【脳の回復には睡眠より刺激?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4763142488
本日ご紹介する一冊は、眠らない存在としての脳の特性に着目し、どう脳を休ませればいいか、活性化すればいいかをまとめた、画期的一冊。
著者は、脳神経外科医、医学博士の東島威史(ひがしじま・たけふみ)さん。
2019年から横浜市立大学附属市民総合医療センター助教、2022年より横須賀市立総合医療センターに「ふるえ治療センター」を設立、センター長を務める人物です。
臨床の傍ら大学の研究員として脳機能研究も精力的に行う著者が、海外論文を読み込み、自らの見解も織り交ぜて執筆したのが、本書『不夜脳』です。
本書によれば、脳の回復にいいのは睡眠ではなく、むしろ「刺激」。
加齢に伴い、若い頃より脳が老いたと感じている人に、<脳は刺激不足で老化する>と、驚きの見解を示しています。
刺激不足が与える影響について、本書では、こんな例が示されています。
<高齢者の場合、慢性的な刺激不足でドキドキしなくなると、「ぼーっとしていたら、思ったより長い時間が経っていて、1日がすぐ終わってしまう(100秒だと思ってストップウォッチを止めたら、110秒経っていた、の繰り返し)」となる>
なぜ体感時間がズレてしまうのか、改善するためにどうすれば良いか、具体的なアドバイスが示されており、良い勉強になります。
みんなが老化現象だと考えている「忘却」についても、<人は忘れることで重要な情報を「素早く」引き出しやすくしている>と、ポジティブな見解を示しています。
よく忘れて、新しいことに挑む。
<心が「ときめいている」人に、時間は多く与えられる>のが、人生後半戦の真実のようですね。
脳を刺激する活動についても、コメントがあります。
これによると、早足でのウォーキング、たまにジャンプ、筋トレ、外国語学習、読書、ゲームなどには、ポジティブな効果があるようですね。
反対に、甘いものや睡眠薬、子ども用ブルーライトカット眼鏡など、使用のリスクがあるものに関しても、ネガティブな言及がありました。
これは読んでおいて損はないですね。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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「睡眠中は脳も休んでいる」と言われるが、覚醒中も睡眠中も、脳は24時間フル稼働している可能性がある
生物のデフォルトは「休息モード」で、脳が誕生することで、「活動モード」が増えていった。つまり、脳はそもそも「活動するために新たに加わった器官」ではないだろうか?
心が「ときめいている」人に、時間は多く与えられる
高齢者の場合、慢性的な刺激不足でドキドキしなくなると、「ぼーっとしていたら、思ったより長い時間が経っていて、1日がすぐ終わってしまう(100秒だと思ってストップウォッチを止めたら、110秒経っていた、の繰り返し)」となる
「『静寂』は私にはうるさすぎた」–これは脳の特性を完璧に捉えた言葉だと思う。脳は自発的に常に活動していて、外部からの刺激が、それを”抑制している”のだ。つまり、脳は常に幻覚を作っている。ところが外部からの刺激が入ると、それを処理するために脳が活動せざるを得ないから、幻覚を見る機会を奪われるのだ
睡眠は「脳疲労」を解決しない
「忘却」とは脳の重要な機能であり、人は忘れることで重要な情報を「素早く」引き出しやすくしている
脳は「正しいこと」を丸暗記してひたすら詰め込んではいない。「ダメなこと」を捨てて、歌や言語を完成させていくのだ
早足でウォーキングし、たまにジャンプし、できれば筋トレをすることで、記憶力に良い影響を与えられる
生物は「飢餓」の状態がデフォルトモードに設計されており、「満腹」の状態は本来「異常事態」に近いのだ
「飢餓=デフォルトモード」の時間を長くする食事法の一つが「間欠的断食(インターミッテント・ファスティング)」
脳の疲れは糖質では癒やされない。甘いものを食べて活力が戻る気がするのは脳の栄養補給が行われたからではなく、「腸でブドウ糖を吸収すると、脳でドーパミンが出る」ためだ
第二言語学習の効果は、「外国語が話せるようになること」だけではない。認知症を予防するし、仮に脳卒中などで脳の機能が失われたときも、「認知予備能」により機能的な回復が早まる
側臥位の中でも右側臥位(右を下にした横向きで寝る)が、最も脳の静脈の流れがスムーズであり、グリンパティックシステムの効率も良い可能性がある
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仕組みが違う脳と身体を、それぞれどう休ませればいいか、具体的なアドバイスが書かれており、勉強になりました。
脳が好む刺激をどう作るか、脳をどうメンテナンスするかのヒントも書かれており、一生脳を使って生きていきたい人には、必読の内容です。
ぜひ、読んでみてください。
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『不夜脳』
東島威史・著 サンマーク出版
<Amazon.co.jpで購入する>
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<Kindleで購入する>
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◆目次◆
はじめに
序 章 脳は眠らない
第1章 刺激不足で脳は廃れる
第2章 脳の休息と睡眠
第3章 「疲労しらずの脳」の鍛え方
第4章 不夜脳を癒やす
おわりに
主要参考文献一覧
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