【文章で億稼ぎたい人に。】
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本日ご紹介する一冊は、『東京貧困女子』や劇場映画化された「名前のない女たち」シリーズで有名な、ノンフィクションライターの中村淳彦さんによる、ライターで食べていくためのノウハウ本。

『東京貧困女子』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492261133

著者は、これまでに出した著作の累計が120万部を超えており、コミック化、映像化もされていることから、確かに文章で「億」稼いでいます。

本書では、じつは会社員をやりながら副業でライターをやり、億稼いだという著者の「戦略」と「テクニック」が語られます。

著者が講師を務める文章講座『悪魔の傾聴ライティング』受講生からの質問をベースに、Q&A形式で答えているので、一般に考えられているライターの定石と、著者の戦略がいかに違うか、実感できると思います。

ライターとしてのポジションをどう取るか、どうやって文章で複利効果を生むか、どうやって取材するか、どう傾聴すれば相手は本音を話し出すのか、現場の何を観察し、何を原稿にするか…。

よくここまで戦略を言語化し、テクニックを体系化できたものだと、正直、驚いています。

ビジネス書読者向けに書かれた客観目線の文章（本文）、ノンフィクションで著者が書いた臨場感たっぷりのルポ（文例）、現場で著者が感じた非言語情報（取材）の３つを対比すれば、著者が現場で観察したものをどうやって文章にしているか、リアルなところがわかると思います。

貧困、虐待、売春など、センシティブな内容を取材する著者ならではの非言語情報を捉える技術、傾聴の秘訣が書かれていて、これはプロでも読むべき内容だと思いました。

手早く核心に迫る「ピックアップ・クエスチョン」、失敗して再取材になった時の、「環境を変えて語りを引き出す５つのポイント」は、使いこなせれば、インタビューの名手になれると思います。

また、「愛ちゃん（仮）の人生はテーマだらけ」と題した文章の傍線部分を見てピンとくれば、執筆テーマ探しのセンスが身につくと思います。

プロのライターになりたい方、面白い文章を書きたい方、副業やリモートで稼ぎたい方は、ぜひ読んでおくといいでしょう。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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これから人が手掛けるのは、インターネット上に情報のない無名な人物を相手にした、書き手が五感をフル活用した取材です。（中略）具体的には相手の第一印象、その場所の雰囲気、相手の機嫌、匂い、聴こえてくる音、相手の持ち物、相手の服装、相手の表情などなどです。それらの感覚は音声データからは知ることができません

既存の報酬や単価に流されないで、自分で考え抜いて決めた「専門分野」を持つ

筆者にAV女優インタビューの連載がまわってきたのは、ライターになって３年目でした。そのとき、旬の人気女優に性的な話を聞くのではなく、無名の企画女優からリアルな話を聞くブルーオーシャン戦略を実行しました

筆者は18禁の男性娯楽誌のライターもやりますが、一方で「女性の売春から見える社会病理」というテーマを掲げて一般誌にも進出できました。そうすると、男性娯楽誌のAV女優インタビューも、社会問題としての毒親被害者も、すべての文章が線で繋がってきます

早い段階での第一次情報は、それを専門にしている人にしか巡ってきません

専門分野の選び方
「不人気」×「読者が存在する」

相手が語らなくとも、非言語情報を集める

ピックアップ・クエスチョン
すでに相手が発言した単語や主旨を拾って、即時に短い質問を投げかけるテクニック

相手の物語をそのまま受容していくためには、相手と自分を切り分けて「自分のフィルターを通さない」ことが必要

「腕の傷、すごいね？」と声をかける

会話形式の文章を書くときは、会話する２人の空気感を想像し、無駄な重複語尾や相槌などを削ぎ落としながら、文章上でリズムを生み出していきます

環境を変えて語りを引き出す５つのポイント
１　場所–失敗した現場を避け、相手が記憶を刺激される場所を選ぶ
２　時間–深夜・早朝など日常と切り離された時刻は効果的
３　同行者–場合によっては第三者を外し、一対一で臨む
４　聞き手の装い–服装や持ち物も前回と変えて、「同じ取材ではない」ことを示す
５　傾聴姿勢–相手の沈黙も否定も受けとめ、遮らずに聞き切る

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文章術の本は、これまでにもたくさん紹介していますが、観察・インタビュースキルの本としては、トップクラスに面白いと思います。

野村進さんの『調べる技術・書く技術』と併せて読めば、書き手としての観察力は、バッチリ鍛えられると思います。

『調べる技術・書く技術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062879409

ぜひ読んでみてください。

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『プロが教える億を稼ぐ文章術』
中村淳彦・著　夜間飛行

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◆目次◆

はじめに　億を稼ぐ文章の書き方をお伝えします！
第一章　文章を資産にして複利で稼ぐ
第二章　億を稼ぐための「ブルーオーシャン戦略」
第三章　取材とは「相手に興味を持って傾聴」すること
第四章　人から聴いた言葉を文章にする
第五章　書いた文章を一晩寝かせて「推敲」する
あとがきにかえて–文章マネタイズの基本は「商業出版」です。