【必読の一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4911115831
本日ご紹介する一冊は、クックパッドの料理写真撮影、写真講座を経て、フリーカメラマンとして活躍する著者が、自身の子育てを語った、異色の一冊。
双子が両方とも京大に合格した、というだけでもすごいのですが、本当にすごいのはそのやり方。
最初は、「カメラマン視点で子育て」というのがよくわからなったのですが、以下の部分を読んで、その意味がよくわかりました。
ちょっと長いですが、引用してみましょう。
<写真というのは、目の前にあるものしか写せません。りんごが目の前にあったらりんごが写るし、みかんが目の前にあったらみかんが写る。(中略)でも、このごくシンプルな原則が、子育てになるとできないものなのです。「○○中学に入ってほしい」「△△大学に行ってほしい」と理想を思い描くあまり、いつの間にか、子ども本来の姿を見失ってしまうのです。まるで、目の前のりんごに「みかんになってほしい」と願うようなことをやってしまうのです>
この時点で、頭をガツンと殴られた親は多いのではないでしょうか。
子どもをありのままに見て、その子に合った教育をする。
事実、双子とはいえ、兄弟は2人とも最初から勉強ができたわけではなかったそうです。
興味関心も、成長速度も違う2人を、著者がどう考え、指導していったのか。
戦略面、実践面両方から勉強になる一冊です。
子育てや部下指導で悩む人は、以下の部分が参考になると思います。
・「楽しむ」のじゃなくて「おもしろがる」
・「褒める」ではなく「感動を伝える」
一連の「ほめ方本」を読んで感じていた違和感が払拭され、衝撃的瞬間を味わえると思います。(子育てに成功する人に、天真爛漫な人が多いのはこれかもしれません)
こじらせちゃった大人にとっても参考になる部分が多く、以下の部分を読めば、なぜ「やりたいこと」が見つからないのか、その理由がわかると思います。
<もちろん、お友だちも大事です。でも、大事なのは順番なんです。自分の「好き」を見つけること。それが先なんです。お友だちは、そのあとで自然にできてくるものなんですよ>(幼稚園の先生)
<友だちを先に気にしてしまった子が、あとから「好き」を見つけるのは難しいんです>(幼稚園の先生)
自費出版らしいですが、ぜひ、そのうち商業出版してベストセラーになってほしい。
それぐらい面白い子育て論でした。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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写真というのは、目の前にあるものしか写せません。りんごが目の前にあったらりんごが写るし、みかんが目の前にあったらみかんが写る。(中略)でも、このごくシンプルな原則が、子育てになるとできないものなのです。「○○中学に入ってほしい」「△△大学に行ってほしい」と理想を思い描くあまり、いつの間にか、子ども本来の姿を見失ってしまうのです。まるで、目の前のりんごに「みかんになってほしい」と願うようなことをやってしまうのです
「この編集、どうやってるのかな?めっちゃカッコいいよね」(中略)それから1週間。なんと信一は自分でアニメーション動画をひとつ完成させてしまったのです。(中略)そのときはもう、私の中の「YouTubeばかり見てないで勉強してほしい」と思う気持ちはすっかり消えていました。それよりも、自分の興味から学びへとつなげていく力。その芽が育ち始めていることのほうが、ずっと価値があるように思えたのです
「楽しむ」のじゃなくて「おもしろがる」
「褒める」ではなく「感動を伝える」
子どもが何かに夢中になっているとき、「結果が出たから」「努力をしたから」と褒めるのではなく、「うわ、すごい!」「なにその発想、最高!」と、親の心が動いたままに言葉をかけてみる。それだけで、子どもは「自分ってけっこうやれるかも」と、心がムクっと動き、それがやがて「自分はできる」という確信へと育っていくのではないか
わたしが考えたのが「第三の場所=サードプレイス」をあらかじめつくっておくことでした。自分の居場所がひとつしかないと感じていると、その場所でうまくいかない時に、子どもは追い詰められてしまいがちです
探すべきは唯一の「正解」ではなく、「わが家にとっての最適解」
なにもかもをリビングに集約したことによって、わたしのストレスは激減しました。子ども部屋を片付ける手間もなければ、遊び場の動線に悩むこともない。リビングがゴチャついても、「これは保育園だから」と自分を納得させることもできる
「子どものやりたい気持ちを止めずに見守ること」
「やりきった後、いつでも戻れる温かい場所を用意すること」
もちろん、お友だちも大事です。でも、大事なのは順番なんです。自分の「好き」を見つけること。それが先なんです。お友だちは、そのあとで自然にできてくるものなんですよ(幼稚園の先生)
友だちを先に気にしてしまった子が、あとから「好き」を見つけるのは難しいんです(幼稚園の先生)
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もちろん、良いことばかりではなく、著者自身が至らなかった時のエピソードも書かれています。
<「足りないところ」にばかりピントを合わせてしまった>
という話、子育て経験者には刺さるに違いありません。
著者自身が、子育てにあたりだいぶ勉強をしたようで、さまざまな教育論が登場し、実践にどう役立ったか、役立たなかったかが書かれているのも面白い。
教育関係者、子育て中の親は、ぜひ読んでみてください。
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『カメラマン視点で子育てしたら双子が現役で京大に合格しました』
田部信子・著 Booko出版
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4911115831
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◆目次◆
はじめに
第1章 カメラマン視点で子どもを見る
第2章 環境を整える
第3章 わが家が選んだ就学前の環境
第4章 小学校という新しい世界
第5章 中学受験のこと
第6章 YouTube・ゲーム・スマホの「入口戦略」
第7章 中高6年間で学んだ「学びの力」
第8章 そして京都大学へ
おわりに
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