2026年1月7日

『どうにかする』 パウロ・サバジェ・著 水谷淳・訳 vol.6879

【起業家が学ぶべき「4つの回避術」とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4910063277

本日ご紹介する一冊は、ファイナンシャルタイムズの「ベストブック」にも選出された『THE FOUR WORKAROUNDS』の邦訳。

著者は、オックスフォード大学サイード・ビジネススクール准教授で、起業家。リソースが乏しくハイリスクな状況下での課題解決法を専門とする、パウロ・サバジェ氏です。

サバジェ氏は、ブラジル生まれ。ビル&メリンダ・ゲイツ財団より奨学金を得て、2019年にケンブリッジ大学で博士号(工学)を取得。2023年、経営思想界のノーベル賞と言われる「Thinkers50」に選出され、現在は大企業や政府、政府間組織のコンサルタントとしても活躍しています。

本書は、そんな著者の処女作で、リソースが限られた状況で起業家がハイパフォーマンスを上げるための「4つの回避術」を紹介しています。

「便乗」--「既にあるもの」に乗れ
「抜け穴」--かいくぐれ
「誘導路」--時間を稼げ
「次善策」--理想は捨てろ

優秀なビジネスパーソンなら、みんなやっていることだと思いますが、この4つの現実的な対処法を知ることで、起業家としてのスキルが上がること、間違いなしです。

事例が豊富なのも、本書の特長です。

コカコーラの輸送に便乗して小児向けの安価な下痢止め薬を届け、ザンビアの子どもたちの命を救ったベリー夫妻の話、中絶が禁止されていたポルトガルで法の抜け穴をかいくぐった「中絶船」の話、CEOから直接プロジェクトの中止を命じされたのに大画面ディスプレイモニターをこっそり開発したヒューレット・パッカードの技術者チャック・ハウスの話、古い携帯電話を活用して、熱帯雨林の違法伐採を食い止めたトファー・ホワイトの話…。

「4つの回避術」を使って社会問題を解決した、鮮やかな事例がいくつも紹介されており、現在、なんらかの制約に直面している起業家に、きっと役立つ事例が見つかるはずです。

後半では、この「4つの回避術」を使いこなすためのヒントや思考法が説かれており、こちらも有用。

起業家や組織のリーダーには、ぜひ読んでいただきたい内容です。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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Gmailの考案者ポール・ブックハイトは、こんなことを書いている。「システムの存在するどんなところにもハッキングの余地はあるし、システムはいたるところに存在する」

サイモンは、巧妙かつ単純なアイデアを思いついた。医薬品の入手を妨げるシステム上の問題を回避するために、コカコーラの流通に文字どおり便乗するというアイデアだ。その方法とは、「小児向けの安価な下痢止め薬をパッケージに入れ、コカコーラの瓶ケースの瓶と瓶の隙間に挟み込む」というもの

1956年、パックご飯を販売するアンクル・ベンズと、チョコレートメーカーのM&M’sが、のちに言う「便乗CM」を思いついた

その映画「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の思わせぶりなポスターを覚えている方もいるかもしれない。高層階のオフィス、カメラに背を向けた謎の男が立っていて、そこに「グレイ氏が参ります」というキャプションが付けられていた。そこでスポンジ・ボブのマーケティングチームは、この男クリスチャン・グレイのポスターをまねて、シルエットを一目見て分かるスポンジ・ボブに差し替え、「スクエアパンツ氏が参ります」というキャションを付けたのだ。大人むけのエロティックな映画「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を観た親がにやりとして、子供をスポンジ・ボブの映画に連れていく気になるさまが想像できる

世界を揺るがすたった1つの介入法を夢見るよりも、勢いを絶やさずにたくさんの抜け穴を探ったほうが、短期的にも長期的にも大きな恩恵が得られる

塀の所有者が用いたある戦術が、どうやら効果を発揮しているらしい。ヒンドゥー教の神を描いた四角い陶製タイルが、膝くらいの高さで塀に埋め込まれているのを、私は国じゅうで見かけた。中には、ヒンドゥー教のモチーフのタイルとともに、イスラム教やキリスト教、シーク教の図像が描かれている塀もあり、この国の主要な宗教がみごとに調和していた。初めのうち私は、これは単なる信仰心の表れだと思っていた。ところがある研究者から、立ちションをしようとすると神々の鋭い目にひるんでしまうのだろうと指摘された

アイデアを推し進めるために、会社のルールや業務命令を回避することを選ぶ人もいる。イノベーションマネジメントの専門家はそれを、アメリカの禁酒法時代にブーツに酒を隠した習慣にたとえて、「ブートレギング」と呼んでいる

ビスケットや中古の携帯電話など、「ありふれたものの並外れた使いみち」を見つけるのが、次善策による回避術を編み出す1つの方法だ。しかしその逆、つまり「並外れたもののありふれた使いみち」を探すことでも、回避術のためにリソースを転用する大きなチャンスが生まれる

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英語で「be managed to」は、何とかして○○する、という意味ですが、本書には、まさにマネジメントで必要な「何とかする」スキルが書かれています。

追い込まれた時、制約がある時、どうやってそれを打破するか。

ビジネスパーソンにとって最もやりがいある瞬間を実現する、大事な4つのスキルを紹介した、興味深い一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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『どうにかする』
パウロ・サバジェ・著 水谷淳・訳 NewsPicksパブリッシング

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4910063277

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0G69T1QF3

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◆目次◆

はじめに
PART1 4つの回避術
第1章 便乗--「既にあるもの」に乗れ
第2章 抜け穴--かいくぐれ
第3章 誘導路--時間を稼げ
第4章 次善策--理想は捨てろ
PART2 回避術の使い方
第5章 回避術の思考法
第6章 回避術のマインドセット
第7章 回避術のパーツ
第8章 組織における回避術
終 章 仕事以外での回避術
謝辞

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