2025年9月22日

『億万長者になったバリスタ』 アンドリュー・ウィルキンソン・著 堀川志野舞・訳 vol.6808

【ある起業家が億万長者になって悟ったこと】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/477597341X

本日ご紹介する一冊は、時給6ドル50セントのカフェのバリスタから身を起こし、36歳で評価額10億ドルを超えるビジネスを築き上げた、億万長者による半生の記録。

お金をめぐり、絶えず両親が口論する家で育ったにも関わらず、コンプレックスを克服し、デザイン会社を起業。

後に「インターネット版バークシャー・ハサウェイ」と称され、年間で数億ドルの収益を生み出す持株会社Tinyを作った著者が、企業のリアル過ぎる話と、ビジネスの成功法則、そして成功した後の人生について語った一冊です。

成功するビジネスを築くための秘訣、サービスを売り込むための営業・マーケティングの視点、組織作りの留意点、間違った人間に経営を任せ、泥沼化した時の教訓…。

どれも、起業家なら必ず通る道ですが、ここまで過酷なシチュエーションは、なかなか経験できないかもしれません。

悪い男に会社をめちゃくちゃにされそうになった話や、著者が成功した後、株がもらえなかったと言って抗議してきた元従業員の話は、読んでいてゾッとしました。(実際には著者は、その従業員に株を持つ提案をしたにも関わらず、2度断られています)

実際に億万長者になることの功罪や、それに伴い人生がどう変わるかが詳細に述べられており、これからお金持ちになろうとする人は、転ばぬ先の杖として読んでおくといいと思います。

起業家であれ、億万長者であれ、実際になってみないとわからないことは世の中に多くありますが、本書はその体験を惜しみなくシェアしてくれる、貴重な体験談です。

ウォーレン・バフェットやチャーリー・マンガー、ビル・アックマンなどとの交流や彼らから得た教えも登場するので、自己啓発書としても面白いと思います。

起業をして成功したい人、起業家から投資家にチェンジしたい人、とにかくお金持ちになりたい人、幸せになりたい人は、読んでおいて損はないと思います。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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スティーブ・ジョブズに会えないことにはがっかりしたが、僕は重要なことを悟った。僕は最高のことを頼んで、代わりにすごいことを手に入れた。もしも最初からアップルストアの見学を頼んでいたら、「はいはい、残念だったね」と言われただけかもしれないが、無謀なまでの高望みをすることで、期待を上回る妥協案に落ち着いた。これが僕が仕事をするうえで使ってきた戦略だ–つまり、頼んでみても損はない

夜な夜な僕はスキルを向上させ、Dream weaverを使った穴だらけのHTMLから、洗練されたモダンなウェブサイトデザインとサイトの拡張ができるようになった。二、三冊の良書を読んで、いくつかの夜を没頭して過ごせば、基本的にどんなことでも学べるものだと気づいた

自分の時間を時給で売るとしたら– たとえば、請負業者か従業員として– 一日に八ー一二時間しか売れないのだということを実感した。上限が設けられている。けれど、ほかの人の時間を売るか、もっといいのは、値上げしたサービスを売れば、日々の仕事を自らせずとも、どこまでも収入を増やすことができる

僕はモバイルやウェブアプリといったデジタル製品のデザインに特化することで、MetaLabをほかのエージェンシーとは差別化しはじめた(中略)「われわれは北米でトップのインターフェースデザイン会社です」

重要なのは、けっして一つのことだけに–一つのビジネスだけに–すべてを注ぎ込まないことと、それぞれの失敗からだけじゃなく、自分のしたすべての行動から学ぼうとすることだ

この模倣の欲望の悲しいところは、それが自分自身の本当に求めるものではなかったとしても、仲間が価値をつけた目標を達成するために、自らの幸福を犠牲にしても仕方がないと思わせることだ

彼(バフェット)は三つのことを探していた–濠を備えた質の高いビジネス、聡明で倫理にかなった経営陣、適正価格

好きなことをやるだけでは足りない。嫌いなことをやめるのも必要なこと

古い格言は真実を表しているようだ。「所有しているものに、最後は自分が所有されることになる」

「チャンスがあったときにAirbnbに投資しておけば、資産がいまの二倍になっていたのに」彼は悲しそうに冗談を言った。「そうしたら、私はとなりの家に住んでいたはずだよ」クリスも僕も、この銀行家の憂鬱そうな口ぶりに気づいた。だけど、それは彼だけじゃなかった

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起業家、投資家、慈善家、いずれにおいても著者が参考にした人の話が載っており、幸せに成功したい人には、有用な本だと思います。

お金持ちの世界を実際に見た人でないと語れない、お金と幸せの話が書かれているので、人生後半の教科書としても重宝すると思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『億万長者になったバリスタ』
アンドリュー・ウィルキンソン・著 堀川志野舞・訳 パンローリング

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◆目次◆

第1章 いくらあればいい?
第2章 ウィルキンソン家の呪い
第3章 毛包の資金調達
第4章 引っかいたり壊したり
第5章 金鉱
第6章 歌舞伎の舞台
第7章 ベルギートリュフの屁
第8章 世界一退屈で最高の仕事
第9章 ばあさんを屋根に上がらせる
第10章 最初の五〇〇〇万ドルがいちばん簡単だ
第11章 サメの噛みつき
第12章 アンチ・ゴール買収戦略
第13章 一杯七〇〇〇万ドルのコーヒー
第14章 致命傷じゃなく軽傷
第15章 虚栄の金のかがり火
第16章 ミニ・マンガー
第17章 びっくり仰天、グルタミン酸ナトリウム
第18章 誰が億万長者になりたがる?
第19章 船を燃やす
第20章 くそ野郎
第21章 オマハの賢人
謝辞

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