【これは法事営業のバイブルだ!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4040825497
本日ご紹介する一冊は、キーエンス、SAPジャパン、OPENTEXT、freeeを経て、現在、株式会社DatableでVP of Salesを務める著者が、その営業ノウハウをまとめた一冊。
主に法人営業のための仮説思考力、提案力を扱った内容で、驚くほど実践的な内容です。
流行りのビジネス書を漠然と読んでいた人が読めば、「結果を出す人って、こうやって考えているんだ」と驚くのではないでしょうか。
本書の中で著者は、営業の価値を、こう定義しています。
「取り組むべき課題に気づかせて、決断をする手助けをする」
これができるからこそ、大型受注が可能になる。そしてそのためには、「仮説」が重要になるということなのです。
さらに理解を深めるために、第1章のまとめを引用しておきましょう。
・営業パーソンは自社の売上を最優先の目的とすべきではなく、「顧客の市場競争力を上げることに貢献すること」を目的にすべきである
・「取り組むべき課題がわかりにくくなっている」環境では、顧客の市場競争力を上げるために必要なのは製品説明ではなく、取り組むべき課題を明確にすることである
・市場競争力を生むには「変化対応スピードが必要」であり、そのために最も効果を発揮するのが仮説である
本書の中で著者は、まず粗い仮説をぶつけて、顧客と共創していく営業手法を説いています。
その際、意識すべきは以下の2つです。
・提案の規模
・期待値のコントロール
さらに、顧客とゴールの認識を合わせる秘訣、ゴールを分解して重要な項目に絞り込む方法、仮説構築に使えるフレームワークなどが示されており、提案営業に必要な知識は、これ一冊でほぼ網羅できると思います。
なぜいきなりBANT(予算、決裁権、必要性、導入時期)を聞いてはいけないのか、なぜアイスブレイクは必ずしも必要ではないのかなど、実践に即した営業コミュニケーションのノウハウなども示されており、極めてロジカルで有用な営業術です。
ここ数年で出た中では、『営業の科学』と並んで、マストバイな一冊ではないでしょうか。
『営業の科学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/476127722X
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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顧客に合わせた提案ができるためには、身につけた型を分解してパーツにし、必要なタイミングに必要な内容だけを組み合わせて使いこなせるようにならなければいけない
営業にとっての存在意義とは”介在価値”をどれだけ高められるか
取り組むべき課題に気づかせて、決断をする手助けをする
世の中に答えが出ていないことはいくら調べてもムダなので、自分で「思考」する必要があります
エンタープライズ向けであっても、初回提案では方向性を決めるような簡単な仮説をぶつけるほうがよい
仮説を作るための5つの視点
(1)ゴールから見る
(2)遠くから引いて見る
(3)分解して見る
(4)反対から見る
(5)端を見る
「利益と売上ではどちらが重要だと思いますか?」ここで、すぐに利益と答えてしまう人は注意が必要です。どちらが重要なのかは状況によって変わるので、前提条件を確認しなければ答えが出せません。一般的には利益をあげなければ手元のお金がなくなり、最終的には債務超過に陥り破綻してしまい
ます。しかし、ネットワーク外部性(ネットワーク効果)が高く、大型の資金調達をしたばかりのスタートアップの場合だとどうでしょう?
1つ目の、顧客が理想状態を本当に考えていないケースは、顧客にとって良くない状態なので率直に考えるべきだということを伝えましょう
次に2の、本当の理想状態に対して実現できないと思ってしまっている人に対してです。このような人に対しては、「もしリソース(お金、人)などを全て無視して制約が何もなくなった場合の理想はどんな状態ですか?」と聞いてみるのが有効です
大きなゴールのままでは考えることができないので、考えて実行できる単位まで分解したうえで、重要な項目に絞りこんでより具体的に見ていく必要があります。この分解にはロジックツリーを使います
競争に勝つためには、顧客が求めていることを競合より優位に提供し続ける必要があります。これがバリュープロポジション(Value proposition)と呼ばれる、顧客が自社製品を買う理由です。そしてこれは、「We help (X) do (Y) by doing (Z).」、つまり「私たちは(自社のサービス)によってX(顧客)がY(ペインの解消、ゲインの獲得)するのを助ける」という言葉で整理できます
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法人営業のためのキーエンス流「提案構築」「変化対応」「信頼醸成」の技術が書かれており、それだけでもバリューがあるのに、ビジネスパーソン全般にとって有用なフレームワーク、ビジネス理論、決算書の読み方などが、ほぼこれ一冊で網羅されているという、恐ろしいほどサービス精神に溢れた本です。
単なる理論の羅列ではなく、実際に使って結果を出すための応用視点が示されているので、本当に実践的だと思います。
営業指導で悩むマネジャーや、営業戦略を練り直したい経営者にとっても、有用な一冊だと思います。
ぜひ、読んでみてください。
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『仮説起点の営業論』
鈴木眞理・著 KADOKAWA
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◆目次◆
新書版まえがき
はじめに
第1章 なぜ仮説を立てられると「成果を出せる」のか?
第2章 仮説は「間違えてもいい」「完璧でなくていい」
第3章 この5つの視点から「仮説のアイデア」が生まれる
第4章 仮説を「論理的に考え、伝える」技術
第5章 実践! 「仮説構築から交渉まで」の営業論
おわりに
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