【未来を作る、期待の技術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296208128
未来を予測する方法にはいろいろありますが、近年重要性を増しているのは、テクノロジーの進歩でしょう。
本日ご紹介する一冊は、毎年出されている『日経テクノロジー展望』の2026年版。
サブタイトルが「世界を変える」だったり、「新型コロナに立ち向かう」だったり、若干マイナーチェンジするのですが、今回のポイントは、スタートアップデータベースを運用するZuvaと共同で開発した「テクノロジー未来投資指数」が載っていること。
この指数は、「トレンド指数」と「成熟度指数」という2つの独自指数を基に導き出したもので、最新年における累計資金調達額の年間平均成長率と、資金調達ラウンドの平均を測定して算出した成熟度を見ているもの。(成熟度が低いほど成長余地が大きい)
これによると、テクノロジー未来投資指数の1位は「岩石風化促進」で、2位が「ディープフェイク検出」、3位が「宇宙資源採掘」、4位が「バッテリーリサイクル」、5位が「AIエージェント」となっています。
最初から読むのもいいですが、今回の2026年版に関しては、この指標をチェックするために、後ろから読んでみてもいいと思います。
全部で100の未来技術が紹介されており、注目の技術の名前の下に、「技術成熟度」と「2030期待度」が示されています。
日経グループの記者が書いている記事を集めたもので、既に人口に膾炙した技術も含まれていますが、最新トレンドをキャッチアップするには便利な一冊です。
中には企業名や技術名、商品名が含まれた記事もあり、投資家にとってはバリューの高い一冊だと思います。
資金面で見る指数がどこまで投資に有効かはわかりませんが、「テクノロジー未来投資指数」のランキングをざっと眺めて、知らないものがあったら読む、というのが効率的でいいと思います。
1つの技術につき、見開き2ページから4ページといったボリュームなので、詳しく知りたい方は、さらに詳しく調べると良いと思います。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
—————————-
AI駆動開発とは、生成AI(人工知能)にコーディングさせ、システム開発を効率化・高速化する技術だ。資材などの通信販売会社であるMonotaROが本格的に取り組む
極低温エッチングは、半導体製造装置の新技術。エッチング装置は、半導体ウエハー上でイオン化したガスなどをぶつけて物理的あるいは化学的に膜を削るための装置。ウエハーを極低温に冷やすことで加工精度を高められるため、東京エレクトロンや米ラムリサーチが開発を加速させている
岩石風化促進
粉砕した岩石を農地などに散布し、大気中のCO2を除去
ペロブスカイト太陽電池
建物の壁に設置しやすい、次世代の太陽光発電
World IDとは、世界各地で展開している生体認証を使ったデジタルIDサービス。インターネット上に存在するAI(人工知能)と人間を識別する
デジタルツインは、現実の物体や現場の情報をセンサーなどで集め、コンピューターなどの仮想空間上で、動きや状態を再現する技術。国内では製造業や建設業、都市やインフラの管理での活用が進んでおり、多くの企業や自治体が導入検討や実証を行っている
医療系新興企業であるトータルフューチャーヘルスケア(TFH、東京・港)は、NTTドコモ・ベンチャーズや中部電力、YKKAP、大東建託と共同で、高齢者の認知症などの兆候を早期発見するプラットフォームを開発している
SDV(ソフトウエア定義車両)とは、車両の販売後に通信によって車載ソフトを更新することで、機能を増やしたり、性能を高めたりできるクルマのこと
2024年8月、ミスミグループ本社は類似図面検索サービス「meviy Finder」の無償提供を開始した。同社は、顧客が図面をアップロードすると見積もりや発注ができるサービス「meviy 2D」の事業を運営している。meviy Finderを使うと、顧客は事前に過去の発注を検索しやすくなり、見積もりも容易になるという
電気味覚は、人間が味を感じる味覚器に微弱な電気刺激を流すことで、味覚を変化させる技術。例えば、箸やスプーンなどに電流を流して口に入れることで、塩味を感じさせるナトリウムイオンが味覚器に集まり、味をより感じるようになる
アース製薬のニューロマーケティングでは、視認、好感、伝達の3つの指標を調査する。パッケージを見た際の脳波の動きだけでなく、視線の動きや、質問に対してどの商品がイメージに合致するかを選ぶ行動評価、主観評価としてアンケートを組み合わせる
—————————-
これ一冊読んでおけば、来年動きがあった時に、「あ、あの技術か!」とすぐさま反応できるはず。
ビジネスや投資で勝つために、ぜひ押さえておきたい一冊です。
———————————————–
『日経テクノロジー展望2026 未来をつくる100の技術』
日経BP・編 日経BP
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296208128
<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0FQHSZH22
———————————————–
◆目次◆
はじめに
第1章 2030年のテクノロジー期待度ランキング
第2章 AI(人工知能)
第3章 エレクトロニクス・モビリティー
第4章 環境・エネルギー
第5章 IT・通信
第6章 建築・土木
第7章 メディカル・バイオ・食農
第8章 ライフスタイル・ワークスタイル
巻末 テクノロジー未来投資指数
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
お知らせはまだありません。