【スタートアップのファイナンスの基礎知識】
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ちょっとだけAIスタートアップに関わって、スタートアップのファイナンスがいかに特殊かを学びました。
いや、ファイナンス自体が難しいというより、スタートアップ界隈で使われているファイナンス用語が特殊なんですよね。
本日ご紹介する一冊は、スタートアップのファイナンスを理解する上で必要なファイナンス用語とその意味を、専門家が解説した一冊。
これからスタートアップに関わる方、ピッチイベントに出場する方、ベンチャーキャピタルに事業説明をしなければならない方、スタートアップに投資する方は、最低限知っておいて損はない内容だと思います。
エクイティとデット、投資の良し悪しを判断するNPVとIRR、株式の希薄化をシミュレーションする資本政策表、説得力のある市場規模を示すTAM、SAM、SOM、資金繰りを把握するためのバーンレートとランウェイ、月額課金による収益を見るARPUとMAU、プラットフォームビジネスで大事なGMVとテイクレート、その他バリュエーション、資金調達ラウンドなど、スタートアップで使われる専門用語がひと通りカバーされています。
どんな時にエクイティを使い、どんな時にデットを使うかや、資本政策の基本的な考え方、財務三表の基本、企業価値を算定するDCF法など、ビジネスパーソンが最低限押さえておきたいファイナンスの知識も書かれており、スタートアップに関わらない方でも、これぐらいはぜひマスターしておきたいところです。
これは一般論ですが、われわれ人間は、用語を知らないと、本当の意味で深い交流ができない。
海外や地方に行ったら、その国の言葉、カルチャーを知らなければいけないし、よく使われるワードくらいは押さえておかなければならないものです。
スタートアップに取り組む、魅力的な人々と話すためにも、ぜひマスターしておきたい一冊です。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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Amazonはファイナンス的な考えを重視し、短期的な利益ではなく、キャッシュフローと長期的な成長を重視したことで、売上高を伸ばしてきた
動画研修を提供しているSchooは赤字を掘りながら成長をする「Jカーブ」を描いて、2024年には上場も果たした
FCFF(Free Cash Flow to Firm)税引後営業利益+減価償却費-資本的支出-運転資本の増加
メジャーリーガーの大谷翔平選手が、10年間で約1,000億円の契約を結んだとします。ファイナンスの観点では、将来の1,000億円(単純化して仮に10年後に一括で受けとると仮定)と、現在の1,000億円の価値は異なります。仮に割引率が5%だとすると、将来の1,000億円を現在の価値に割り引くと、614億円になります
NPV(Net Present Value、正味現在価値)は、013項で説明した割引現在価値を用いて、企業の収益から現在価値(PV=Present Value)を見ます。たとえば、10億円を投資して、毎年3億円のキャッシュフローを5年生むとします。そのまま計算すると15億円(3億円×5年)ですが、割引率を5%として現在価値を計算すると約13億円となり、投資金額を踏まえた正味の投資のリターン(NPV)は約3億円(13億円-10億円)となります
絶対額で表現されるNPVに対して、率で評価されるのがIRR(Internal Rate of Return、内部収益率)です。これは、投資に対してどれだけに利回りがあったかを示すものです。たとえば、当初10億円を投資して、毎年3億円、5年で合計15億円を得た際のIRは約15%です
VCの求められる最低でもIRR15%以上というリターンは、ファンド全体でのこと。スタートアップ1社あたりではVCはもっと高いリターン(80%など)を目指すが、うまくいかない投資先もあり、全体で最低でもIRR15%以上というリターンを目指すことになる
資本政策表(キャップテーブル)とは、会社の株主構成や持株比率の変化を時系列で可視化した表のことです。資本政策表には、株主、株価、株数、潜在株数(ストックオプション)、調達額、バリュエーション、調達ラウンドなどが掲載されます
持株比率のポイント
66.7%以上を保有すると、事業の譲渡など、特別決議が必要な重要事項を単独で決定できます
50%を超えて保有すると、取締役の選任や解任が可能となり、経営権に大きく関わります
33.4%以上を保有すると、特別決議の拒否権を持てます。この比率を維持することで、外部投資家による重要事項決定の単独行動を防げます
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最近知ったのですが、この「60分でわかる!」シリーズ、ちょっと知りたいニッチな情報がある時、要点が短時間でわかって本当にいいですね。
アマゾンで評価を見ても、軒並み星4つ以上で、評価が高いのがよくわかります。
ぜひ、読んでみてください。
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『60分でわかる!ファイナンス超入門』
村上茂久、若林哲平・著 技術評論社
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◆目次◆
はじめに
Part1 なぜ、ファイナンスは重要なのか
Part2 ファイナンスの基本用語
Part3 スタートアップファイナンスを取り巻く環境
Part4 スタートアップのファイナンス関連用語
Part5 スタートアップのエクイティファイナンス
Part6 スタートアップのデットファイナンス
参考文献および参考図書
索引
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