2025年8月28日

『学びをやめない生き方入門』 中原淳、パーソル総合研究所、ベネッセ教育総合研究所・著 vol.6792

【一生学べる人になるために】
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大学時代、フランス語を教えてくれたドラ・トーザンさんに言われたことで、今でも忘れられない言葉があります。

「–日本人って、勉強嫌いよね」

多くの日本人の生徒に教えている方の観察ですから、これは無視できない、深刻な話だと思いました。

あれから30年。

産業シフトの必要性もあり、現在の日本においては、「学び直し」や「リスキリング」「アンラーニング」という言葉が流行しています。

しかしながら、学んだことでものすごくスキルが上がった、高収入の職が得られた、という話は、さほど聞こえてこない。

どうすれば大人が学びを止めず、成長し続けることができるのか。

そのヒントをまとめたのが、本日ご紹介する『学びをやめない生き方入門』です。

著者は、立教大学経営学部教授の中原淳さんと、パーソル総合研究所、ベネッセ教育総合研究所。

パーソルとベネッセが手を組み、9600人に向けて行った大規模リサーチをもとに、「学びと幸せ」を両立する行動習慣、生き方を論じています。

ちなみに、先ほどのドラさんの言葉を裏づけるように、日本人の学びへの意欲は、世界でも突出して高い。

パーソル研究所が行った「グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)」では、こんな結果が出ています。

<「学びをなにも行っていない」と答えた人の割合は、対象となった18カ国のなかで、日本が「ダントツの1位」でした(52.6%)>

どうしてこんなことが起こるのか?
どうすれば日本の社会人が学べるようになるのか?

著者は、学びをめぐる「7つのバイアス」という概念を用いて、こう説明しています。

<7つのバイアスに囚われている人は、「学ぶ気になれない……」「学ぶ時間が取れない……」「学びが続かない……」といった悩みに陥りやすい>

学びをめぐる「7つのバイアス」
(1)「新人」バイアス
(2)「学校」バイアス
(3)「現場」バイアス
(4)「地頭」バイアス
(5)「自信の欠如」バイアス
(6)「現状維持」バイアス
(7)「タイパ」バイアス

また、「学ばない大人」を増やす職場環境として、以下の5つを指摘しています。

■「学ばない大人」を増やす職場環境
(1)長時間労働習慣
(2)異動の多さ
(3)職務のあいまいさ
(4)とにかく行動主義
(5)業績必達主義

確かに、日本の職場に当てはまることだらけですね。

学ぶための心構えや習慣作りのコツなども述べられており、一生学ぶ人になりたい人には、おすすめの内容です。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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■望ましい学び行動
(1)その学びが、本人の「幸せ」に寄与するか?
(2)その学びが、本人の「活躍」に寄与するか?

■幸せと活躍の両方を実感している人たちの「5つの行動」
(1)共習する–周囲を巻き込みながら学べているか?
(2)ゆるく続ける–無理なくコツコツ学べているか?
(3)ミーハーする–新しいものにあえて飛びついているか?
(4)逆境する–困難や失敗から学べているか?
(5)学び結ぶ–学び同士を橋渡ししているか?

周囲に学びを共有する機会がなく、だれからもフィードバックを受けられない環境では、モチベーションを維持するのが困難になります

■共習の4つの効果
(1)真似し合い–熟練者のスキルを観察して学ぶ
(2)教え合い–他者に伝えることで、自らの理解が深まる
(3)創り合い–知識を共有し、新しい価値を生み出す
(4)高め合い–仲間の存在が、モチベーションを引き上げる

よりよく学べている人ほど、継続に対して「ゆるやかな意識」を持っている

■「松竹梅草」の4段階
・松の目標–目安を上回る「最高の成果」(10キロ走る)
・竹の目標–できれば達成したい「理想の成果」(4キロ走る)
・梅の目標–少しのがんばりで達成できる「まずまずの成果」(2キロ走る)
・草の目標–がんばらなくても必ず達成できる「小さな成果」(100メートルでもいいから走る)

「迷ったら、必ず、試す」と最初から決めてしまうこと

■「組織行動学者デイビッド・コルプが提唱した「経験学習」モデル
(1)具体的経験
(2)内省的観察
(3)抽象的概念化
(4)能動的実験

■「学び行動を磨く「3つの経験」
(1)お出かけ経験
(2)見渡し経験
(3)のめり込み経験

■「お出かけ経験」の3つの要素
・「いつもの場所」から離れる
・「いつものメンバー」から離れる
・「いつもの学び」から離れる

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読み込むのが若干面倒ですが、事例として登場する方々の学びとキャリアの話が具体的で勉強になります。

特に、最初に登場する日揮ホールディングスの田中悠太さんのケースは、学びと経験がどう善循環を生むのか教えてくれる、良い事例だと思います。

ぜひ読んでみてください。

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『学びをやめない生き方入門』
中原淳、パーソル総合研究所、ベネッセ教育総合研究所・著 テオリア

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◆目次◆

はじめに なぜ、学びたいのに学べないのか?
第1章 「学べない人」に共通する7つの思い込み
第2章 働きながら「学べる人」と「学べない人」は、結局なにが違うのか?
第3章 「すでに学んでいる自分」に気づく
おわりに 「ちっちゃなこと」を大事にしよう

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