【しびれる一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837940579
本日ご紹介する一冊は、2000年から2004年までボストン コンサルティング グループの日本代表を務め、現在早稲田大学名誉教授を務める内田和成さんが、組織や個人を「口説く」技を指南した一冊。
内田和成さんと言えば、名著『仮説思考』『論点思考』が広く知られていますが、本書はこの2つのベースとなり得る一冊。
『仮説思考』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492555552
『論点思考』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492556559
なぜなら、仮説を立てるにしても、論点を探るにしても、そこには「主観」の理解が不可欠だからです。
マーケティングでインサイトを探る行為も、クライアントの社長の「論点」を知る行為も、結局は「相手の主観を理解する」ことにほかならない。
著者は、本書の中でこう言っています。
<現代人に必要なのは、「ロジカルで客観的な話をする力」よりも、「相手の主観に寄り添う力」>
これは、SNSで何かを発信する際にも、書籍を執筆する際にも、重要なポイントでしょう。
著者曰く、<AIによって、これまで私たちが重要視してきた「客観性に基づくスキル」が、今後ますます「代替可能なもの」になっていく>。
だからこそ、<主観をベースにして「互いに一致できる基準」をその都度”見つけていこう”とすることが、今後ますます大事になってくる>というのです。
本書では、プロのコンサルタントである著者が、どうやって相手の「主観」を把握しているのか、どうやって相手の心をつかみ、クライアントを動かしてきたのか、その要諦が書かれています。
「ファクト」や「数字」では表せない客観性が存在することに気づくこと、クライアントの「主観的な価値」に気づくこと、立場や性格、経験値や知識によって「解釈」が変わることに気づくこと、「合理性」とはすなわち、「安全性」であることに気づくこと。
これができれば、コンサルティングや法人営業の世界で、きっと成果を出せるようになるでしょう。
少なくとも、「クライアントを論破」したり、「この提案受けないなんてバカですよ」と毒づく勘違いなビジネスパーソンにはならないはずです。
また、組織を束ねるための重要なヒントを示しており、なかでも以下の部分はしびれました。
<組織内に存在する多様な主観を、「客観的な指標」で無理やりコントロールするのではなく、より「大きな主観」によって束ねていくこと>
コンサルタントや営業マンはもちろん、リーダーにもぜひ、読んで欲しい一冊です。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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「ファクト」や「数字」では表せない客観性もある
→「文化」「社会規範」「一般常識」
スタート地点を「主観」に再設定せよ
市場価格とは所詮、多くの買い手にとっての「平均的な価値」を反映したものにすぎない。しかし、買い手が特定の物件に「主観的な価値」を見出した瞬間、その人にとってその物件の価値は、市場価格を上回ることになる
「内なる思い」とじっくり向き合わないままに「他人の主観」に触れてしまうと、あなたは、さもそれが「初めから自分の意見や感想だった」かのように思い込んでしまう
「雨が降っている」という身近な現象でさえ、人によってその感じ方や捉え方は違う。その人の立場や性格、経験値や知識などといった「どんなデータベースを通して見るか」によって、「解釈」がまるっきり変わってしまう
人間の判断は、その人個人の「感情」に根差している
「合理性」とはすなわち、「安全性」であるとも言える
ときに「自分の主観に従う」ことが、適切なリスクヘッジやビジネスでの成功に結びつくこともある
「自分の意見をつくる」ためには、自分の立場や主張を「いったん、決める」ことが重要
「本来の自分の感情はいったん、脇に置く」こと。たとえ「自分としてはプランAのほうがいい」と思っていても、最終的なアウトプットをよりよいものにするためには、あえて反対側の立場から考えたり、普段とは違う視点に立つことも重要になる
主観と主観の重なり合ったところに”客観”が生まれる
相手が「自分の価値を理解してくれている」という前提があったうえで、「わかっている人」の提案だから、聞く耳を持ってくれるのである
「相手の主観」を突き止める5つのステップ
(1)情報収集を行う
(2)行動観察をする
(3)問いかける
(4)仮説を立てる
(5)仮説を検証する
「プロービング」で相手の知識の偏りを探る
組織内に存在する多様な主観を、「客観的な指標」で無理やりコントロールするのではなく、より「大きな主観」によって束ねていくこと
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あらゆるビジネススキルに先行する、「相手の主観に寄り添う力」の育て方が書かれており、すべてのビジネスパーソンに読んで欲しい一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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『客観より主観』
内田和成・著 三笠書房
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837940579
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◆目次◆
はじめに
序章 なぜ「あの人」と「わたし」は、わかり合えないのか?
第1章 まず、あなたの「価値観」を徹底的に洗い出す
第2章 「常識」「ルール」「思い込み」から自由になる考え方
第3章 「説明しても伝わらない」を乗り越える方法
第4章 だから、あの組織はうまくいく
おわりに
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