【上司も本人も。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799331515
本日ご紹介する一冊は、地味なテーマながら4万部を突破したベストセラーの増補版。
タイトル通り、『部下の発達特性を活かすマネジメント』のやり方と、本人がどう自分の発達特性に対応するか、具体的なヒントをまとめた好著です。
著者は、メンタルサポート&コンサル沖縄の代表で、精神保健福祉士、公認心理師、キャリアコンサルタント、臨床発達心理士の資格を持つ、佐藤恵美さんです。
発達特性のある方への配慮が随所に見られ、また対応に苦しむ上司への理解もある、とても好感度の高い本です。
・注意を持続するのが難しい
・細部にこだわって仕事が遅れる
・計画を立てるのが苦手
・「待つこと」が苦手
・つい先延ばししてしまう
・好きな仕事ばかりやる印象がある
理解不能な部下の行動が、なぜ起こるのか、本人はどんな風に感じているのか、どうすれば上手く行くのか、具体的なヒントがまとめられています。
先日、とあるシンポジウムで、発達特性のある人が多く働く原宿のフラワーショップLORANS(ローランズ)の経営者が講演していたのですが、彼女曰く、通常3つくらいの作業工程を10個くらいに分解して、それぞれ得意なことだけをやらせて、人材活用を進めているようでした。
今後、発達特性のある人や外国人など、組織の多様性が高まれば、企業はもっと細やかなマネジメントを強いられる。
経営者、マネジャーが今から備えるために読むべき本が、本日ご紹介する『部下の発達特性を活かすマネジメント』です。
本書が対象としているのは、発達障害と言われる人たちの中でも、自閉スペクトラム症(ASD)と、注意欠如多動症(AD/HD)の特性を持つ人。
診断の有無にかかわらず、主にグレーゾーンの人たちを想定しているようです。
マネジメントに携わる人は、本書を読むことで発達特性のある人の思考が理解でき、適切なマネジメントができるようになるでしょう。
本人が発達特性を持つ場合は、どうすれば職場で上手くやれるか、仕事がストレスなく進められるか、ヒントが得られると思います。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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そもそも人の顔が一人ひとり異なるように、脳の働き方や感じ方にもそれぞれ個性があり、だからこそ思考や視点、物事の捉え方にも違いが生まれます
「普通、こう考えるよね?」とか「普通はそうやらないよね」「普通はできるよね?」などのセリフは、もはやナンセンス
「興味のある分野に対してとことん集中できる」特性を持つ方が、IT企業でプログラムの不具合(バグ)を徹底的に探し出す仕事に就き、誰も気づかなかった問題を発見して「職人技」と称賛されたということもありました。これは、その人自身や職場がその特性を理解し、環境との相性を見つけた結果
発達特性のある人は、脳の情報処理の特性により、
・情報がうまく頭に入ってこない
・状況の全体像や流れが把握しづらい
・相手の立場や意図を読み取るのが難しい
・先の見通しが立てにくい
といった困難を抱えていることがあります
あいまいな物事の程度や「ちょうどよさ」をつかむのが苦手で、「全部かゼロか」といった極端な思考になりやすいことがあります
ミスが続くと、「忘れるならメモを取れ」と指導されることがあります。しかし、ワーキングメモリに特性がある方にとっては、「話を聞きながらメモを取る」という行為そのものがさらにワーキングメモリを圧迫します
集中して作業に取り組むための工夫
・刺激が少ない環境を整える
・通話音で集中が途切れないようスマートフォンは視界に入らない場所に置く
・その日に取り組むべきタスクを10個程度、小さな単位で具体的に設定
・「ここまで終えたらコーヒーを飲む」など、小さなご褒美を挟む
視覚情報の扱いやすさを向上させる
・フォントサイズを大きくする
・デュアルディスプレイを活用する
・色分けやハイライト機能を活用する
・読みやすいフォントを使う
・声に出しながら作業を行うことで、視覚と聴覚を同時に活用し、注意を保ちやすくする
指示・依頼のルートを一本化する
「急いで」→「30分以内に」、「なるべく早く」→「○日の15時までに」など、具体的な時間や条件を添える
忘れ物対策の仕組みをつくる
自宅での対策としては、まず「物を増やさない工夫」がとても効果的
「水曜は在宅勤務で資料作成、他の曜日は出勤して会議対応」など、作業内容と場所をセットで決めておくと、自然と行動を切り替える助けになります
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「自分には関係ないけれど」と思って読み始めた本でしたが、これを読む限り、土井は、注意欠如多動症(AD/HD)の気があるかもしれませんね…。
自分が効果的だと思ってやってきた仕事術は、ほぼ全てこの本に書かれていました。
これは、役立つ本だと思います。
ぜひ、読んでみてください。
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『部下の発達特性を活かすマネジメント』
佐藤恵美・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン
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◆目次◆
はじめに
序 章 部下に発達特性があると思ったら
第1章 「発達特性がある」とは
第2章 発達特性を理解する
第3章 業務を円滑にする具体的な工夫
第4章 事例から学ぶ 職場における発達特性への理解と対応
第5章 職場としてどう向き合うか
おわりに
参考文献
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