【個性(ADHD)を活かす生き方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106110857
本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『スマホ脳』の著者、アンデシュ・ハンセン氏による、最後の未邦訳書。
『スマホ脳』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106108828
最近増加しているとされる、ADHDの真実と、その特性を活かすキャリア術、生き方を論じています。
本書によると、ADHDは最近出てきたものではなく、人類が生き延びるための特性だったようです。
落ち着きなく周囲を観察し、即座に行動に出る–そうしなければ生き延びられなかった狩猟採集時代に培われた特性のようです。
ADHDが問題とされるのは、集中力、多動、衝動という3つの分野だそうですが、本書ではそれがなぜ起こるのか、どうすればADHD特性を活かせるのか、精神科医の視点から述べられています。
18-19ページにまとめられている、「ADHDによって起きる問題」「<強み>になるADHDの特徴」は、ぜひチェックしておくといいと思います。
ADHDに向いた仕事、ADHDが起業やクリエイティブの分野で活躍するヒント、創造性を高める方法、集中力を高める方法など、さまざまな生き方、キャリアのヒントが述べられています。
ADHDが一人チームの中にいるだけでチームの創造性が高まる話などは、リーダーなら知っておいて損はないでしょう。
ADHDの人が本書を読んだ場合、自分の生きにくさの理由がわかり、上手な対処法まで学べます。
「好きなだけ読書をしたり旅行をしたり–しかし半年もすると精神状態が悪くなり、心が空っぽで疲労だけが残る」
この傾向に当てはまる人は、ぜひ読んでおくといいと思います。
(土井は自分のことを言われているようで、ドキッとしました(笑))
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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ADHDの人はドーパミン受容体が違ったはたらき方をするだけでなく、受容体の数自体が少ない
一番遠くまで移動したのは南米までたどり着いた人々だった。それに比べるとアジアや北欧の人はしばらく同じ場所に留まっていたことになる
報酬系を「鈍く」させるDRD4-7Rを持つ人が、歴史的に大きく移動した人たちの間で多い
DRD4-7R遺伝子を持つ人の割合
ヨーロッパ 15%
アメリカ 20%
南米 50-70%
日本・中国 0-5%
狩猟民の中では<ADHD遺伝子>を持つ人の方が持たない人よりも栄養状態が良かった
リベラルな政党に投票した人にDRD4-7R遺伝子の割合が高かった
DRD4-7R遺伝子は田舎よりも都会に住む白鳥で割合が高い(白鳥もDRD4-7R遺伝子を持っている)
DRD4-7R遺伝子を持つ人は新しいことを試したい気持ちが強く、わかりきったことやルーチンは避けることが多い
「極めて創造性のある業績を上げた学生」に選出された人は、音などの気が散る要素を無視するのが苦手な可能性が得意である場合の7倍に及んだ
ADHDの子供が含まれるグループの方はすぐににぎやかになった。ADHDの子供は何度もテーマからそれ、無関係なコメントもしたからだ。しかし不思議なことにそのグループの方が課題にうまく対応できていた
現代社会では集中力が美徳とされているが、「集中しないこと」ももっと評価されてもいいのではないだろうか
ADHDは繰り返しを嫌う傾向があるのでバリエーションのある仕事を見つけるのもいい
ロレンツォンにはもう1つ、私がADHDの人に多く見てきた特徴がある。権威に対して一切敬意を持たず、とにかく最高の解決法にこだわるところだ
ADHDの子供がテストで実力を出せるようになる簡単なテクニックがある。衝動性を抑えるためにしばらく身体を動かせばいいのだ
運動によりドーパミンのレベルが上がり、気分が良くなり、集中力も向上し、モチベーションも上がる。ADHDの傾向がある人はそれに加えて世界が面白く感じられるようになる。実は運動以外にもそんな効果のあるものが日常に存在する。それがコーヒーだ
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本書を読む限り、出版や起業に関わる方の多くは、ADHDですね(笑)。
BBM読者の方は、その傾向が強い可能性が高いので、自分には関係ないと思わず、ぜひ読んでみてください。
きっと、生き方、働き方のヒント、子育てのヒントが見つかるはずです。
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『多動脳』アンデシュ・ハンセン・著
久山葉子・訳 新潮社
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◆目次◆
まえがき ADHDには<強み>がある
第1章 ADHDって何?
第2章 この世界は退屈すぎる!
第3章 人類の放浪と<ADHD遺伝子>
第4章 遺伝子と好奇心
第5章 ぼんやり脳はクリエイティブ
第6章 ハイパーフォーカス脳
第7章 起業家脳
第8章 運動は天然の治療薬
第9章 人間は学校に不向き?
第10章 ADHDが増加するわけ
あとがき
用語集
参考文献
謝辞
訳者あとがき
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