【オリバー・バークマン新著】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761278145
本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『限りある時間の使い方』の著者、オリバー・バークマン氏による待望の新刊。
『限りある時間の使い方』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761276150
自分が不完全な人間であることを受け止め、生産的な人間になるための苦しい努力をやめた時、かえって豊かな人生と望む結果が手に入ると説いた内容で、個人的にはこちらの方が『限りある時間の使い方』よりも刺さりました。
原題は『Meditations For Mortals』で、おそらくこのタイトルだと土井は手に取らなかったと思います(笑)。
生産至上主義人間の心に刺さるということでは、日本の出版社の勝利と言っていいのではないかと思います。
本書の優れたところは、不完全主義を受け止めることにより、本当に生産性が上がり、豊かな人生が手に入ると信じられること。
完全主義に陥って、一行も原稿が書けていない作家予備軍、完璧な結婚や子育てをしようと思っていまだ独身の人、ダイエットや日記、早起きなど、毎日何かを完璧にしなければと思い、いつも挫折してしまう人は、本書を読めば、今までできなかったことがいとも簡単にできることに驚くでしょう。
なかでも、「その代価は何か」と「それを支払う価値はあるか」の2点で人生の選択をシンプルに行う方法、「今、自分に課されているライフタスクは何か?」を考え未来を切り開く方法、継続するための「だいたい毎日」ルール、結果へのこだわりをやわらげるため「量を目標にする」方法は、あなたの生産性に革命を起こすと思います。
目次が「第1週」「第2週」「第3週」「第4週」となっているのは、1日1章のペースで、頭から順番に4週間かけて読んで欲しいという著者の希望によるもの。
1章につき、各7つのシンプルな原則が書かれているのですが、ここをざっと眺めるだけでも、仕事や人生の気づきが得られると思います。
いくつか、土井の心に刺さった見出しをピックアップしておきましょう。
・読まなければならない本はない
・自分の戦うべき戦いを選ぶ
・ルールに人生を捧げない
・仕事は3ー4時間で切り上げる
・親切を今すぐ行動に移す
・集中力を高めない
ちょうどワーケーション中に読んだこともあり、個人的には人生を変える一冊になりそうです。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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生産的な人間になるための苦しい努力をやめたとき、思いがけず手に入る豊かさ。自分にできることなど微々たるものだ(それすらも、必ずやらなければならないわけではない)という事実を認めたとき、ふいに動きだせるようになる、その身軽さ。はかなく予測不能な人生を受け入れれば、日々は生き生きと動きだす。自分の欠点や失敗を隠すのをやめれば、孤独の苦しみは軽くなる
大作家にはなれなくても、好きなように書けばいいのだ
完璧な仕事はこの先もけっしてできないだろう。だからこそ、今できるなかでベストの仕事をしたほうがいい
何をしようと自由なのだ。
その結果を引き受けさえすれば。
--シェルドン・コップ(心理療法家)
これを言うと反感を買うことが多いのだが、何かを「しなくてはならない」という状況は、本人が思うほどに絶対的ではない
人生のなかでどんな選択に迫られているとしても、問うべきはただ2つ、「その代価は何か」と「それを支払う価値はあるか」だけなのだ
人は制約から自由になることはできないが、制約のなかに自由はある
有限性に向き合うべきなのは、そのほうが有意義なことができるからだ。「ぜんぶ完璧にやろう、将来にわたって安心とコントロールを手に入れよう」という態度を手放せば、もっと豊かな活動に時間を使えるようになる
「今、自分に課されているライフタスクは何か?」自分がどうしたいかではなく、人生が自分に何を求めているかを考えるのだ
ユングによると、ライフタスクはつねに「努力と困難をともなう」ものだ。とくに、慣れ親しんだ居心地の良さをみずから振り払うような「すがすがしい困難」の感覚があるという。ユング派の分析家ジェームズ・ホリスの言葉を借りるなら、それは目先の快適さよりも「自分を広げる」方向性だ
「だいたい毎日」というルールのほうが現実的で、長続きする
結果へのこだわりをやわらげるための、もっと現実的で人間らしい方法がある。「量を目標にする」ことだ。(中略)たとえば「1日800語を書く」「毎晩1時間副業に取り組む」「見込み顧客5人に連絡する」「試験範囲3ページ分の暗記カードを作る」など。これらは時間さえあれば誰にでも達成可能な目標である。とりあえず質は気にせず、ただ決められた量をこなせばいい
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今回も、読み応えのある内容でした。
ちょっと視点が変わりますが、なぜ著者がベストセラー作家になったのか、わかる気がする一冊でした。
著者は、「謝辞」でこう書いています。
<本を書くプロセスは「何を書きたいか」よりも「何が書かれたがっているのか」を探っていく作業に近い>
その言葉通り、本書は時代や読者に求められて書かれた一冊だと思いました。
ぜひ、読んでみてください。
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『アメリカ最高峰大学の人気講義』
ソール・パールマッター、ジョン・キャンベル、ロバート・マクーン・著 花塚恵・訳 日経BP
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◆目次◆
プロローグ この不完全すぎる人生
第1週 自分の有限性を受けとめる
第2週 不完全に行動を起こす
第3週 握った手をゆるめる
第4週 人生は今ここにある
エピローグ 不完全なままで歩きだす
謝辞
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