【必読の一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152104856
本日ご紹介する一冊は、マイクロソフト創業50年、ビル・ゲイツ70歳という節目の年に企画された、自伝三部作の第一巻。
ビル・ゲイツの幼少期から、マイクロソフト創業までをたどった内容で、天才ビル・ゲイツがいかにして生まれたか、特に祖母や両親、教師、友人たちとの交流を中心に描かれています。
トランプの達人で、著者にゲームで勝つための秘訣を教え、本の読み聞かせもしてくれた祖母のガミ、著者の性質を理解し、サポートしてくれた母、著者に法律の大切さを教えてくれた父、そして彼らの教えが登場し、親や教育者にとっては、極めて興味深い内容です。
個人的には、ビル・ゲイツの母が家族旅行の際に書かせたという「旅行日誌」が刺さりました。
具体的には、以下の7つの項目を書かせるというもので、ページの下には、その日の旅についての自由記述欄もあったそうです。
1.地形
2.天気
3.人口ぶんぷ
4.土地利用
5.産物
6.史跡などの名所
7.その他
著者は、このことについて振り返り、「毎日の記録を通じて、母は僕らが地理、地質学、経済、歴史、さらには算数まで学べるようにしてくれた」と述べていますが、これを読んで衝撃を受けない親はいないのではないでしょうか。
天才ビル・ゲイツを生んだ教育がどんなものだったかを知る、貴重な資料だと思います。
マイクロソフト成功の話は主に次回作で語られるようですが、この一巻では、ビル・ゲイツの人間性や強み、個性がどのように築かれていったか、そのプロセスを理解できると思います。
エピソードや気づきが興味深く、文章も上手い。
これは、読まない手はないと思います。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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どれだけ複雑に見え、謎めいてすら感じられることでも、たいてい解き明かすことができる。トランプはそれを教えてくれた。世界は理解可能なのだと
祖父は不安を抱えて生き、厳格なルールにしがみついた。ドームは自分に欠けているものにはこだわらず、これからの人生の可能性に焦点を合わせた。父はドームの世界観のほうが好きだった
成績のつけ方も同じだ。普通に「A」が最高で、そのあとに「B」と「C」がつづく。これはわかる。わからなかったのは、努力に成績をつける必要性だ。たくさん努力したら「1」、そこそこなら「2」、努力しなかったら「3」がつく。当然、A1がいちばんいい成績だと考えられていた。僕に言わせればおかしい。本当に頭がよくて最小限の努力でAが取れるのなら、A3が最高の成績であるべきだ
コンピュータには考えることを強いられる。僕はそれが大好きだった。ずさんな思考は一切許されない。論理の一貫性と細部への注意が求められる
『天才! 成功する人々の法則』でマルコム・グラッドウェルは、高次元のスキルを獲得するには一万時間の意識的な練習が必要だと論じる。作曲でもテニスでも同じで、僕もソフトウェアの例としてその本で取り上げられている。彼のルールに僕の考えを付け足したい。無料でコンピュータを使えた幸運、いわば最初の五〇〇時間がなければ、次の九五〇〇時間は存在しなかったかもしれない
コーディングがうまくなるにつれ、僕は何か意味のあることをしたいと思うようになった。本当にだれかの役に立つプログラムを書きたくなったのだ
パートナーは自分に足りないものをもたらしてくれる。もう一段上を目指そうという気にさせてくれる。ポールがパートナーでいてくれることで、より自信をもって能力の限界に挑戦できた
僕はいろいろなタイプの人と同じ場所に放り込まれるのが好きだった
友人たちには極端だと思われても、自分にはしっくりくる日々のリズムに身を委ねた。勉強とプログラミングに取り組み、三六時間眠らずにいることもあった
いま僕が子どもだったら、おそらく自閉症スペクトラムと診断されるだろう。僕の子ども時代には、一部の人の脳がほかの人とはちがうやり方で情報を処理することは、あまり理解されていなかった。(中略)わかっているのは、母と父がまさに必要なバランスで援助とプレッシャーを与えてくれたことだ。感情面で成長できる余地を与えてくれ、ソーシャルスキルをのばす機会をつくってくれた。僕を自分のなかにこもらせず、世界へ押し出してくれた
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この後、続く第二巻ではマイクロソフトの挑戦と成長、第三巻では世界的な慈善活動の歩みが語られる予定だそうです。
続編も楽しみですね。
著者と確執のあったポール・アレンやエド・ロバーツが生きていたら、何らかの批判をしたかもしれませんが、自伝としては、面白い本だと思います。
ポール・アレンの本音を知りたい方は、以下の本を読むといいと思います。
『ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062171287
天才を育てようとする親や教師はもちろん、すべての人におすすめの内容です。
ぜひ読んでみてください。
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『ビル・ゲイツ自伝1 SOURCE CODE 起動』
ビル・ゲイツ・著 山田文・訳 早川書房
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152104856
<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0G51G3RKH
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◆目次◆
主な登場人物・企業
プロローグ
第一章 トレイ
第二章 ビュー・リッジ
第三章 合理的
第四章 運のいい子
第五章 レイクサイド
第六章 フリータイム
第七章 ただの子ども?
第八章 現実世界
第九章 ひとつの幕と五つの九
第一〇章 ませた子
第一一章 ワイルドカード
第一二章 きちんと正しく
第一三章 マイクロ=ソフト
第一四章 ソースコード
エピローグ
謝辞
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