【全米でたちまち45万部突破】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4910063382
本日ご紹介する一冊は、発売から一瞬で45万部を達成した、全米ベストセラー。
著者の2人はミレニアル世代を代表する論客であり、特にエズラ・クライン氏は、右派・左派を問わず現代アメリカの世論形成に絶大な影響力を持つ、気鋭の政治ジャーナリストです。
基本的には、アメリカのリベラル派の失策による、現在の経済と社会の停滞の原因を分析したものですが、書かれている内容が、あまりに日本と酷似していて、決して他人事では思えない。
むしろ、日本の地価高騰や物価高騰、エネルギー問題や環境問題のありとあらゆる根幹を見事に解説し切っていて、これは政治家、ビジネスパーソン、投資家必読の一冊と思いました。
われわれの国でも、コロナ禍で政府がバウチャーを配ったり、需要促進キャンペーンを実施したり、お金を配ったりしてきましたが、問題は需要ではない。供給サイドにあるのです。
著者らは、本書の序章<「欠乏」を超えて>で、こう述べています。
<問題は、給付によって不足しているモノの需要を増やすと、価格上昇や実質的な配給という結果を招くことだ。住宅の供給が限られているのに補助金をばらまけば、家主は大儲けできる反面、家賃が高騰して家を借りられない人が続出する。医者が足りないのに医療費補助をばらまけば、患者の待ち時間が延びるか、診察費が高くなる>
本書の提案は、ただ一つ。
<われわれがみずからの望む未来を実現するには、必要なモノをもっとたくさんつくり、発明しなければならない>
ただ、それをやるには、政治の制約がある。
必要なものを作ろうとした時の手続きがあまりに複雑で、時間とコストがかかるのです。
本書では、なぜいまだにサンフランシスコ←→ロサンゼルス間に高速鉄道ができないのか、なぜアメリカが太陽光発電でドイツや中国の後塵を拝したのか、その原因を考察しています。
昨今、あらゆる国でリベラリズムが敗北していますが、それはリベラリズムがこれまでやってきた「新たな規制づくり」や「お金の流れを変える」という手法が、供給不足の時代には馴染まないからです。
著者らが言うように、<必要なのは「つくるリベラリズム」>なのです。
地方自治体含め、政治家にはぜひ読んでいただきたい一冊。
これから伸びるセクターを見極めたい投資家、ビジネスパーソンにも、必読の一冊です。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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経済学の中核をなすのが、需要と供給という概念だ。供給とは「何かがどれだけあるか」であり、需要とは「人々がそれをどれほど欲しがるか」だ
民主党は、消費者が必要なモノを買えるようにお金を渡すことばかりに気をとられ、政府としてあらゆる国民に保障すべきモノやサービスの供給にはさほど注意を払ってこなかった
一九五〇年代には住宅の平均価格は平均所得の二・二倍だった。それが二〇二〇年には六倍になっている
こうしてできあがったのが、中流階級的成功の象徴とされるモノはほとんどの人が手に入れられるのに、ミドルクラス的な安楽な暮らしは多くの人にとって手の届かないものになるという、なんとも奇怪な経済だ。一九六〇年代には四年制大学を無借金で卒業することができたが、フラットスクリーンテレビは買えなかった。二〇二〇年代はそれがほぼ反転した世界だ
ブルーベリーパイの面積を広げれば、ブルーベリーパイの総量が増える。だが経済成長とは同質のものが増えることではない。成長する経済と停滞する経済のちがいは「変化」だ。経済を成長させるとは、今とはちがう未来を前倒しすることだ。成長が速いほど未来と過去との乖離は広がる。パイというたとえを使うと、成長の最も重要な特徴が抜け落ちてしまうのだ
生産性が向上すると、従来と同じものがたくさんできるのではない。誰も想像したことのないような新しいモノが生まれるのだ
誰もが安価に住宅を手に入れられるようにするためには、価格を低くして供給を増やす必要がある。だが住宅所有を資産形成の手段にするためには、住宅価格は時間とともに大幅に増えないといけない
一九七〇年代のリベラリズムは、制度が乱用されているケースを発見し、阻止するためにさまざまなレベルの政府や部署に働きかけた。今度は制度を迅速化させるために、さまざまなレベルの政府や部署に働きかける必要がある
アメリカが国内の電力供給を拡充できなければ、控えめにいって大混乱、最悪の場合は大惨事になる。新たなデータセンターはより多くの電力を消費するので、供給が伸びなければ消費者向けの電力価格は上がる
封建主義が阻んでいた生産活動を資本主義が解き放ったのと同じように、資本主義も豊かさを阻害しており、共産主義という新たなパラダイムがそれを解き放つ可能性がある--。そんな経済分析の中核にあるのが「生産の束縛」と呼ばれるようになった概念だ。マルクスは、多くの企業が利益に固執するあまり、既存事業者の利益率を悪化させたり、すぐに利益をもたらさないようなアイデアを経済全体として追求できなくなっていると考えた
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『アバンダンス』(あり余るほど豊かな状態)という言葉が日本人にはわかりにくく、それゆえ本書の思想がどれだけ広まるのかわかりませんが、今読むべき、超一級の論考だと思います。
現在の社会・経済に起こっているあらゆる問題の根幹がわかり、じつにスッキリする内容でした。(原子力の安全性や太陽光発電の生態系への影響は、議論の必要があるかもしれません)
これはいきなり、今年のNo.1になりそうな一冊が登場しましたね。
ぜひ読んでみてください。
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『アバンダンス 「豊かな時代」を呼びさませ』
エズラ・クライン、デレク・トンプソン・著 土方奈美・訳 NewsPicksパブリッシング
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4910063382
<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0G69RJHS8
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◆目次◆
序 章 「欠乏」を超えて
第1章 成長せよ
第2章 建設せよ
第3章 統治せよ
第4章 発明さよ
第5章 活用せよ
結 論 あり余るほどの豊かさ(アバンダンス)を目指して
謝辞
日本語版解説 日本人のための「アバンダンス講座」
原注
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