2026年2月20日

『不安の世代 スマホ・SNSが子どもと若者の心を蝕む理由』 ジョナサン・ハイト・著 西川由紀子・訳 vol.6909

【親・教師は必読】
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本日ご紹介する一冊は、現在世界中で規制対象となっているスマホ・SNSについて、有識者が見解を述べた本。

「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラー1位に輝いた本で、全世界の累計が早くも250万部を突破したそうです。

著者は、ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスの倫理リーダーシップ教授、ジョナサン・ハイト氏です。

著者は、『傷つきやすいアメリカの大学生たち』という本を出していますが、ここで探求したテーマをさらに深めて執筆したのが、本書『不安の世代』です。

『傷つきやすいアメリカの大学生たち』
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2025年12月10日、オーストラリアで16歳未満のソーシャルメディア利用を禁止する法律が世界で初めて施行されましたが、なぜ16歳なのかには、明確な理由があります。

本書のなかから該当部分を引用してみますので、子どもにスマホを与えている親は、しっかり読んでくださいね。

<脳の中でも報酬系は早い段階で成熟するが、前頭皮質--自己抑制や欲求の先送り、誘惑への抵抗に不可欠な部位--は20代半ばにならないと完全には成熟しない。そのため、プレティーン(13歳未満)の子どもたちは発達上とりわけ脆弱な段階にあるのだ>

本書では、スマホ・SNSが急速に発達した2010年代初頭に10代の心の健康が世界的に悪化したことをデータから明らかにし、その原因を分析しています。

そして、SNSが男子よりも女子に有害である理由、男子に起こった変化を明らかにしており、議論が活発化すれば、これまでの教育・子育ては変更を余儀なくされるものと思われます。

少なくともスマホ・SNSは16歳まで禁止、場合によっては中学受験も見直しを迫られるのではないでしょうか。

また、社会的には言いにくいことかと思われますが、女性が働くことの是非も問われるかと思います。

いろんな意味で物議を醸す内容であることは、間違いないですね。

少なくとも、大まかなデータと最後のアドバイスに関しては、読んでおくことをおすすめします。

税込3000円を超える本ですが、高いなんて言っている場合ではありません。

お子さんや孫のために、今すぐ購入して読むことをおすすめします。

それではさっそく、本文の中から気になる部分を、赤ペンチェックしていきましょう。

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脳の中でも報酬系は早い段階で成熟するが、前頭皮質--自己抑制や欲求の先送り、誘惑への抵抗に不可欠な部位--は20代半ばにならないと完全には成熟しない。そのため、プレティーン(13歳未満)の子どもたちは発達上とりわけ脆弱な段階にあるのだ

著者による4つの改善案
1.高校生になるまでスマートフォンを持たせない
2.16歳まではソーシャルメディア禁止
3.学校内ではスマートフォンを使用禁止とする
4.大人の監視なしの遊びを増やし、子どもの自主性を促す

青年期前半(10~14歳)の女子の自傷経験率は、2010年から2020年の間にざっと3倍に増え、青年期後半の女子(15~19歳)は2倍に

若い活動家に関する近年の研究では、政治的な活動をしている人たちの方がたいていメンタルヘルスの状態が悪い

人類に関する奇妙な事実がある。子どもはまず急速に成長するが、その速度がゆっくりとしたものになり、その後再び速くなるのだ

子どもが打ち傷に耐え、自分の感情に対処し、他の子の気持ちを察し、順番で行い、もめごとを解決し、フェアに遊ぶことを学ぶ一番よい方法は、大人の監視なしで行う子ども主導の遊びなのだ

家族で新しい国に移り住んだ場合、12歳以下の子どもはすぐに現地の言葉を訛りなく話せるようになるが、14歳以降に移住した子どもの場合は、いつまで経っても「出身はどこですか?」と尋ねられる可能性が高い

私たちは、子どもを守るための努力配分を見誤っている。子どもにはもっと現実世界で必要な訓練を積ませ、利点の少ない、安全装置もほぼ存在していないオンライン世界への参入は、もっと時期を遅らせるべきなのだ

注意欠如・多動症(ADHD)がある青年期の若者にはスマートフォンやゲームのヘビーユーザーが多いことが研究からわかっている

女子の場合は、より大きく、より一定した関連性がある。ソーシャルメディアの使用時間が長ければ長いほど、うつ病になりやすく、平日に5時間以上使用する女子は、まったく使用しない女子よりも、うつ病になる可能性が3倍だった

不安の時代に必要な6つの精神修養
1.特別な経験を共にすること
2.身体を他者と共に動かすこと
3.心静かに目の前のことに集中すること
4.自己を超えた何かとつながる精神的体験
5.容易に怒らず速やかに赦すこと
6.自然への畏怖の念

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本書を読むと、現在の社会問題のほとんどがスマホとSNSのせいではないかと思えてきます。

後半には、

・政府とテック企業が今すぐできること
・学校が今すぐできること
・親たちが今すぐできること

がそれぞれまとめられているので、該当部分だけでもぜひ読んでみてください。

精神・時間ともに余裕のある方は、370ページに書かれたレノア・スケナジ氏の7つの提言も読むことをおすすめします。(過保護な親にはちょっと辛いかも)

デジタル教科書、若者へのスマホ規制も、ぜひ本書を読んだ上で議論して欲しいと思いました。

これは必読の一冊ですね。

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『不安の世代 スマホ・SNSが子どもと若者の心を蝕む理由』
ジョナサン・ハイト・著 西川由紀子・訳 草思社

<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆

はじめに 火星人になりたい子どもたち
第1部 子ども時代を脅かす大転換
第1章 急激に高まった10代の苦悩
第2部 「遊び中心の子ども時代」の衰退
第2章 子どもの健全な発達に必要な5つのこと
第3章 発見モードとリスクを伴う遊びの必要性
第4章 思春期から大人への移行をスマホが阻む
第3部 「スマートフォン中心の子ども時代」の台頭
第5章 人間関係の希薄化・睡眠不足・注意の断片化・依存
第6章 SNSが男子より女子に有害な理由
第7章 スマホが男子から人生の意味を奪う理由
第8章 精神を高みへと導くもの・堕落させるもの
第4部 子ども時代健全化のために集合行為問題に挑む
第9章 集合行為問題に挑む心構え
第10章 政府とテック企業が今すぐできること
第11章 学校が今すぐできること
第12章 親たちが今すぐできること
おわりに 子ども時代を地球に取り戻すために
謝辞
原注
参考文献

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