2025年11月21日

『100円のコーヒーが1000円で売れる理由、説明できますか?』 橋本之克・著 vol.6849

【マーケティングで使える行動経済学】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4776214342

本日ご紹介する一冊は、「行動経済学のビジネス活用」を指導しているコンサルタントによる、行動経済学のわかりやすい読み物。

「返品無料」
「試着サービス」
「使い放題」
「まとめ買い」
「ポイント10%還元」

さまざまな企業による、「買わせる仕掛け」を解説し、なぜ人が買ってしまうのか、行動経済学的な根拠を解説しています。

著者の橋本之克(はしもと・ゆきかつ)さんは、東京工業大学卒業後、大手広告代理店、日本総合研究所、アサツー・ディ・ケイを経て、独立した人物。

現在は、行動経済学コンサルタント/マーケティング&ブランディングディレクターとして、クライアントに指導しています。

この肩書きからすると、企業サイドがどうマーケティングで行動経済学を活用すればいいかを書いていると期待させますが、実際には意思決定をする消費者サイドに寄った内容。

どうすれば企業の「仕掛け」を回避し、賢い買い物ができるか、どうすれば良い意思決定ができるか、実践的なヒントが書かれています。

もちろん、企業事例なども載っているので、マーケティングサイドに読み替えて読むことも可能です。

行動経済学本はもう出尽くした感がありますが、本書は最近のマーケティング事例を押さえつつ書かれているので、翻訳書などよりは、ずっと身近に感じられる内容だと思います。

なかでも家を買う時のヒントが実践的で、ぜひ広告やモデルルームを見て家を買う前に、読んでもらいたい。

「いい家」に住みたい人が確認すべき3つの条件
1.選択肢を広げて考えること
2.一度の判断で終の棲家を決めようとしないこと
3.自宅内で”住まい”を完結させようと思わないこと

一生の買い物で後悔しないためにも、ぜひ読んでいただきたい内容です。

コストコ、IKEAでつい買ってしまう方、通販にハマっている方も、一読されることをおすすめします。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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買い物において返品送料が無料であることは、注目される要素の一つ

tricoは「お顔の小さな女性」のために生まれたメガネブランドです。ターゲットは「メガネ屋さんに行っても顔のサイズに合うメガネがほとんどない」、「サイズの合うものは、好みのデザインじゃないことも多い」といった悩みを抱える女性です。こうした買い手のために、ネット通販サイトに「試着サービス」が用意されています。好みの商品が最大3点まで無料で配送され、1週間試すことができます。購入手続きをする必要があるものの、商品を返却すれば代金はすべて返金されるため、利用者の負担はありません

パルス型消費においては、人は「物を買おう」という意識さえもなく買い物をします

ネットのパーソナライズにより、情報が偏っているという事実を知ること

買い手に「ここでやめたらもったいない!」という思いを持たせるのは、売り手にとって、絶対的に必要な条件の一つ

クーポン券の場合は「3000円」と書かれた券が郵送されるか、またはネット上のマイページなどに格納されます。それはまるで、自分の保有物のように思えます。もし、それを使わないまま期限がくれば、そのクーポン券を失ったことになるのです。

ウィンザー効果
本人から直接発信される情報よりも、直接的な利害関係のない第三者から、間接的に伝わる情報の信頼性を高く感じる心理的傾向

徐々に、カート内のスペースを余らせていることが不自然に見えてきます。どうにかして埋めなければいけない気がしてくるのです

売り手はあなたが気づかないところで、「あなたのための商品」に見せることによって買わせようとしています。たとえば、自動車保険の広告で「年間走行距離1万km以下のあなたに」といったコピーがあります。この言葉によって、広くドライバー全体に呼びかけるのではなく、走行距離が少なく、事故率も低いドライバーに伝えようとしているのです

自動車の広告をいちばん熱心に見るのは、その車を買おうとする顧客ではなく、すでにその車を購入した顧客だという説もあります

その買い物がよかったか悪かったかは、利用した結果で判断されるべき

積み上がっていくポイントの数値は、まるで自分自身の努力を示す点数であるかのように思えます

「今」と「未来」の自分を分けて考えることが後悔をなくすカギ

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普通に読めば、賢明な意思決定をするための本、うがった見方をすれば、今時の企業が仕掛けるマーケティングの仕組みを書いた本です。

スマホ、キャッシュレスで買うのが当たり前になった今だからこそ、読んでおきたい賢い買い物のヒントです。

ぜひ読んでみてください。

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『100円のコーヒーが1000円で売れる理由、説明できますか?』
橋本之克・著 アスコム

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4776214342

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0FTLV9Y4Z

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◆目次◆

はじめに
第1章 「便利さ」が判断力を狂わせる
第2章 「損したくない気持ち」が損を生み出している
第3章 「選んで」いるつもりが実は「選ばされて」いる
第4章 「大きな選択」ほど合理的に決められない理由
おわりに
参考文献

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