2025年9月16日

『「当たり前」を極める人だけがビジネスチャンスをつかむ』 木名瀬博・著 vol.6784

【社内ベンチャーのお手本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833440652

本日ご紹介する一冊は、アサヒビール出身ベンチャー、mitoriz創業者、木名瀬博さんによる起業論・ビジネス論。

正確には、著者が立ち上げたアサヒビール100%出資の会社がスマイルサポート株式会社(現アサヒフィールドマーケティング株式会社)で、その後、独立した会社がソフトブレーン・フィールド株式会社(現株式会社mitoriz)です。

著者の父親、木名瀬勤氏は、地元・茨城県で酒販店を営んでいたらしく、著者にもその商売人スピリッツが引き継がれています。

その証拠に、著者が立ち上げた店頭営業支援会社のビジネスモデルが、じつにいい。

メーカーの営業担当の代わりに小売店を訪問し、売り場づくりのフォローやアドバイス、販促活動を行う「ラウンダー」という人材の派遣業務を行っているのですが、他社に比べてコストパフォーマンスが優れている。

クライアントにとってコストが安く、確実に業務をこなしてもらえ、おまけに業務結果のデータがもらえるという商品設計。

これを実現するための制度やマニュアル化も、大いに参考になります。

大企業の社内ベンチャーは、大企業自体のニーズから始めるのが正解ですが、著者の作ったビジネスモデルは、まさにお手本です。

大企業で社内ベンチャーを起こそうと考えている方、大企業のサポート業務で成功しようと思っている方は、ぜひ参考にすると良いと思います。

創業時の苦労や、部下が去った経験、黒字化するまでの軌跡など、これから起業する人にとっては、良い刺激・ヒントになるのではないでしょうか。

著者のビジネス哲学や「要領よく働く」の定義も面白く、ビジネスにおける創意工夫の重要性や面白さが伝わってくる内容です。

タイトルは、『「当たり前」を極める人だけがビジネスチャンスをつかむ』ですが、読んでみた感想としては、どちらかというと、創意工夫の本だと思いました。

起業やマネジメントのヒントとして、ぜひ読んでみることをおすすめします。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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なぜ、ラウンダーが必要とされるのでしょうか。その理由はこうです。スーパーやコンビニエンスストアなどが仕入れた商品をどの場所にどうやって陳列するかは、通常、商品を納入しているメーカーの営業担当が小売店側の本部と交渉して決めます。ところが、現場が必ずそのようにやってくれるかというとそんなことはありません。私の感覚では、2ー3割がいいところです

一般的には、店舗の巡回などのラウンダー業務を外部に委託すると、2割程度のコストが削減できるといわれています。これだけでもかなりの経費節減になりますが、mitorizなら、それよりもさらに2割以上安く抑えることができます。同じラウンダーでも、他社とはビジネスモデルが異なるからです

「この業務を行ったらいくら」という出来高制で仕事を引き受けているため、予定より時間がかかったから当初の見積もりより費用が増えたというようなことはいっさい起こらない

当社のラウンダーにはもうひとつ、他社にはない特徴があります。それは、受注した業務結果のデータが定量的に評価できるようになっているという点

当社では、入店から退店までにやるべきことを順序立てて定めた、これぞベストプラクティスというキャスト用のマニュアルを用意しています

ラウンダーの活動量を数値化して比較するには、基準となる働き方を明確にする必要があります

持参するよう指示された販促物やチラシに漏れがないかといった確認はもちろんですが、それだけではなく、前回の訪問ではそこでどんなことをやったか、また、店の担当者と約束したことなどについても細かくノートに記し、事前に読み返しておくのです

仕事ができる人は、用事があってバックヤードに行くと、自分が扱うメーカーの商品だけでなく、必ず競合メーカーの在庫や販促物もチェックしていました

優秀な20人の行動を分析して彼女たちがやっている項目を抽出し数値化したものは、見方を変えれば、ラウンダー業務を行うマーケットスタッフさんたちの格好のマニュアルといえるものでした。高得点を取ろうと思うなら、そこに書かれている項目を入店から退店まで順番どおり正確にやっていけばいいのです

あくまで注文が先で組織は後。注文が取れたら売上の範囲内でその案件を回す人を採用すれば、損をせずに必ず利益を出すことができます

ここぞというときに想定外の努力をし、満点を上回る120点の評価を得るのが要領よく働くということです

ビジネスとは、不要と必要を組み合わせ、世の中の不便を解消すること

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良い本だと思いますが、欲を言えば、マニュアル化に関する部分は、もうちょっと掘り下げて紹介していただきたかったですね。(マニュアルの一部抜粋が紹介されています)

マニュアル化に興味がある方には、『無印良品は、仕組みが9割』を併せて読むことをおすすめします。

『無印良品は、仕組みが9割』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041104998

商売人スピリットが根底に流れる内容で、とても楽しく読むことができました。

これはおすすめの一冊です。

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『「当たり前」を極める人だけがビジネスチャンスをつかむ』
木名瀬博・著 プレジデント社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833440652

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0FKDB7K3H

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◆目次◆

第1章 女性パートの生産性は正社員の4倍である
第2章 パートは「安い労働力」などではない!
第3章 商売の原点、商売の創造
第4章 無限に広がるmitorizの可能性
第5章 mitorizが描く未来地図

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