2026年2月10日

『新書 世界現代史』 川北省吾・著 vol.6901

【世界情勢が見える、話題の一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065421926

本日ご紹介する一冊は、元日本マイクロソフト社長、成毛眞さんが絶賛し、爆発的に売れている注目の新書。

サブタイトルに<なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか>とあり、現代を象徴するベストセラーだと思います。

著者は、国際ジャーナリストの川北省吾氏。

共同通信社が2022年3月から25年4月にかけて配信し、加盟新聞社25紙に掲載された大型国際インタビュー「レコンキスタの時代」(隔週連載、計80回)を全面改訂し、書籍用に書き下ろしたものです。

国際情勢に疎い人間でも、歴史的背景や論点がゼロからわかり、またロシア、アメリカ、中国の行動原理が理解できるよう、為政者たちの生い立ちから書き起こしています。

ここまで情報を詰め込めば、普通は混乱しそうなものなのですが、そのすべてを「レコンキスタ(失地回復)」というキーワードでまとめ上げているので、じつに話がわかりやすい。

ドレスデンでの幸せな生活を奪われ、祖国を喪失し、アメリカに裏切られたと感じているプーチンの狙い、文化大革命で父が失脚し、自身も投獄された経験を持つ習近平が狙う「百年国恥」からの偉大なる復興、トランプ台頭の原因となった白人たちの失地回復の動き…。

人間は奪われたものを取り返そうとする生き物ですが、本書にはその本能が見事なまでに描かれています。

有識者や当事者へのインタビューも素晴らしい。

NATOの第12代事務総長を務めたアナス・フォー・ラスムセン氏をはじめ、ヨーロッパ外交界の大御所カール・ビルト氏、マレーシア元首相のマハティール・ビン・モハマド氏、米国際政治学者のイアン・ブレマー氏など、じつに豪華な顔ぶれで、これほどの著名人に直接インタビューをしている本書を、たった1200円で買えるのは破格です。

著者、川北省吾氏による各国ガイドも素晴らしく、登場する各地域の見所や歴史的意義がわかる、優れたガイドブックになっています。

これだけ高度な内容を書いているのに、まったく小難しくなく、かつエンターテインメント性に富む一冊。

これは読まない手はないと思います。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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3者を突き動かしているのは「失地回復(レコンキスタ)」への強烈な意志だ。だからプーチンはウクライナを再征服しようとし、習は「中華民族の偉大な復興」を唱え、トランプは「MAGA(米国を再び偉大に)」を連呼する

官僚機構を飛び越し、トップの胸先三寸で物事が決まる「ストロングマンの時代」には、異形の指導者の内在論理を知ることが不可欠だ。プーチンかり。習近平しかり。そしてトランプしかりである。とりわけ、ストロングマンの深奥に宿る遺恨や屈辱は、合理的思考では測れない

開始から約15分。オバマは後に繰り返し引用されることになる有名な言葉で演説を締めくくる。「アメリカは世界の警察官ではありません。われわれの力で全ての悪を正すことは不可能なのです」
「オバマは過ちを犯した」
この演説は、冷戦後の世界の流れを変えることになった

「オバマはプーチンや習に『失地回復(レコンキスタ)に打って出る好機が到来した』と思わせてしまったのだ」(ラスムセン)

ブッシュの発表は、まさに冷水を浴びせる仕打ちだった。アメリカは翌02年、通告通りABM制限条約から離脱した

「皇帝」の心理と論理はどのようなものなのか。アンジェラ・ステントは自著『プーチンの世界』で、プーチンを突き動かすドクトリンを考察した。核心にあるのは「国の大小によって主権に差がある」との信念だという

「紀元前の文献である『禹貢』の世界観も、19世紀末に著された『白人の責務』も、本質的には変わらない」と練は言う。「中華帝国も辺境の異民族を従え、教え導くことが文明世界の使命と考えている」

「弱いときは爪を隠し、じっと機会をうかがいながら、力をつけたら打って出るのが中国の指導者だ」(練)

スークラルは言う。「豊かな国々の視界に入ってこない(途上国の民主主義や格差、貧困といった)問題は重視されず、脇に追いやられた。『グローバルサウス(南の新興・途上国)』は置き去りにされた」

社会の不安定化を図るなら、白人を頂点とする社会の人種的、社会的ほころびを狙うのが最も効果的だ。ロシアは容赦なく、その「裂け目」を狙った。難民を武器化それを具現化したとみられるのが難民の武器化だ。大量の難民をヨーロッパに送り込み、白人優位社会を混乱に陥れる企てである

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タイトル通り「世界現代史」を知るための一冊ですが、正しく理解すれば、多極化する今後の世界の行方、経済の行方を知るための道標となり得る一冊です。

自民党圧勝のリスクと機会を知るためにも、ぜひ読んでおきたい一冊ですね。

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『新書 世界現代史』
川北省吾・著 講談社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065421926

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◆目次◆

はじめに
プロローグ 「警察官」の退却
第1章 覇者の驕り--「無敵」から「Gゼロ」へ
第2章 「格差」の超大国--アメリカを蝕む病
第3章 リバンチズム--「大ロシア」再興の野望
第4章 百年国恥--中華民族の偉大な復興
第5章 「南」の逆襲--BRICSの論理と心理
第6章 白人の焦燥--「人種置換」の世界観
第7章 SNSと情報工作--民主主義の新たな脅威
第8章 「警察官」の犯罪--時代遅れの戦後秩序
第9章 逆流する歴史--よみがえる伝統主義
エピローグ 「19世紀」へ向かう世界
あとがき
参考文献・注釈一覧

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