2025年4月2日

『「好き」を一生の「強み」に変える育て方』 落合ひろみ、落合陽一・著 vol.6691

【氏の母が語る「子育て」】
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あるリーダー向けの質問術の本を読んでいたら、そこに、われわれがいかに大人に話を聞いてもらえなくて、傷ついてきたかみたいなことが書かれていました。

そう考えると、土井の両親は、質問魔だった土井の質問に正面から向き合ってくれる、良い親だったと思います。

本日ご紹介する一冊は、落合陽一さんを育てた母親であり、自らもビジネスで大活躍した落合ひろみさんによる子育て本。

落合陽一さんとの共著という形で、子育てや勉強、才能の伸ばし方について論じています。

本書を読むまで存じ上げなかったのですが、落合ひろみさんは、外資系航空会社の秘書業務を経て、別の航空会社でCAとして勤務。その後、大手代理店と契約し、ロサンゼルスを拠点に、エルトン・ジョンのNYフリーコンサートの放送権やABBAのロンドン公演中継の契約、Queenのロックフェスティバル中継など数々の音楽番組を手掛けてきた方だそうです。

テレビ番組制作会社を設立し、映画やドラマも作ってきたというから、ものすごいバイタリティ溢れる方なのでしょうね。

本書では、落合陽一さんがこれからのテクノロジーの発展と社会の変化、そこで求められる力、知性について述べ、落合ひろみさんがさまざまな子育ての調査・研究の結果と落合家の子育ての実際を紹介。

現役で子育てをしている方や、既に子育てを終えて答え合わせをしたい方にとって、興味深い内容に仕上がっていると思います。

将来のために何を学べばいいか、子どもが自分から勉強する言葉がけとは、算数が好きになるにはどうしたいいか、どんな本を読ませればいいか、英語・グローバル教育をどうするか、受験をどうするか…。

子育て中の方のほとんどの関心事が網羅されていると思います。

特に子どもの好奇心を育てるための心得や接し方については、親だけではなく教師も注目したいところ。

自由研究で部屋がカビだらけ、電話機を分解、カエルやピラニアの飼育…。

きっとお母さんは、ものすごい苦労をされたんでしょうね(苦笑)。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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重要なのは「面白さ」を自分なりに捉えて深め、さらにそれを社会や他者、さらにはAIや生態系などの広義のエコシステムと共有していこうとする姿勢(落合陽一)

ゲームの中では「世界を救う」「クエストを達成する」といったダイナミックな体験が設計されており、成果に応じた報酬やレベルアップが見える化されています。ときにはオンラインで他者と協働することで、現実社会よりも明確に「自分が必要とされている」実感を得られる場合もあります。こうした構造は、計算機自然的な視点から見れば、「人類外の知性と協働する一例」ともいえるでしょう(落合陽一)

世界で活躍する人材にしたいと考えるなら、大学院に行ってMBAをはじめとするマスターを取得するといった考えを持たないと企業や社会で通用しない時代に変わっていくはず

親の関与の仕方として、(1)勉強したか確認している、(2)勉強を見ている、(3)勉強する時間を決めて守らせている、(4)勉強するように言っている、の4通りで調べたところ、母親の関わり方で最も効果が高かったのは「勉強する時間を決めて守らせている」でした(乾友彦、中室牧子「子どもはテレビやゲームの時間を勉強時間とトレードするのか」)

「これなあに?」に答えることで勉強への興味が生まれる

算数・数学が好きになる条件
(横浜国立大学名誉教授の根上生也先生)
(1)保護者の数学観を押しつけない
(2)自分で判断することに自信を持たせる
(3)解答の速さを求めない

「同じ本を繰り返し読む」ことが語彙力を増やすことにつながる可能性がある(雨越康子「幼児期における絵本の読み聞かせと認知能力との関連」)

我が家では、
・子どもがやりたいことは、積極的にやらせる
・それがとんでもないことでも、怒らない
※ただし、危険なことは止める
・集中しているときは見守る(放っておく)ということを実践していました

まさか電話機まで分解されていたとは思いませんでした。でも、私は叱りませんでした。ただ、「ああ壊れたのね。でもお利口さんだからもう一回、それを組み立ててちょうだい。それができないと、お馬鹿さんよ」と、陽一の目を見て伝えました

天才性とは、ただの生得的才能だけではなく、多くの場合「タイミングの問題」と「理解者との出会い」が大きく作用します(落合陽一)

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ネタバレになるので書きませんが、落合陽一さんが幼い頃、好きだった本の情報ややっていた習い事の情報も入っており、子育てする親、本好きには気になる内容です。

ちょこちょこ落合信彦さんも登場するので、ファンの方も楽しめる内容だと思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『「好き」を一生の「強み」に変える育て方』落合ひろみ、落合陽一・著 サンマーク出版

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◆目次◆

はじめに 学歴か適性か? 落合ひろみ
はじめに 「楽しがり方」を育てよう 落合陽一
序 章 これからの「子育て」に必要なこと
第1章 「勉強しなさい」は言わない 学歴か好奇心か?
第2章 子どもの可能性を広げる 「やめなさい」か「一緒にやろう」か?
第3章 自主性と考える力を育てる 「うまくいかないね」か「できるよ!」か?
第4章 英語・グローバル教育とどう付き合うか? 留学か国内か?
第5章 忙しい親のための心得 どんなに忙しくても目配りしたいこと
第6章 受験をどうする? 偏差値か適性か?
あとがき 落合ひろみ

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