2026年1月5日

『悪癖の科学』 リチャード・スティーヴンズ・著 藤井留美・訳 vol.6877

【今年一年を良い年にするための悪習・悪癖との付き合い方】
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新年になると、これまでの悪癖を治し、新たな習慣に挑もうとする人が多くなるわけですが、そこに待ったをかけるのが、本日ご紹介する一冊。

2010年に「悪態をつくことにより苦痛を緩和する」研究でイグ・ノーベル賞を受賞した、イギリス・キール大学の心理学上級講師、リチャード・スティーヴンズ氏によるベストセラー『Black Sheep』の邦訳です。

『Black Sheep』
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昨今の日本は、罵り言葉、お酒、タバコ、暴走行為が批判の対象になり、恋愛、セックスの話題も敬遠される傾向がありますが、本書は、世間が眉をひそめるような悪癖の意外な効用を述べた、興味深い一冊。

世間のコンセンサスとはちょっと違った、科学的視点からの「悪癖」の実態と効用を説いており、「マジメすぎる人生」の問題点に気づかせてくれる、一風変わった科学読み物です。

本書によると、「汚い言葉を口にすると、痛みへの耐性が高くな」り、酒を飲んで注意力が散漫になると、「創造的な思考が活発になる」。

また、自分の感情を認知して伝えることができない失感情症患者にとって、「スカイダイビングは強烈な感情を体験し、それが消えていくのを実感できる貴重な機会」なのだそうです。(女性スカイダイバーのうち、失感情症患者の割合は三三パーセント)

本書を読むと、悪癖を持っている人の真の問題点に気づけたり、婚活がうまくいかない人の違った側面が見えてきます。

また、われわれの仕事を生産的にする、悪癖の思わぬ効用にも気づくことができ、職場の環境改善にも役立つことと思われます。

世の中の趨勢は変えられないと思いますが、自分が幸せに生きるためには、トレンドに流されないことも大切。

本書を読んで、悪癖とほどよく付き合うことで、良い人生が訪れるのではないかと思いました。

2016年に出されたロングセラーで、今読んでも新鮮な印象があると思います。

2026年最初の一冊として、ぜひおすすめしたい名著です。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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人間が生きていることを実感するのは、リスクを選ぶときだ

実験の結果、汚い言葉を口にすると、痛みへの耐性が高くなることがわかった

セックスにおいて男性は視覚が、女性は触覚が優位になる

水とモルヒネを選べる日でもモルヒネに走るのはケージラットだった。パークで集団生活を送っていたラットたちは、水があるときはモルヒネに手を出さなかった

注意が過度に働いてしまうと、創造的な思考まで妨げられることがある。ひとつのアイデアにだけ注意が集中して、正解があるかもしれないほかのアイデアに飛びうつることができないのだ。適量の飲酒で、注意のコントロールが少しばかりゆるみ、その結果創造的な思考が活発になる。酒こそが創作の源泉と信じて疑わなかったJ・G・バラードは、科学的に立証された方法を実践していたことになる

しらふの男性だけのグループに女性がひとり加わっただけで、笑顔がやりとりされる回数が九パーセント増えた。だが女性の魅力もウォッカの前では形無しだ。男性だけのグループが酒を飲みはじめたら、笑顔のキャッチボールは二一パーセントも増えたのである

酒を飲んでいる女性は、飲んでいない女性よりも男性の顔写真を魅力的だと評価したのだ。男女を入れかえても同様だった

悪態混じりのスピーチビデオのほうが、授業料値下げの賛同者を多く獲得できるとともに、スピーチの説得力評価も高くなり、話し手の信用度は落ちていないことがわかった

精神科の診断に用いる質問票でうつと不安のレベルも調べたところ、恋愛度が高い被験者ほど、うつと不安の傾向が強く現われた

恋をすると血液中の神経成長因子(NGF)が増えるという研究報告がある。神経成長因子とは、子どもからおとなへと成長する過程でニューロン(脳細胞)を増やし、接続が密になるのを助ける物質で、不安などの感情に対処するうえでも役に立っている

調査結果でまず興味をひかれたのは、女性スカイダイバーに失感情症患者が多いことだった。研究者の推計では、その割合は三三パーセントになるという

第二子以降で生まれた人は、第一子にくらべて危険なスポーツに参加する可能性が一・四二倍高い

いたずら書きは集中力を保ち、退屈だけど必要な作業を効率よくこなす手助けをしていることになる

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不安やストレス、退屈、子どもがなかなか結婚してくれない、などの悩みがある方は、ぜひ読むことをおすすめします。

悪癖から遡って、その人の悩みがわかる一冊でもありますね。

ぜひ読んでみてください。

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『悪癖の科学』
リチャード・スティーヴンズ・著 藤井留美・訳 紀伊國屋書店

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◆目次◆

はじめに
第1章 相手かまわず
第2章 酒は飲め飲め
第3章 チョー気持ちいい
第4章 アクセルを踏みこめ!
第5章 恋をしましょう
第6章 もっとストレスを!
第7章 サポりのススメ
第8章 ダイ・ハード
謝辞
訳者あとがき
図版クレジット
原註

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