2026年3月4日

『強欲不動産』 吉松こころ・著 vol.6916

【令和不動産バブルの真相】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166615246

東京都港区のタワマンが一部屋300億円、北海道ニセコの別荘が30億円…。

本日ご紹介する一冊は、加熱する令和不動産バブルの真相を、不動産業界向けのミニ通信社「株式会社Hello News」の吉松こころさんがまとめた一冊。

元々、月刊「文藝春秋」掲載の「欲望の不動産」を大幅加筆修正したもので、書籍版のタイトルは『強欲不動産』となっています。

随分と下品な名前をつけたものだと思う向きもあると思いますが、本書の「あとがき」によると、「強欲は、不動産業界では、否定的な意味を持たない」。

「それは、成功を支える原動力であり、彼らの正義でもある。強欲に儲けた者は、尊敬の対象となる」のだそうです。

確かに読んでみると、この令和バブルに関わった起業家や投資家、大富豪たちは、目先の利く人たちで、本来、ビジネスとはこういうものだと思い出させてくれる。

むしろ、かつて不動産投資で世界No.1、No.3の大富豪を生んだ我が国が、どうしてここでお儲けしていないのか、と悔しい思いをする記述が目立ちました。

本書では、この令和不動産バブルがどうやって生まれたのか、実際に物件を買った人、売った人に著者が取材し、その真相を暴いています。

ジャーナリストが書いた、ニュース的な本かと思って読んでみたら、当事者のビジネス手法や投資手法、どんな動機で買っているのかが見えてきて、じつにワクワクするビジネス書でした。

今から買っても5年前ほどの旨みはないと思いますが、ビジネス・投資のケーススタディとして、読んでおいて損はないと思います。

日本の政策や金融機関の問題も指摘されており、政治家、公務員にとっても、読むべき内容だと思います。

ケーススタディでは、港区タワマン、晴海フラッグ、万博後の大阪、北海道ニセコ、半導体バブルの熊本が取り上げられており、これらのエリアで何が起こったのか、よく知らない人が読んでも楽しめると思います。

Xなどでちらほら流れてくる令和不動産バブルの真相を知りたい方には、うってつけの一冊と言えるでしょう。

さっそく、本文の中から気になる部分を、赤ペンチェックしていきましょう。

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「逃資」は、中国から日本に資金を逃すという意味の造語で、「フリーライド(=ただ乗り)」は、外国資本が、日本の整ったインフラや、治安の良さを享受して商売することをいう

日本の不動産を爆買いする資金は、香港や台湾、中国本土からの「逃資」

日本の不動産はいまだに割安で、安全性が高いだけでなく、外国人でも合法的に、簡単に手に入れられる

おおよそ30年前、日本人が引き起こした香港の不動産バブルが現在の混乱の遠因になっていること。短期間に吊り上がった香港不動産の高騰は現地に新たな富裕層を生み出し、そうした富裕層が今、日本の不動産を買っている

日本の不動産高騰の一因に新型コロナウイルスの対策として政府が始めた無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」があった

北海道のニセコエリア、大阪の難波と西成に近い飛田本通商店街、タワマンが立ち並ぶ東京湾岸の勝どき地区に「ちいさな中国」ができあがっていた

東京は、ニューヨーク、ロンドンと比べれば不動産が割安で、距離的にも近い。香港富裕層がもっていた家は100億円を超えるものばかりだ。売却により得た資金で、トイレや風呂がひとつしかないことに目をつむって東京の1億円のマンションを2、3部屋買ったところで懐は傷まない。むしろ値上がりでもっと大きな金に化けてくれる。それだけではない。資産を作った日本人には相続税がかかるため、納税のために資産を売らなければいけないが、相続税がない中国人はどんどん買える

観光庁の「宿泊旅行統計調査」(2025年4月公表)によると、宿泊施設の稼働率は大阪府が76・4%で全国1位である。つまり宿泊施設はどこもフル稼働。そんな”千載一遇のビジネスチャンス”を香港人たちがモノにしているのだ

会社を買えば、旅館業、飲食業、風営法の三つの認可が同時に手に入り、会社が所有するラブホテルも付いてくる。不動産の売買ではないため、不動産取得税などの経費がかからない。代表者は替わっても登記は変わらないため、登記費用もかからない。何より目立たないのが良い

ミカエル・ジョン(仮名)もそんな華僑マネーを持ち込んだ一人だった。現在、ミカエルは、1泊700万円、しかも予約ができるのは7泊以上する人だけ、というニセコヒラフにある超高級ホテル、「ハク・ヴィラズ」のオーナーだ。1回の滞在で、4900万円をポンと支払える層を顧客としている

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この記事がせめて2021年に書かれていれば、と思いますが、最近のメディアはスピードが遅いですよね。

日本のビジネスの話なんだから、日本語で読めるものが一番早いくらいだとメディアも盛り上がるのに、と思いました。

それでも、著者が足で稼いだ情報は読み応えがあり、令和不動産バブルの真相を知りたい人には、おすすめの一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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『強欲不動産』
吉松こころ・著 文藝春秋

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166615246

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0GN8P1WV8

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◆目次◆

はじめに
第1章 香港富裕層が「東京買い」に走る理由
第2章 日本に潜り込む中国人たちの不動産投資術
第3章 上級都民だけが知る港区タワマンの裏側
第4章 東京五輪の呪われし遺産晴海フラッグが大化け
第5章 万博後も大阪の再開発ラッシュが止まらない
第6章 グーグル創業者が愛する北海道ニセコ秘史
第7章 登記簿を上げろ! ニセコバブルで儲けた男たち
第8章 半導体バブルの熊本を物色する台湾人バスツアー
あとがき

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