【自分勝手な生き物が共生できる理由】
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本日ご紹介する一冊は、ベストセラーとなった『働かないアリに意義がある』の著者、長谷川英祐さんによる注目の論考。
『働かないアリに意義がある』
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ベストセラー『言ってはいけない』で知られる人気作家、橘玲氏の推薦が付いています。
『言ってはいけない』
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自分勝手な生き物が集まっても共生できるのはなぜか、進化生物学者で元北海道大学大学院農学研究院准教授の著者が、教えてくれます。
イラン情勢が厳しさを増し、移民問題が活発に議論されている現在、「共生」することの意味とは何か、良い共生関係とはどんなものかを考えさせてくれる、注目の内容です。
著者は、社会性昆虫であるアリやハチ、シロアリなどを専門にしている方ですが、本書では、彼らがなぜ他種と協力することができるのか、そのメカニズムを解説しています。
なかでも、アリとアブラムシの関係は、現在のトランプ政権と高市政権を思わせる関係で、なるほど、高市政権はこれを狙っているのかもしれないなと思わせる内容でした。(アリはアブラムシを敵から守る。アブラムシは尻から「甘露」という糖分を含む排泄物を出し、アリはこの甘露を目当てにアブラムシを守る。そしてどうやらアブラムシの甘露はアリを攻撃的にするらしい)
ヨモギをホストとし、アリとアブラムシ、アブラムシを食べるヒラタアブの幼虫、ヨモギの葉を食べるヨモギハムシで構成される共生系は、良いシステムとは何かを考える良いヒントになると思います。
外交も、自然保護も、組織も、バランスを欠くと途端に機能しなくなる。
良いバランスを考える上で、生態系から学ぶことは多いと思います。
政策担当者、地方行政の担当者、経営者は、ぜひ読んでおくといいと思います。
さっそく、本文の中から気になる部分を、赤ペンチェックしていきましょう。
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鳥が飛ぶために、どれだけの犠牲を払ったのかわかりますか? 体を軽くするために、骨の中までスカスカにして軽くしました。もちろん脳も重くできません。したがって鳥は、地上の動物のような力強さはなく、高い知能を持つことも不可能です
亀の仲間であるスッポンには硬い甲羅がありません。体は亀と同じような形ですが、骨だけで甲羅はないのです(普通の亀は背骨の上に甲羅をのせます)。スッポンは頑丈な甲羅で体を守り、スピードを捨てた亀から、再びスピードと俊敏性を得る方向へ進化したからだ、と考えられるのです
ライオンのプライドは、繁殖のための群れでもあります。、オスとメスが分業して狩りの効率を上げることは、オスにもメスにも利益があることに注意してください。つまり、協力したほうが「自分にとって得」なので協力「できる」のです。もし協力しないで獲物が半分になってしまうとするなら、単純計算で育つ子供の数も半分になってしまうでしょう。ある量以下しか獲物が取れないと子供が全滅することもあり得るので、獲物が取れないことはオス・メス両方の適応度(=育った自分の子供の数)を大幅に下げるのです。そんなことになるのなら、自分が協力のコストを払っても、協力したほうが適応度が上がるわけです
現実の世界で「共有地」的な協力機構を維持しているところでは、過剰な牛の導入などの利己的な行動には、必ずペナルティが設けられているはずです。たとえば、牛1頭あたりのかなり高額な使用料金などです。つまり、儲けを無制限に大きくしようとすると大きなコストがかかるようにしておけば、「共有地」は崩壊しないで済むかもしれません。この「罰」が何もないと、共有地は崩壊してしまうのです
もし、2匹でいれば、自分が食われる確率は単純計算で2分の1に下がります。もっとたくさんでいれば、自分が食われる確率はさらに下がるでしょう
「自らの適応度を下げ、相手の適応度を上げる」生物は本当にいる
共生の有名な例は、アリとアブラムシの関係です。アブラムシは植物の師管液を吸い、尻から「甘露」と呼ばれる糖分を含む排泄物として排出します。アリはこの甘露を目当てにアブラムシに随伴し、甘露をとる代わりにアブラムシをテントウムシなどの捕食者から保護します
裏切り者が入った共生系は滅び、裏切り者自身もやがて滅びます
アブラムシの甘露はアリを攻撃的にする
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専門外の主張や、著者の「ぼやき」など、ノイズがあるのがちょっと気になりますが、これもまた読書の楽しみ。
個人的には、とても楽しめました。
ぜひ、読んでみてください。
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『利己的な生物がなぜ協力し合えるのか』
長谷川英祐・著 PHP研究所
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◆目次◆
はじめに
第1章 ダーウィンの自然選択説とは?
第2章 利己的な生物は協力し合えるのか?
第3章 適応度を下げる行動への進化は可能か
第4章 コストを伴う他個体の育仔行動を説明する進化理論
第5章 他種との協力--共生
第6章 アリとアブラムシの共生系
第7章 なぜ共生関係は長続きするのか
エピローグ
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