2025年6月23日

『世界は宗教で読み解ける』 出口治明・著 vol.6746

【これで世界情勢がわかる】
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ギリシャ渡航中にイスラエルとイランの問題が起こり、ちょっとした緊張感を味わいました。

途中の空港ではテルアビブ行きがキャンセルとなり、ネタニヤフ氏がアテネに逃亡したとの噂も流れてきました。(ちょうど土井がアテネに行くタイミングです)

イラン国会がホルムズ海峡封鎖を承認したとの話もあり(最終決定ではありません)、日本への影響を心配している方も多いのではないでしょうか。

本日ご紹介する一冊は、中東問題をはじめ、世界情勢の根底を成す宗教の問題を、歴史、政治、経済の視点から読み解いた、注目の一冊。

教科書やニュースではいまいちわからなかった政治経済の視点や当事者の事情、感情がわかってきて、じつにエキサイティングな宗教の教科書となっています。

著者は、日本生命の国際業務部長を経て、2008年にライフネットを創立、その後2018年に立命館アジア太平洋大学学長に就任した、出口治明さん。

歴史通でもある著者が、神の起源から政治・経済を動かす信仰、世界の宗教地図の変動を解説しており、じつに興味深く読むことができます。

特に日本人が弱いイスラム教、キリスト教の各宗派のことが詳しく書かれており、偏見・イメージに惑わされずに世界情勢を読む、良いきっかけになると思います。

地政学の本と併せて読めば、今後の世界情勢を読み、投資やビジネスで成功するヒントも手に入るはずです。

『あの国の本当の思惑を見抜く地政学』社會部部長・著
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『13歳からの地政学』田中孝幸・著
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世界史を勉強した人なら、教科書でいまいち理解し切れなかった歴史の因果関係がわかり、気持ちいい「アハ!」体験ができるのではないでしょうか。

政治家やビジネスリーダー、外国の方と話す機会の多い人は、教養として、ぜひ読むことをおすすめします。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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BC12世紀からBC10世紀のあいだのどこかに生まれたと考えられているザラスシュトラ(英語名でゾロアスター)が生み出した「最後の審判」は、過去から未来に向かって直線的に流れる時間の終わりに、神が善と悪を裁くという考え方です

ゾロアスター教は人類初の「世界宗教」とも言われ、古代ペルシャ、現在のイラン高原北東部で生まれた宗教です

人類最古の文明メソポタミアでも神様はたくさんいたことがわかっています。そうやって種類が増えてくると「いろいろいる神様のなかで、俺の神様は誰や?」「私を守ってくれる神様がいるに違いない」という考え方も生まれてきます

自然界には循環する時間の流れがある一方で、個人の寿命の有限性を意識させる「直線の時間」もまた存在している。このふたつの時間概念の認識が、人間の思考に大きな影響を与えたと言っていいでしょう

アメリカがイスラエル寄りの姿勢を取り続ける背景には、イスラエルを支持するキリスト教徒には神からの祝福があり、逆にユダヤ人を虐殺するキリスト教徒には神の裁きが下る、という宗教的な信念が関係しています

福音派やキリスト教保守層の支持を得るために、大統領候補者はイスラエル支持を表明することが多い

「下(民衆)から」の差別・迫害としては、19世紀後半から20世紀初頭にかけてロシア帝国で起こったポグロム、主にユダヤ人を対象とした商店襲撃や略奪、虐殺、強姦などの襲撃事件があります

1881年からのポグロムは、その後のシオニズム運動の発展に大きな影響を与える転機となります

ユダヤ教徒のなかでも超正統派の人たちは、イスラエルの建国に関するタナハの記述「汝、殺すなかれ、盗むなかれ」に違反して土地を収奪していると主張したり、「メシアが現れなければ真のユダヤ国家は実現できないがメシアは現れていない。現イスラエルは真のユダヤ国家ではない」と批判したりしてきました

ユースバルジとは、人口構成において若年層が突出して多い状態を指す言葉です。(中略)若者が成長し、労働市場に参入する時期に既存の経済システムが彼らを吸収しきれなかった場合、失業率が上昇し、多くの若者が安定した職を得られない状態に陥る

イランはイスラーム教シーア派のなかでも十二イマーム派を国教とする、独特な政体を持つ国家

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読み終わって、やはり指導者・ビジネスパーソンは教養として宗教を学ぶべきだと強く思いました。

著者がビジネスパーソンだけに、政治経済的な視点から書かれているので、ビジネスパーソンには読みやすいと思います。

強くおすすめします。ぜひ、読んでみてください。

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『世界は宗教で読み解ける』
出口治明・著 SBクリエイティブ

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◆目次◆

はじめに 宗教を知れば、世界がわかる
第1章 宗教はどのように生まれたのか?
第2章 宗教がアメリカの政治で絶大な影響力を持つわけとは?
第3章 資本主義の原型をつくった予定説とは?
第4章 原理主義台頭の背景にあるユースバルジとは?
第5章 ヒンドゥー・ナショナリズムとムスリムの緊張関係とは?
第6章 東南アジアにおける社会運動と仏教との関係とは?
第7章 中国共産党と儒教の関係とは?
第8章 世界の宗教勢力図はどのように変わっていくのか?
主要参考文献

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