【これからの日本人は定年後をどう生きるか】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4868011073
本日ご紹介する一冊は、外務省主任分析官としてロシア外交の最前線で活躍するも、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕・起訴、その後失職し、作家に転じた佐藤優さんによる定年後の生き方論。
希望を持たせるタイトルが功を奏してか、ベストセラーとなっています。
なぜ定年後の日本人が、「世界一の楽園を生きる」のか、その根拠として著者は、日本の手厚い高額療養費制度を挙げます。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額がひと月の上限額を超えた場合、その超えた金額を支給する制度のことです。
また、図書館や各地域の公共スペース、ネットフリックスを始めとする安価な娯楽、生活必需品が手に入る環境などを挙げ、お金がなくとも充実した毎日が過ごせる可能性を指摘しています。
決して夢だけを描く訳ではなく、活躍していた過去に固執しないこと、下手な起業や投資はしないこと、固定費を見直し、日々の生活費を切り詰めることも提案しています。
お金に関しては地味なアドバイスが続きますが、精神面、生き方面では、知識人の著者らしい、含蓄に富んだアドバイスが並びます。
「あなたに欠けているものが一つある。行って持っているものを売り払い、貧しい人に施しなさい。そうすれば天に富を積むことになる。それから私に従いなさい」(イエスの言葉)
「日本人が教養を取り戻すためには、古文や漢文の読み直しが必要だ」(著者)
「四〇歳から前は勝つように、四〇歳からは負けぬように」(武田信玄の言葉)
「仕事が楽しみなら人生は楽園だ。仕事が義務ならば人生は地獄だ」(ゴーリキーの言葉)
定年後の生活をシンプルに、豊かなものにするアドバイスもなされており、「隠れ家」を作る発想は、真似したいと思いました。(外に書斎を持つのは、魅力的ですね)
「定年後まではまだまだ時間がある」という方も、本書を読んでシミュレートすれば、今やるべきことが見えてくるはず。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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日本には高額療養費制度がある。すなわち、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月の上限額を超えた場合、その超えた金額を支給する制度である
日本には、図書館という「オアシス」が身近に存在する。あるいは各地の地域センターにも公共スペースが設けられている。ここを読書などの「秘密基地」にしてもいいだろう。そうして自分が関心のあるテーマ、あるいは学生時代の専攻分野を、さらに研究するのだ
仏教では「執着」こそがすべての苦しみの根源とされる。定年後の人たちは、「かくあるべし」という思念から離れ、身軽になるべきだろう
自分が会社で活躍していた過去に固執すれば、家族やコミュニティの人間関係において不満が湧いて、周囲との軋轢が生まれる。過去の収入や地位に固執すれば、現在の自分に納得ができなくなる
現在、還暦を迎えた人たちは、これまでの同世代以上に、守りに徹する必要があるかもしれない
それは動物で言えば、極力動かないことをモットーとするナマケモノの生存戦略に近い。ナマケモノはなるべく動かずに基礎代謝を減らし、エネルギー消費を極力抑えている。こうした逆転の発想で、これまでずっと生き延びてきたのだ
六〇歳を過ぎてから起業などすべきではない。船体が大きく燃料を大量に積んでいる大型クルーズ船でなければ、日没後に外洋を目指してはいけないのだ
仕事のために投入していたエネルギーや時間を、家族や友人などとのプライベートな人間関係や、あるいは個人的に興味のある趣味や勉強へと移行させてゆく
世の中に意のままにならないことがあると自覚している人は孤独にならない
退職金という大金を手にしても、定年後の投資や起業はダメ
還暦以後の人生は撤退戦
「あなたに欠けているものが一つある。行って持っているものを売り払い、貧しい人に施しなさい。そうすれば天に富を積むことになる。それから私に従いなさい」(イエスの言葉)
定年後も住宅ローンの支払いが続いているのであれば、住み替えを決行する
恋愛でも趣味でも、他者からの評価を気にして生きるのをやめることだ
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資産運用や起業のアドバイスは、他の専門家の意見も聞くべきだと思いますが、精神面、勉強面では、参考になる本だと思います。
ぜひ、チェックしてみてください。
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『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』
佐藤優・著 飛鳥新社
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4868011073
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◆目次◆
まえがき 「自分が本当に幸せだ」と感じる条件が揃う日本
第一章 定年後のマインド「リセット」
第二章 定年後のおカネ
第三章 定年後の勉強
第四章 定年後の仕事
第五章 定年後の交友関係
第六章 定年後の隠れ家
第七章 定年後の家族関係
第八章 定年後の恋愛・趣味・健康
あとがき 他人と比較してものを考えるのは致命的な習慣
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