【理想の生活を手にいれる「ほどほどの起業」】
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以前、山口県山口市に行った時、知人のコンサルタントに、地元で有名なお蕎麦屋さんに連れて行ってもらいました。
定年退職したご夫婦が経営しているお店だったのですが、驚いたことにこのお店、早朝に蕎麦の仕込みをして、12時には売り切れてしまうという。
考えてみれば、短時間で売り切るわけですから、在庫はゼロ、余った午後の時間はゆっくり自由時間にあてられそうです。
その後、長崎県大村市に住んだところ、今度は、一日数食しか作らないカレー屋、11時開店、14時には売り切って閉店してしまうパン屋に出合いました。
ちょうど「佰食屋」の『売上を、減らそう。』がベストセラーになっていたタイミングだったので、「こういうスタイルの起業ってアリなんだ」と、強烈な気づきを与えられました。
『売上を、減らそう。』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4909044221
本日ご紹介する一冊は、そんな起業のあり方を、『ライフスタイル起業』としてまとめ、東京都立大学大学院経営学研究科の准教授、高橋勅徳(たかはし・みさのり)さんがまとめた一冊。
これまでにも、『あなたが輝く趣味起業のはじめかた』や、『しょぼい起業で生きていく』など、この手の起業本はあるにはあったのですが、さすがは経営学を専門とする大学の准教授。
『あなたが輝く趣味起業のはじめかた』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4877316752
『しょぼい起業で生きていく』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781617336
海外の論文なども引用しながら、体系的に論じられているのが特長です。
「低投資、低成長、低関与」という、ライフスタイル起業の基本3原則に加え、「表現主導型、活動主導型、立地主導型」、さらには著者が考案したという「コミュニティ主導型、技術・経験主導型、モノ主導型」という分類は、これからライフスタイル起業したい人に、良いヒントを与えてくれると思います。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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起業の評価基準を経済的指標ではなく幸福度に変え、「幸せ」を得るための手段として起業という行為を捉え直していこう
座間味の漁師たちは、朝早くから夕方まで漁に勤しんでも、売上高は燃料代にもならない状態でした。ところが、ダイビング客たちを受け入れると半日で8-10万円の売上になります。もともと漁師ですので、船を保有していて、潜水士の資格を有しており、どこにサンゴ礁がありどんな魚がいるのか知識を持っている状態です。「ダイビングショップ○○」という看板を掲げ、簡単なチラシを作成して地元の観光業者に配布し、電話帳に小さな広告を掲載するだけで商売が始められました
座間味村のダイビング事業者たちは推定で年1000万円以上の稼ぎがあるにもかかわらず、大型クルーザーに買い替え、大量の客を呼び込む(=稼ぎを増やす)ことに否定的であったことです。サンゴ礁はダイビング客をガイドするほどに疲弊して白化したり、オニヒトデの餌食になります。細く長く、生まれ故郷の座間味村で生きていくためには、ダイビング客の総数を抑える必要がある
ライフスタイル起業の特徴
(1)低投資 できるだけ元手をかけない
(2)低成長 そこそこ稼いだら、それ以上は求めない
(3)低関与 他人の都合で働かない
一日も早く黒字化するのが大前提
ライフスタイル企業家の本場であるオセアニア地域のサーフショップの場合、まず重視すべきは人通りの良い目立つ場所=家賃が高い綺麗な店舗を持つことではなく、「今買ったサーフボードを試せる、海に隣接した場所」
お客さまを「選り好み」できるのが理想
「表現主導型」演劇や音楽といったアート領域
「活動主導型」まずは「趣味領域で他人に認められ、憧れを抱かれる存在になる」こと
「立地主導型」「稼ぐ根拠」は「人を集めてしまう場所」
広告料収入を目当てに動画配信者を目指すのは、「あまり筋の良くない選択」
既存企業や取引先に売上の決定権を完全に握られてしまっているのは、最も避けなければならないリスク要因
「気軽に相談できる、ちょっと詳しい人」で十分
「価格付け」がビジネスを生み出す実例として筆者が注目しているのが、SNSを中心に登場し始めた本人派遣ビジネス
アナログゲームは「人を集める」特性をもっている
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最後、第5章には、<もし50代の筆者が「ライフスタイル起業」するなら?>という著者の考察が入っており、大学の准教授である著者が、定年後何をやれば幸せに稼げるのか、思考実験が行われています。
読者はこの思考実験を見ることで、「稼ぐ」と「幸せ」のバランスを取ることがいかに難しいかを実感すると思います。
ただ、現実にライフスタイル起業で上手くいっている人がいるのも事実。
ぜひ読んで、自分らしい起業のあり方を模索してみてください。
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『ライフスタイル起業』
高橋勅徳・著 大和書房
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◆目次◆
はじめに
序 章 会社から離れて、私たちは生きていけるのか?
第1章 起業のハードルをとことん下げてみる
第2章 「コミュニティ」からほどよく稼ぐ
第3章 「ありふれたスキル」でほどよく稼ぐ
第4章 「人が集まるモノ」でほどよく稼ぐ
第5章 もし50代の筆者が「ライフスタイル起業」するなら?
おわりに
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