【投資のヒント。日本復活のシナリオ】
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本日ご紹介する一冊は、ソロスを大儲けさせ、レイ・ダリオが見抜けなかった中国の衰退を予言した伝説のコンサルタント、齋藤ジン氏による初の著書。
著者は、日本の金融機関に勤務した後、単身渡米してジョンズ・ホプキンス大学に留学、その後、投資関連コンサルティングの道に進み、米国のG7グループを経て、オブザーバトリー・グループを共同設立した人物です。
オブザーバトリー・グループは、ブラックロックをはじめ、さまざまな資産運用会社にアドバイスをする、プロ向けの投資コンサルティング会社で、なかなか表には出ない存在。
今回の著書は、そんなオブザーバトリー・グループの共同経営者が初めて書いた本ということで、注目されています。
読んでみたところ、国際政治の見方やパラダイムシフトの予測、それに伴う経済的なリスクとチャンスの分析がじつに鋭く、今後の世界の見通しが一気に明るくなりました。
トランプ政権が考えていることや、米中関係、ウクライナとヨーロッパ、ロシアの関係を始め、今後世界がどうなっていくのか、明確なシナリオが描けました。
これから恩恵を受けるであろうインドや日本に関する考察などもしっかり書かれており、投資家が読んで勉強になる内容だと思います。
いまだに新自由主義のパラダイムに囚われ、身動きできていない企業、個人に、これからの方向性を示した、必読の一冊と言えるでしょう。
著者がワシントン在住ということもあり、向こうから見たトランプ政権の評価、大統領のブレインの情報、日本の見方などがわかり、ニュースの見方がガラリと変わると思います。
これはぜひ読んでいただきたい一冊ですね。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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今、アメリカは中国を封じ込めるために、「強い日本」の協力が不可欠になっています。この環境変化は、第二次世界大戦後、冷戦下のアメリカがソ連を封じ込めるため、「強い日本」を求めた時と似た状況です
トランプは天才的な嗅覚の持ち主だと思います。新自由主義が世界にもたらした富の偏在などに対するアメリカ人の鬱積した感情や、この世界観の唱える「べき論」への敵意を直感的につかんでいました。しかし、エリートたちはそれに気づかない、気づきたくない、できればこのままやっていきたいと思っている、彼はそこを見逃さなかった
財政政策には既得権益を生み出すという副作用があります
日本は歴史上、何度か鎖国をしていますが、結果的に一つの「英知」だったのではないでしょうか。奈良時代、平安時代に遣隋使や遣唐使を通じて、大陸の法制度や仏教文化などを取り込みますが、その後、いったん国を閉じます。これは、人間にも社会にも「消化吸収期間」が必要だということのあらわれだと見ることができます。実際、その間に伝来してきたものとそれ以前の文化が混じり合って、仮名文字など日本固有の文化が育ちました
ソロスの投資スタイルは基本的に
「inflection point(=転換点)」に全力を傾注するもの
アメリカが容赦ない圧力をかけてくる2つの条件
(1)経済政策の基本的前提(世界観・統治観)をアメリカが大きく変化させる
(2)競合国のGDPがアメリカの50%近くに迫る
経済学には「ルイスの転換点」という概念があります。これは産業革命の際、工業化が進む中で、当初は農村から都市部への労働供給が拡大し、都市部の第2次産業の賃金が下がったものの、農村からの労働供給が出尽くした後、都市部の賃金が急速に上昇した現象をさす言葉です。端的に言うと、リンゴが凶作であれば、リンゴの値段が上昇するように、労働力も不足すれば、その値段は上がることを意味します
冷戦終結後の新自由主義の時代に中国が経験したように、今度のアメリカの庇護はインドの成長に大きな追い風をもたらすことが予想されます
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新自由主義からのゲームチェンジ、中国の凋落とインドの勃興、日本の新たなチャンス…。
今後の世界経済を見通し、ビジネスや投資のチャンスを掴むために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
これは読み応えがありました。
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『世界秩序が変わるとき』齋藤ジン・著 文藝春秋
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◆目次◆
はじめに 日本復活の大チャンスが到来した
第1章 新自由主義とは何だったのか?
第2章 私はいかにして新自由主義の申し子になったのか
第3章 「失われた30年」の本質
第4章 中国は投資対象ではなくなった
第5章 強い日本の復活
第6章 新しい世界にどう備えるか
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