2026年3月16日

『新しい階級社会』 橋本健二・著 vol.6924

【最新データで見る、格差社会日本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065399033

本日ご紹介する一冊は、2018年に講談社現代新書から出された『新・日本の階級社会』の続編。

『新・日本の階級社会』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062884615

最新データをもとに、日本の格差がどのように進んでいるのか、どんな階級社会が出現しているのか、その詳細がわかる、興味深い内容です。

本書の元となるデータは、「二〇二二年三大都市圏調査」によるもの。

この調査は、著者を中心とする研究グループが、2022年1月から2月にかけてインターネットで実施したもので、調査対象は東京駅から半径60km以内、名古屋駅から半径40km以内、大阪駅から半径50km以内に位置する市区町村に住む20ー69歳の住民。

有効回答数は東京圏が2万6001人、名古屋圏6218人、京阪神圏1万1601人の合計4万3820人。

これにSSM調査データ(「社会階層と社会移動に関する全国調査」)を併用し、現代日本の「5つの階級」を紹介しています。

「5つの階級」とは、資本家階級、新中間階級、正規労働者階級、アンダークラス、旧中間階級の5つのこと。

本書では、これら5つの階級の経済格差と配偶関係、仕事内容、仕事の自由度や幸福感などをレポートしており、読者がこれからキャリアを形成する上で、重要なヒントが得られると思います。

特に、アンダークラスの給料に次世代を再生産する費用が含まれていないという指摘、結婚した女性は概ね幸せを感じるという指摘は、賃上げが実現され、女性が結婚できる社会の必要性を感じさせます。

政治の話は、ちょっと状況が変わりつつあるので、参考程度にするとして、現在の日本の格差社会の問題点が明確になる本だと思います。

どの階級に所属するかが、人生やキャリアに重大な結果をもたらすようになった今、働く人も、子育てする人も、知っておくべき内容だと思います。

さっそく、本文の中から気になる部分を、赤ペンチェックしていきましょう。

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資産総額(金融資産、不動産などすべての合計)がもっとも多いのは資産家階級で、六三三五万円となっている。二番目に多いのは旧中間階級(三七六九万円)で、これは自分の店舗や工場などを所有している人が多いからだろう。新中間階級は二三一八万円、正規労働者階級は一三八五万円で、それぞれ旧中間階級の三分の二、三分の一程度となっている。そしてアンダークラスはわずか七二〇万円

アンダークラスは家族を形成することが少なく、したがって子孫を残さないからである。アンダークラスの子どもたちがアンダークラスになるという連鎖は、現代日本では起きていない。それでは、誰の子どもがアンダークラスになるのか。もちろん、他の階級の子どもたちである

フルタイムで働き続ける女性のかなりの部分が離別を経験しているというこの事実は重い。新中間階級や正規労働者階級としての職を維持し、なおかつ配偶者を得て家庭を築いている女性は、意外に少ないのである

もっともストレスを感じにくいのは旧中間階級

「自分のペースで仕事ができる」について「かなりあてはまる」と答えた人の割合は、資本家階級で三二・〇%、旧中間階級で四六・三%に上ったのに対して、雇われ人の三つの階級はいずれも一〇%台にとどまる

労働者は、いずれ年をとって労働力を大幅に減退させ、働けなくなるときがやってくる。だから資本主義が長期的に存続するためには、労働者が家族を形成して子どもを産み育てることによって、次の世代の労働者が再生産される必要がある。だから本来、賃金にはそのための費用が含まれていなければならない

アンダークラスの労働力の価値は、次世代を再生産する費用を含まない形で定義し直されている

フレクシ=グローバル段階を特徴づけるのは生産諸要素、つまり生産活動に必要な資本、労働力、そして情報を含む生産手段が、グローバルな規模で、不断に流動し続けることである(中略)資本は労働者の生活や権利などはおかまいなしに、サービスの種類や需要の変化に応じて、労働力をフレクシブルに活用しようとするから、雇用は不安定化する

結婚によってどの女性たちも、いままで以上に幸せを感じるようになった

伝統的な保守の政治的立場に加えて、新自由主義的な自己責任論を振りかざし、格差解消の必要性を否定し、原子力発電を擁護し、戦争を人間の本性による必然と考え、性的マイノリティの承認を拒むという、「新自由主義右翼」のユニークさはきわだっている

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アンダークラスの男性の未婚率が七四・五%というのに驚きましたが、これが連鎖しないという、考えてみれば当たり前の事実に気づかされます。

最下層が搾取され、いつ自分がそこに転落するかわからない恐怖に怯える…。

そんな社会が幸せなわけないですよね。

国をあげて議論するために、日本の未来を論じるために、ぜひ、読んでおきたいところです。

マーケティングや企画、キャリアの参考にもなると思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『新しい階級社会』
橋本健二・著 講談社

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◆目次◆

第一章 「新しい階級社会」とは何か
第二章 新しい階級社会が生まれるまで
第三章 五つの階級:それぞれの生い立ちと日常
第四章 哀しみのアンダークラス
第五章 男の階級・女の階級
第六章 人の階級はどうやって決まるか
第七章 階級格差を拡大させた新型コロナ
第八章 格差をめぐる対立の構図と日本の未来
参考文献

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