2025年2月21日

『夢を見る技術』ラウール・ジャンディアル・著 橋本篤史・訳 vol.6665

【世界22カ国で翻訳の話題作】
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クリエイティブに関わる仕事をする者として、「夢にすがってでも良いアイデアが欲しい!」と思うのは当たり前の話。

かのサルバドール・ダリは、夢を意図的に活用する「ダリ・テクニック」なるものを実践していたらしいですが、どうすれば夢を仕事に活用できるのか、夢を使って潜在能力を引き出せるのか、気になる方は、結構多いのではないでしょうか。

本日ご紹介する一冊は、そんな夢の実際を、最新の脳神経科学から明らかにした、注目の一冊。

世界的な脳神経外科医で、神経生物学博士でもある著者、ラウール・ジャンディアル氏が、睡眠中の脳の驚くべき力を明らかにしています。

興味深かったのは、日本でもアメリカでも中国でもドイツでも、学生が見た夢は、ほぼ同じテーマだったこと。

「誰かに襲われる、または追いかけられる夢」は、日本で1位、アメリカで2位、中国で2位、ドイツで2位。

同様に、「高いところから落ちる夢」は、日本で2位、アメリカで1位、中国で3位、ドイツで4位です。

他にも、さまざまな夢に共通する要素や法則が書かれていて、雑学として面白い。

実用を求めて読む本じゃないかもしれませんが、読み進めると、夢を仕事や能力開発に活用する方法、治療に活用する方法、果てはマーケティングに活用する話が出てきて、じつに興味深い。

世界的に有名なホラー作家のスティーブン・キングが夢から『ミザリー』、『シャイニング』を着想したという話、モルソン・クアーズやバーガー・キングがマーケティングに夢を活用した話は、特に興味深く読ませていただきました。

夢に関しては、まだまだ解明されていない部分も多いようですが、読んでみた感想は、「ここまでわかっているのか」でした。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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私たちが目覚めているとき、感情に関わる大脳辺縁系の代謝活動は通常三~四パーセント増減するが、夢を見ている時はなんと一五パーセントも増加するという。つまり、夢を見ているとき、私たちは生物学的にありえないほどの強い感情を経験しているのである

私たちは人生の約一二分の一、つまり毎年一カ月を夢を見て過ごしていることになる

イマジネーション・ネットワークが活性化することで、心は自由にさまよい、思いがけない洞察に至ることがある

日本の学生が見た夢の上位五種
1.誰かに襲われる、または追いかけられる夢
2.高いところから落ちる夢
3.くり返し何かに挑戦する夢
4.学校、教師、勉強に関する夢
5.恐怖で身動きがとれなくなる夢

夢は世界中で驚くほど類似しており、使用する言語や住んでいる場所(都市か農村か、先進国か発展途上国か)、富や社会的地位によっても左右されない

夢の内容の急激な変化は、私たちの記憶のなかにあるセマンティック・マップ(意味の地図)にしたがっている

夢の報告において、テレビやコンピューター、インターネット、スマートフォンが登場することはめったにない

夢は日常生活での人間関係を探求するような思考実験を私たちに提供する

調査の結果、夢のなかの自分はたいてい主人公であり、通常五人程度の登場人物が現れることがわかった

子どもは大人の5倍も悪夢を見る

女の子の悪夢には主に人間や小動物が攻撃者として現れるが、男の子の悪夢には怪物や巨大な動物がしばしば登場する

化学者たちがこの問題に何十年も悩まされるなか、ドイツの化学者アウグスト・ケクレは答えにたどり着いた--それも、夢のなかで。ケクレは、自分の尾を食べているヘビの夢を見たことから、ベンゼンの構造が六角形の環から成り立っていることに気づいた

将来的にはスマートスピーカーやウェアラブルデバイスといった製品の使用許諾契約書に、企業が就寝中のユーザーに広告メッセージをささやく権利が記載されるかもしれない

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将来的に夢の謎にどこまで迫れるのか、興味が尽きません。

ぜひ、余裕のある時に、本書の『夢を見る技術』、活用してみてください。

これは面白い本ですね。

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『夢を見る技術』ラウール・ジャンディアル・著 橋本篤史・訳 光文社

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◆目次◆

はじめに 夢は役に立っている
第1章 夢を見るように進化した私たち
第2章 私たちには悪夢が必要だ
第3章 夢のなかで浮気するのはなぜか--性的な夢
第4章 夢は創造性を解き放つ
第5章 夢からわかる健康状態
第6章 夢の世界をコントロールする
第7章 明晰夢を誘発するには
第8章 夢を外から覗く、操作する--夢の未来
第9章 見た夢の意味を読み解く
おわりに 夢の並外れた力
謝辞
原注
参考文献

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