては、おいしい情報が詰まった本です。
読むのは骨が折れますが、それだけの価値ある一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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『教養としての量子コンピュータ』
藤井啓祐・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆
はじめに
1章 量子力学一〇〇年史
2章 量子コンピュータ革命
3章 試行錯誤の連続
4章 実用化をめぐる激戦
5章 世界が変わる、世界を変える
6章 量子コンピュータと私たち
おわりに
巻末作品案内
量子余話
参考文献
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