2025年4月21日

『道ばたの石ころどうやって売るか?』 野呂エイシロウ・著 vol.6704

【一本取られました】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4776213672

おそらくこの本が店頭にたくさん並ぶ頃には、「この表紙とタイトル、パクリじゃねえか!」というコメントが殺到すると思いますが、じつはこれ、元本の著者の柿内尚文さんが編集統括をやっているアスコムさんから出ています(笑)。

オビに大きく「その手があったか!」と書かれていますが、本当に「その手があったか!」ですよね。

本日ご紹介する一冊は、放送作家、戦略PRコンサルタントの野呂エイシロウさんによる「視点を変える」思考法。

『道ばたの石ころどうやって売るか?』という挑戦的なタイトルですが、実際に石をどう売るか、具体的なアイデアが紹介されています。

「ガーデニングに活用」
「水槽に入れる石にする」
「文鎮代わりにする」

ちょっと変わったところでは、「石をペットにする」なんて方法も紹介されています。

本書の内容は、言葉を変えれば「付加価値づくり」ですが、付加価値作りに必要なのは、じつは「視点を変える」こと。

視点を変えることで、それまで価値のなかったものが価値あるものに変わる。

そのために、クリエイターである著者のメソッドが有効なのです。

前提に縛られない、そもそも何のためなのかを考える、わざと間違えてみる、限定して振り切る、真逆で振り切る、他者のアイデアに便乗するなど、視点を変えるためのメソッドが満載。

どれか1つ試すだけでも、面白いアイデアが生まれると思います。

著者が戦略PRコンサルタントとして企業に関わっているためか、いわゆる「アイデア本」よりもずっとビジネスに直結するアイデアが得られる気がします。

実際に著者が創出したアイデア、上手くいったビジネス例が紹介されており、商品開発、マーケティングの良いヒントになると思います。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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その会社ではエレベーターが2基あり、いずれも往復に時間がかかるのが不満の原因でした。そこで、1基のエレベーターは奇数階のボタンに×印 もう1基のエレベーターは偶数階のボタンに×印のシールを貼りました。たった、それだけのことですが、×印のフロアのボタンはほとんど押されません。止まるフロアが少なくなることで往復時間が短くなり、混雑は見事に解消したとのことです

大事なのは、「思いつき」で話さない、「反応」をしないこと。この2大原則を守るだけでも会議がだいぶましになります

「課題解決」に必要とされるのは、「視点を変える」タイプの頭の良さ

「タピオカ」だとすでに消費者に飽きられていますが、「アジアンティー」は新しく、まだ市場を拡大する余地がありました。(中略)タピオカで一世を風靡したゴンチャでしたが、視点をタピオカからお茶に変えたことで、新たなお客さんを呼び込み、今では全国で160を超える店舗を展開しています

「疑う」と視点が広がります。別のやり方に目がいくからです

「そもそも何のためなのか」ということを考えると、視点を変えやすくなります

山形県にある鶴岡市立加茂水族館も「限定」したイメージで成功した例です。(中略)加茂水族館が選んだ道は「クラゲ」に特化することでした

北海道・十勝地方で栽培されている「白銀の太陽」というブランドマンゴーは、温泉と雪という再生可能エネルギーを利用して、冬に完熟マンゴーができるように育てています。南国で採れるマンゴーは夏が旬ですが、季節をずらして真冬にできる北海道マンゴーは大人気で、なかには1個5万円の価値がつくものもあるのだとか

視点を変える際のポイントとしては、「真っ先に思いつくもの」を外すこと

連想ゲーム視点で生まれた人気商品の1つに、鳥取県で育てられた鯖「お嬢サバ」があります

ここで応用編もご紹介しましょう。それは「形」で連想する方法です。明治製菓の人気お菓子「きのこの山」って、よく見るとイヤホンに似た形をしていませんか? そこからヒントを得た商品「きのこの山ワイヤレスイヤホン」が2024年3月に発売され、用意した3500個は即完売の人気ぶりでした

「しっかり人のアイデアに乗っかった結果、自分では思いもつかないものが生まれる」(カヤック創業者 柳澤大輔氏)

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アイデア会議の前にみんなで読むと、生産性が上がりそうですね。

商品開発、マーケティングに携わる人は、ぜひ読んでみてください。

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『道ばたの石ころどうやって売るか?』野呂エイシロウ・著 アスコム

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4776213672

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◆目次◆

イントロダクション
はじめに
第1章 本当に頭がいい人は「普通の意見」を言わない
第2章 「普通のことしか言えない」人の頭の中
第3章 普段から「コレ」をやれば視点を変えられる
第4章 視点がすぐに切り替わるテクニック
第5章 視点が変わると生き方が変わる
おわりに
主要参考文献

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