【目標達成力を築く考え方】
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「努力は報われるか否か?」
これは、人類が誕生して以来、ずっと続いている問いだと思いますが、これに対しては、成功者の間でも意見が分かれると思います。
「努力は当然報われる」という人
「人生は運が9割」だという人
「ある程度までは努力で、後は運だ」という人
本当にさまざまですが、この「努力」と「報酬」に関して、明確かつ体系的な理論を打ち出したのが、本書『努力の地図』です。
著者は、株式会社学びデザイン代表取締役で、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授も務める荒木博行氏。
以前、『構造化思考のレッスン』を紹介したので、覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
『構造化思考のレッスン』
荒木博行・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799331264
本書では、「努力は報われるか否か?」という問いに対して、4階層の「努力」と4つの「報酬」、そこをつなぐ9つの「神話」という体系で見事に説明しています。
努力
(1)量の努力
(2)質の努力
(3)設計の努力
(4)選択の努力
報酬
(1)即達成型報酬
(2)即サプライズ型報酬
(3)ゆっくり達成型報酬
(4)ゆっくりサプライズ型報酬
神話
(1)自動販売機型神話
(2)ガチャガチャ型神話
(3)農業型神話
(4)階段型神話
(5)ホッケースティック型神話
(6)予選・本選型神話
(7)空型神話
(8)職人型神話
(9)宝くじ型神話
人間が「努力」し続けられるかどうかは、その人がどんな「神話」を信じているかにかかっているものですが、本書では、この9つの「神話」を、『スラムダンク』や『華麗なる一族』『ドラえもん』『老人と海』『ドラゴンボール』などの漫画や小説を例に解説。
それぞれの神話の長所と短所も解説されています。
通読し、状況によって「努力」と「報酬」「神話」を使い分けられるようになれば、読者は固定的な見方から解放され、柔軟な思考と挫折しないレジリエンスを手に入れられると思います。
まさかここまで「努力」を体系化できるとは。さすが『構造化思考のレッスン』の著者ですね。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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努力は「副産物」をもたらす
副産物を報酬の中心に据えない
運という未知数の存在を過度に信頼してしまうと、思うような報酬が得られないタイミングでの対応が遅くなる
『老人と海』には、次のようなサンチアゴの発言がある。
だが、おれのやり方に狂いはないからな、と老人は思った。いまはツキに見放されているだけだ。でも、わからんぞ。きょうこそは運の潮目も変わるかもしれん。毎日が新しい日だ。運が向けば言うことはない。とにかく正確な手順を守ることだ。加えて運が向けば、何もかもうまくいく。これは「農業型神話」を代表する姿勢だ
このように「一度の停滞を克服した成功パターンを、次の危機にもそのまま当てはまれば再浮上できる」という楽観が判断を曇らせる構造は、まさに「階段型神話」が持つ負の側面の典型例と言えよう
踊り場で立ち止まったら、過去の成功や失敗から学び、より高次元の努力の機会を探らなければならない
「予選・本選型神話」がもたらす大きなメリットのひとつは、割り切りのよさにある。つまり、「予選」までは自分の努力が大きく報われるが、それ以降はコントロールできない要素が増えると考えることで、無理に完璧を追わずに済むのだ
「予選・本選型神話」のお守り効果を象徴する言葉がある。アメリカの神学者であるラインホールド・ニーバーが作者とされる「平安の祈り(Serenity prayer)」という祈りの言葉だ。神よ、変えられるものについてはそれに立ち向かう勇気を、変えることができないものについてはそれを受け入れる落ち着きを、そして両者を見極めるための賢さを、私に与えたまえ
私たちは、誰かが定義した努力や報酬という概念に踊らされているだけなのかもしれない。絶対と思っているだけで、そこに絶対性はないのだ
もし外部からの報酬だけを目当てに努力していると、気づけば市場に最適化した汎用性マシーンになっているかもしれない。「職人型神話」の視点を持つことで、自らの内面に軸を据え、周囲の評価に左右されることなく自分らしい道を歩み続けることができるようになる
言うまでもなく「宝くじ型神話」の副作用は大きい。それは、すべてをサイコロの確率に委ねてしまうことで、倫理観が失われてしまうことにあ
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ホッケースティック型の裏には、ネットワークや組織など、成長を加速する装置があることが多いので、その点もコメントあると良かったですが、それ以外は完璧に説明し切っています。
ここまで完璧に努力を体系化できるとは、本当に恐れ入りました。
これを学んでおくだけで、挫折しにくい体質に変わると思います。
ぜひ、読んでみてください。
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『努力の地図』荒木博行・著 クロスメディア・パブリッシング
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◆目次◆
はじめに
第1章 「努力」を構造化する
第2章 「報酬」を構造化する
第3章 「神話」を構造化する
第4章 「認知」を多様化する
おわりに
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