2025年8月21日

『株で儲けたきゃ「社長」を見ろ!』 田端信太郎・著 vol.6787

【会社を伸ばす社長の条件とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569859526

本日ご紹介する一冊は、総フォロワー数68万人超、Xで「アクティビスト投資家」として活躍する、田端信太郎さんによる一冊。

「はじめに」を読んだところ、昔ベストセラーとなった、ファンドマネジャーの藤野英人さんの『スリッパの法則』を令和版にアップデートするべく企画された本のようです。

『スリッパの法則』は、2004年に出され、その後『投資レジェンドが教えるヤバい会社』としてアップデートされていますが、有名どころでは、こんな主張がなされていました。

・スリッパに履き替える会社には投資しても儲からない
・極端に美人の受付嬢がいる会社には問題がある
・社長の自伝を本人からプレゼントされたら、その会社への投資は控える
・社長室の豪華さとその会社の成長性は反比例する

もちろん、これがすべての会社に当てはまる訳ではないと思いますが、投資家たるもの、数字に加え、こういう視点は持っておいた方がいいと思います。

本書では、著者が見てきた経営者の例をもとに、会社を伸ばす社長の条件を考察。

・経費の使い方
・社長の経歴
・人間関係
・組織
・危機管理

などの点から、投資対象となる会社の社長を目利きする方法を説いています。

一歩間違えればただの与太話ですが、微妙に論理的裏づけもあったりして、案外無視できないところが面白い。

ZOZOの前澤友作さんが社長だった時、飲食費を決して接待交際費にしなかった話は、なるほどと思いました。(株の評価が下がる方がダメージが大きい)

出身地や出身校、部活、家庭環境などと経営者の価値観の関係性は、経験上、大きく頷けるものがありました。

「みんなでサウナに入ろう!」と社長が言い出したら危険信号らしいですから、みなさん気をつけましょう(笑)。

話半分で読んで、ビジネスパーソン同士、飲み会のネタとして盛り上がるための本ですが、人間観を磨くための視点として、読んでおいて損はないと思います。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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一般的に「創業オーナー社長が経営する企業ほど、株価パフォーマンスが高い」と考えられている

仮に100万円の飲食代を接待交際費として会社の経費で落とすケースを考えてみる。そうすると、当然ながら会社の純利益は100万円減少する。PERが40倍ならば、時価総額は100万円×40=4000万円分も減る計算になる。つまり、理論的には、100万円の飲食代を接待交際費として会社の経費で落とすことで、前澤さん自身の資産も、4000万円×40%で1600万円分目減りしてしまうことになるのだ

株式会社ライブドアで働いていたころ、堀江貴文さんは、会社の経費にとても厳しかったことをよく覚えている。あるとき社長がボールペンを買おうとしたら、「取引先からもらったボールペンを使えばいい」と言われ、稟議が通らなかったことがあった。また、誰かが会社のお金でカップラーメンを夜食として購入したことがバレたときには、堀江さんが激怒したこともある

クレドをつくる場合に最もタチが悪いのは、「クレドを作った社長自身が、その上に自分を置いてしまうこと」だ

当初は、どれほど優秀でマトモな人物であっても、長期間トップの座に居続けると謙虚さを維持することは難しい。(中略)私の個人的な観察では、その転換点となる年齢は70ー75歳頃だ。この年齢を超えてもなおトップの座に居座り続けるサラリーマン社長には、不本意な辞任や、社内の内部抗争による排除などの悲しい結末が待ち受けていることが多い。一人の人物が連続してトップにいる期間としては、10年程度までが好ましい

地方トップクラスの公立高校(典型は、いわゆる旧制中学からのナンバースクール)出身者は、バランス感覚がよく、幅広い社会階層の人間を理解しやすい

テニスや陸上競技など、個人で戦うスポーツの出身者は、チームスポーツ経験者に比べて個人主義的な傾向が強くなることが多い

遅刻しがちな社長のそばに、仕事のできない秘書あり

父が「娘に継がせる」のは最悪のパターン

ゴルフや麻雀、ワインに果てはネットゲームなど、社長の個人的な趣味への付き合いが評価や昇進にまで直結するような組織は明らかに不健全だ

上場直後に一冊目の著書を出すような社長に対しては、あまり良い印象を持たない

筋トレが趣味の社長は信用できる

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難しい話は一切出てこない、移動時間に読んで気軽に楽しめる新書です。

伸びる企業を見極めたい投資家、自分を戒めたい社長、今の会社で大丈夫か心配なサラリーマンに、おすすめの一冊です。

ぜひ、読んでみてください。

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『株で儲けたきゃ「社長」を見ろ!』
田端信太郎・著 PHP研究所

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◆目次◆

はじめに 社長を知らずに、企業は語れない
序 章 社長という人種を知る
第1章 まずは「プロフィール」を見ろ
第2章 半径3メートルの人間関係から見える”危険”と”可能性”
第3章 組織という鏡が映す「マネジメントの器」
第4章 「無自覚のモチベーション」が生む成長と暴走
第5章 外側から覗くリアルと演出
特別付録 人間のパターン分析は映画やマンガから学べ

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