2025年9月11日

『壁打ちは最強の思考術である』 伊藤羊一・著 vol.6782

【最強の思考整理法「壁打ち」とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4868010832

本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『1分で話せ』の著者であり、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部学部長、伊藤羊一さんによる一冊。

『1分で話せ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797395230

今回の本を書くにあたって、伊藤さんのプロフィールに新たに「壁打ちの達人」という肩書きが加わっていますが、実際、多くの起業家の壁打ちに付き合ってきた人物です。

若い編集者が、音声プラットフォーム「Voicy」で伊藤さんの話を聴き、度々出てくる「壁打ち」という言葉に興味を持ち、企画した本だそうですが、面白いのは、本書自体が「壁打ち」によってでき上がった本だということ。

著者自身、最初はふわふわしたイメージだった「壁打ち」が、本書の執筆を通じて明確化され、構造化されたと、「Introduction」に書かれています。

「壁打ち」は、コンサル業界やスタートアップ界隈でよく使われる言葉ですが、実際にこの壁打ちを行うことで、思考が整理されたり、調査すべき内容が明確になったり、全く違う切り口から課題にアプローチできるようになる。

土井がプロデュースに関わった『人生がときめく片づけの魔法』や、『年収1億円思考』、15年以上続く『朝活手帳』のアイデアも、元はといえば、著者と土井の「壁打ち」から生まれたものだと言えます。

そういう意味で、土井は「壁打ち」の信奉者ですが、その信奉者の視点から、本書を強くおすすめしたい。

正直言えば、自分自身が伊藤さんに取材して、もっとディープな壁打ち本を作りたかった気もしますが、壁打ち本の入門書としては、よくできていると思います。

著者が壁打ちで使う「3つの問い」や、フェーズごとに選ぶ「壁打ち相手」のタイプ、道に迷った時に便利なフレーズなど、壁打ちする側、される側両方にとって勉強になる内容が書かれています。

「そもそも」「分かんない」は、ぜひ使って行きましょう。

いまどきの本らしく、生成AIと壁打ちする時の注意点なども書かれています。

ChatGPT、Gemini、Grok、Copilotそれぞれに同じ質問をした時の回答例は、面白いと思いました。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

—————————-

行動の前にあるもの、それはズバリ、「思考」です。それもスッキリと整った思考があることで、行動が量産されていくのだと思います

思考が整理されているということは、言葉で説明もできるということ。「実はこんなアイデアを考えていて」と周りの人にも共有できるから、協力を得られやすくなり、具体的なプロジェクトとしてどんどん動いていきます

僕自身も20年ほど前、初めてコンサルタントなる人たちに出会い、その精緻な思考に裏付けられたプレゼンテーションに圧倒されたときの衝撃は忘れられません。鮮やかなロジックに目からウロコがぽろぽろこぼれて「いったいどうやって???」と思わず聞いてみたところ、プロたちはスマートに答えてくれました。「私たちはこの1枚のピラミッドストラクチャーを完成させるために3カ月くらいかけるんですよ。それが仕事です」。再び衝撃でした。さ、3カ月!? 何に時間をかけているのかというと、ピラミッドの底辺=事象をひたすら集めているのだそうです。先入観を捨て、クライアントの課題に関連する分野で起きている事象をとにかくたくさん集めていくのだと

■著者が壁打ちで使う典型的な「問い」
「○○とは、結局なんなのだ?」
=WHAT(定義)
「なんのために○○をやっているんだっけ?」
=WHY(目的)
「○○をどう進めていったらいいのか?」
=HOW(方法)

壁打ちに必要な「3つの問いかけ」
「SO WHAT?(それで?)」
「WHY?(なぜ?)」
「TRUE?(本当にこれでいいんだっけ?)」

イシューだけは決めておくのが壁打ちの基本

ゼロ地点の壁打ちに最適なパートナーは、ズバリ「聞き上手」

踊り場の壁打ちの口火を切るキーワードは「そもそも」

踊り場の壁打ちをお願いするときには、より専門的な知識を持った人がベター

■心理的安全性のある人の特徴
・話の腰を折らない
・否定せずに「なるほど」と一度受け止めてくれる
・「それで?」「ほかには?」と話を促してくれる
・秘密を守ってくれる
・リアクションがやわらかい

有識者との壁打ちでは、仮説を聞いてもらう

実際にはある程度理解できていたとしても、少しでも消化できていない部分があれば、「ちょっと分かんないな」と返すのがおすすめです。ここで”分かったふり”をすると、相手の思考が止まってしまいます

—————————-

本書をきっかけに、いろんな企業・職場で「壁打ち」が流行ると、日本の生産性はもっと高まると思います。

ただ、その際に大事なのは、リーダーの「衆知を集める」姿勢と、職場の心理的安全性かもしれませんね。

心理的安全性についても、記述があるので、ぜひ読んでみてください。

———————————————–

『壁打ちは最強の思考術である』
伊藤羊一・著 飛鳥新社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4868010832

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0FH4FJQH8

———————————————–

◆目次◆

Introduction
第0章 仕事がデキる人は「思考」をしている
第1章 すべての人が壁打ちをすべき7つの理由
第2章 壁打ち実践編1 プロジェクトのはじまりに壁打ちする
第3章 壁打ち実践編2 プロセスの途中で壁打ちする
第4章 壁打ち実践編3 ふり返りながら壁打ちする
第5章 壁打ちをアップグレードするテクニック10選
第6章 いつかあなたに「壁打ちしたい」という人が現れる
第7章 壁打ちと共に人生が豊かになった
終章 僕たちは壁打ちしながら生きている

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー

    2025年9月
    « 8月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930