2025年12月5日

『シン・理解力』 深沢真太郎・著 vol.6858

【これでバッチリ、理解力が上がる。】
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「一を聞いて十を知る」という言葉がありますが、あれは元々、『論語』に出てくる言葉だそうですね。

ある時、孔子が弟子の子貢に「あなたと顔回ではどちらが優れているか」と問い、子貢が、「顔回と比べるなんてとんでもない。顔回は一を聞いて十を知る、自分は一を聞いて二を知る」と答えた、というのが由来だそうです。

一から十まで説明しないとわからない人がいる一方で、優秀な人は一を聞くだけで十を知ることができる。

それは一体なぜなのでしょうか?

本日ご紹介する一冊は、この「理解力」の差を、数学的アプローチを用いることで見事に説明した、注目の一冊。

著者の深沢真太郎さんは、明治大学の客員研究員で、「ビジネススキルと数学教育」をテーマに独自の研修プログラムを開発・提供する、ビジネス数学教育家です。

本書の中で著者は、「理解には2つの段階がある」として、2つの「理解」を提示しています。

第一の理解:まず、目の前の対象について説明できる状態にする

第二の理解:異なる対象を「同じもの」とみなし、説明できる状態にする

もうおわかりかと思いますが、この「第二の理解」ができることこそが、デキる人の思考法。

ただ、人は一足飛びにこの状態になれるわけではなく、まずは第一の理解をマスターすることから始まります。

この第一の理解を進めるために、著者は自身が考案した「DASモデル」を提唱するのですが、これは有用なモデルだと思います。

具体的には、以下の3ステップです。

DASモデル
ステップ1 Definition(定義)
ステップ2 Analysis(分析)
ステップ3 Systematization(体系化)

なぜ、外資系企業では議論の前に「定義」するのか、下積みがアナリストから始まるのか、わかる気がしますよね。

「分析」についても、
<「分解」と「比較」の2つの行為のいずれか、あるいは両方を組み合わせて行うだけ>と明確に説明し、具体例として売上高の分解例を挙げています。

売上高=(単価)×(客数)
売上高=(新商品の売上高)+(既存商品の売上高)

これが自在にできるようになるだけで、部下が相当優秀になることと思います。

体系化に関しては、「構造化」もしくは「モデル化」することと明確に定義し、こうまとめています。

構造化:図にすること(図解化)
モデル化:式にすること(数式化)

「第二の理解」に関しては、抽象化思考の詳細を説明しており、「理解力」という曖昧な概念を、ここまで明確に説明した本を、初めて読みました。

ぜひ、社員教育や自己研鑽に活用していただきたい内容です。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

—————————-

算数……計算力の育成
数学……理解力の育成

感想(自分の心の動き=主観)だけを言う人→行動変容できない

理解した内容(内容把握=客観)を言える人→行動変容できる

理解には2つの段階がある
第一の理解:まず、目の前の対象について説明できる状態にする
第二の理解:異なる対象を「同じものとみなし、説明できる状態にする

DASモデル
ステップ1 Definition(定義)
ステップ2 Analysis(分析)
ステップ3 Systematization(体系化)

定義するための2つの視点
・「考える対象が何なのか」をはっきりさせる
・「立場(=観点や方針)を定義する

分析とは「分解」と「比較」の2つの行為のいずれか、あるいは両方を組み合わせて行うだけ

売上高=(単価)×(客数)
売上高=(新商品の売上高)+(既存商品の売上高)

分解において不可欠な2つの視点
(1)構成する要素を列挙する
  (「これがなかったら成立しない」ものを挙げる)
(2)「モレ」や「ダブり」がないか確認する

生産性=(得られたもの)÷(かけた資源)

抽象とは、細かい特徴を消して共通点だけを抜き出すこと

具体とは、細かい特徴を見出して相違点を明らかにすること

第二の理解までたどり着いた部下なら、機転を利かせ「その状況+それ以外の似たような状況」でも同じように行動できるはずです。なぜなら「その状況」と「それ以外の似たような状況」を、「異なるけれども本質的に同じもの」と認識できているからです

賢い人は、異なるものを同じものとみなして世の中を眺めている

体系化とは、「法則や原理としてまとめる」こと

構造化:図にすること(図解化)
モデル化:式にすること(数式化)

「わける」コツ
1 絶対に欠かせないものを挙げる
2 まずは2つにわける

—————————-

数学の専門家が書いているということで、小難しい内容を連想する人も多いと思いますが、実際にはビジネスの基本や愛、結婚を題材に用いるなど、とっつきやすい内容です。

「自分はどうしてこんなに出来が悪いんだろう」と悩む人に、ぜひ読ませてあげて欲しい一冊です。

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『22文字で、ふつうの「ちくわ」をトレンドにしてください』
武政秀明・著 サンマーク出版

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◆目次◆

はじめに
第0章 「理解したつもり」症候群
    --あなたの「わかった」本物ですか?--
第1章 「理解」を数学の切り口から捉え直す
    --数学的思考という結論--
第2章 第一の理解
    --DASモデルで「わかった」を手にする--
第3章 第二の理解
    --さらに深い理解のために必要な「2つの世界」--
第4章 理解の質を決める数学的思考
    --「まとめる」の正解--
第5章 理解力を「使える」状態にする
    --問題解決や言語化が面白くなる厳選7問--
第6章 「共通理解」の作り方
    --理解力とコミュニケーションの交差点--
おわりに

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