【読んでもらえる文章の心理学】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478114927
本日ご紹介する一冊は、『GRIT やり抜く力』のアンジェラ・ダックワース、ハーバード大学のアーサー・C・ブルックス教授、そして何より強烈なのは、あの社会心理学の名著、『影響力の武器』のロバート・チャルディーニ氏が推す文章本。
『GRIT やり抜く力』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478064806
『影響力の武器』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4414304296
忙しい読み手が文書をどう処理するのかを科学的に理解することから生まれる、合理的な文章術と、執筆の注意点を説いた、画期的な一冊です。
本書によると、人間の脳は忙しい時、以下の2つのショートカットをするそうです。
1.「コントラストが激しい要素」に真っ先に気づく
2.「選択的注意機能」をどこかに向ける
これは逆に言えば、コントラストの効いていない情報、意識していない情報はスルーしてしまうということ。
これだけでも読む価値があります。
さらに本書では、人間が「文章」と「文体」など、複数の要素に注意を払うことが難しい「ストループ効果」、読み手が行動しない「3つの理由」、文章を書く際の「6つの原則」など、実践的な情報を数多く紹介しています。
元々英語だった文章を日本語に翻訳しているので、その点のぎこちなさは多少ありますが、それでも読んでもらえる文章の秘訣、工夫すべきポイントはよく理解できるでしょう。
手っ取り早く文章の書き方のノウハウを学びたいという方は、PARTIIにまとめられた「6つの原則」(一番紙幅が割かれている)を詳しく読むといいと思います。
6つの原則
1.少ないほどいい
2.読みやすくする
3.見やすくする
4.書式を生かす
5.読むべき理由を示す
6.行動しやすくする
社内文章を書く方、商業コピーを書く方、どちらにも役立つ、読んでもらえるポイントが書かれており、じつに勉強になります。
ぜひ、読んでみてください。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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脳がもっとも効率的に機能するのは明確な「基準点」があるとき
流し読みに加えて、忙しい読み手は「探し読み(スキャニング)」という予備的な時短戦略も使う
読み手が行動しない「3つの理由」
1.依頼の内容が理解できないから
2.それが重要な行動や必要な行動だと思っていないから
3.行動を先延ばししたくなってしまうから
6つの原則
1.少ないほどいい
・「言葉」を減らす
・「内容」を減らす
・「依頼の数」を減らす
2.読みやすくする
・「短くて一般的な言葉」を使う
・「ストレートな文章」を書く
・1文を「短く」する
3.見やすくする
・重要な情報が「一目でわかる」ようにする
・別々の内容は「分けて」書く
・「関連する内容」をまとめる
・内容を「優先順」に並べる
・「見出し」をつける
・「ビジュアル」を使う
4.書式を生かす
・書式の意味を「読み手の期待」に合わせる
・もっとも重要な内容に太字、下線、ハイライトを使う
・書式を「むやみに」使わない
5.読むべき理由を示す
・読み手にとっての「読む価値」を強調する
・「どういう人に読んでほしいか」を強調する
6.行動しやすくする
・「行動のステップ」をシンプルにする
・「行動に必要な情報」をまとめる
・「集中力」をなるべく使わせない
単語、内容、依頼の少ないメッセージほど読まれやすい
もっともよく使われる言葉で書かれた投稿は、もっとも使われることが少ない言葉で書かれた投稿と比べて、約75パーセントもリポストが多かった
職業上の地位や社会的地位が比較的低い書き手は、シンプルな文章を書くと知性を疑われるリスクがあるが、地位の高い書き手は、わかりやすい物言いが逆に称賛されることもある
地図のようにスムーズな移動ができる文章を書けば、読み手がもっとも重要な情報に気づき、理解してくれる確率は一段と高まるだろう
もっとも視覚的にわかりやすく伝える方法の1つが、箇条書き
一部の文章を表や図に変えるだけで効果的になるメッセージは多い
メールの「無駄な1ターン」をなくす
「信頼性」の高い送信者から送る
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大変嘆かわしいことですが、人々は、年々忙しくなり、かつ文章読解に必要な注意力を欠くようになっています。
そんな状態でも集中して読んでもらいたい、行動してもらいたい、そう考える人に本書はおすすめの一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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『忙しい人に読んでもらえる文章術』
トッド・ロジャース、ジェシカ・ラスキー=フィンク・著 千葉敏生・訳 ダイヤモンド社
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◆目次◆
PARTI 読み手を理解する
CHAPTER1 「読み手の頭」はこうなっている
CHAPTER2 「忙しい読み手」の視点で考える
CHAPTER3 「自分の目的」を理解する
PARTII 6つの原則
CHAPTER4 第一の原則 少ないほどよい
CHAPTER5 第二の原則 読みやすくする
CHAPTER6 第三の原則 見やすくする
CHAPTER7 第四の原則 書式を生かす
CHAPTER8 第五の原則 読むべき理由を示す
CHAPTER9 第六の原則 行動しやすくする
PARTIII 原則を実践する
CHAPTER10 「効果的な文章」を書く
CHAPTER11 「誰が誰に書くか」を意識する
CHAPTER12 原則を定着させる
謝辞
原文のまま掲載した文章の翻訳
原注/参考文献
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