2025年7月30日

『株式投資の基本はアクティビストに学べ』 鈴木賢一郎・著 vol.6772

【投資で勝つ、+αの視点】
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本日ご紹介する一冊は、株価に影響を与える強力な存在、「アクティビスト」について理解し、投資の参考にしようという本。

アクティビストとは、「上場会社の株式を取得するだけでなく、投資先の経営陣に対し積極的に意見を述べ、企業価値や株式価値の向上を目指す機関投資家」のことです。

かつて有名になった「村上ファンド」や、最近だと個人ですが、田端信太郎さんの活動が注目されていますね。(田端さんは、SNSを通じて個人アクティビストとして活動し、それがアクティビストの投資行動にも影響を与えています)

アクティビストの標的となった企業の株価は、アクティビストによる株式の買い増しや経営改善への期待などから高騰することが多く、おそらくBBM読者の中にも、アクティビストの動向をウォッチしている方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

本書では、そんなアクティビストの行動原理とよくある手口を紹介。

シティインデックスイレブンス、オアシス・マネジメント、3Dインベストメント・パートナーズ、エフィッシモキャピタル・マネジメントなどの有名アクティビストの過去の投資、発言、投資スタイルにも言及しています。

著者は、かつて野村證券IBコンサルティング部に在籍し、上場企業の買収防衛策構築やアクティビスト対策などに関わった鈴木賢一郎氏。

独立して以降も上場企業にアクティビスト対策や買収防衛策を教えているという著者が、アクティビストの行動パターンと手口、さらにはアクティビスト同様に注意したい「ストラテジック・バイヤー」の手口を紹介しています。

彼れが仕掛けてきた時、株価がどう動く可能性があるのか、それに対する防衛策がなされた時、株価にどんな影響があるのか、知っておくだけでも、投資の判断が変わってくると思います。

投資のプラスアルファの視点として、ぜひ学んでおきたい内容です。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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有価証券報告書で「所有者別状況」と「大株主の状況」を調べる

「所有者別状況」で「その他の法人」の割合を調べる

「その他の法人」
ここに入っているのは、取引先や、株を持ち合っている法人株主がほとんどであるため、安定株主としてカウントします。セブン&アイHDの場合は、16.81%となっています

「大株主の状況」で取引先や創業家を探す

「役員の状況」で役員が所有する株式数を調べる

「書類全文検索」で取引のある金融機関株主を調べる

私の相場観でいうと、安定株主比率が30%を超えると、アクティビストにとっては狙いにくい会社に見える

安定株主と会社の関係は想像以上に強固であり、少なくともアクティビストの株主提案に安定株主が賛成することはない

基本的には株主提案が可決されることはめったにありません。実は、そのことはアクティビストもよくわかっています。それでは、なぜ株主提案を行うかというと、そうすることで、株価が上がると考えているからです。そして、満足する水準まで株価が上がれば、売却して利益を得ます

アクティビストは「株主構成の乱れ」を見ている

旧村上ファンドがターゲット企業の株式を売却する際によく利用するのが、ターゲット企業が行う自己株TOB

ゼネコンのなかには「安定株主比率が低いけれど、有価証券をたくさん持っている」という特徴を持った会社が存在する

シルチェスターの投資はコバンザメ投資に当たっての「先行指標」

エフィッシモには、投資先として上場子会社を狙うという特徴があります

シンガポールに拠点を置くアクティビストである「3D」には、ターゲット企業に対して非公開化を迫ることが多いという特徴が見て取れます

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個人的には、アクティビストの動向よりも企業業績をしっかり見て買いたいタイプですが、確かに知っておくべき知識ではありますね。

株式投資をされる方は、ぜひ、読んでみてください。

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『株式投資の基本はアクティビストに学べ』鈴木賢一郎・著 朝日新聞出版

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◆目次◆

はじめに 「第2次アクティビストブーム」到来!
序 章 アクティビストの登場で盛り上がる「コバンザメ投資」
第1章 アクティビストは何を見ているか
第2章 個別のアクティビストの特徴を見てみよう
第3章 上場会社の「アクティビスト対策」に備えよう
第4章 「ストラテジック・バイヤー」の動向にも注目しよう
終 章 「コバンザメ投資」の未来

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