【人と組織が上手く行く「三角形の法則」とは?】
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本日ご紹介する一冊は、人が幸せになり、生産性が上がる「三角形の法則」を紹介した、画期的組織論。
著者は、好著『データの見えざる手』で知られる、株式会社ハピネスプラネットCEO、株式会社日立製作所フェローの矢野和男さんです。
『データの見えざる手』
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著者のチームは、独自開発したセンサを使い、組織内で働く人の「物理データ」を収集。人と人との接触とその関係性に関するデータを収集し、驚くべき結論に至りました。
それが、まえがきに書かれた以下の発見です。
<集団の構造として「三角形」が多く形成されているかどうか。何度解析を繰り返しても、データは「三角形の多い集団は幸せで生産的になりやすい」と示し続けました。一方で、「V字」構造が多い集団は、分断や不調和に陥りやすい。それは組織や社会に広く見られる現象でした>
都市の人間関係や、高度に合理化された組織の人間関係は、ここで言う「V字」の関係を生み出しやすい。
つまり、Aさん、Bさん(ハブ)、Cさんがいて、BさんはAさんともCさんともつながっているが、AさんとCさんはつながっていないという関係性です。
これに対して、三角形、トリニティな関係というのは、AさんとBさんとCさんがすべて相互にコミュニケーションできる関係性。
この関係性が多い職場は、以下のような傾向を示したというのです。
<三角形が多いトリニティな職場は、働き手の幸福度が上がるだけでなく、生産性も有意に上がる>
なぜかというと、人間は三角形の関係性の中にいると、仲間に囲まれて安心、安全を感じられるから。
そして組織内に三角形が多くなれば、知り合いのその先に知り合いが増え、問題解決能力が高くなるからです。
この発見に至った過程もエキサイティングなのですが、これにより生じた、組織の課題もまた面白い。
以下の著者の指摘を読み、「今すぐ組織を変えたい」「評価のやり方を変えたい」と思う人はきっと多いのではないでしょうか。
<多くの組織では、個人の評価(人事考課)を行います。しかし、関係性に関する評価が行われたということは聞いたことがありません>
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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集団の構造として「三角形」が多く形成されているかどうか。何度解析を繰り返しても、データは「三角形の多い集団は幸せで生産的になりやすい」と示し続けました。一方で、「V字」構造が多い集団は、分断や不調和に陥りやすい。それは組織や社会に広く見られる現象でした
孤立感を生んでいたのは、人間関係のつながりのV字構造だった
V字の3者関係は「用事」の関係
V字は分割・板挟みを生む
私たちは複雑な業務や課題を階層的に分割し、より小さな単位にすることで、一つ一つの問題を小さくしてきました。それは、問題を小さな問題に分割できれば、組織のメンバーがそれらの小さな問題単位に取り組むことにより、組織全体では大きな問題を解決できると期待するからです。この論理的分割により、組織図のつながりはトップから平社員まで、すべてがV字型のつながりで構成されることになります
水と氷と水蒸気は、いずれもH2Oという水分子から構成されています。したがって、構成する要素(分子)はまったく同じです。しかし、ご存知のように、3者(水、氷、水蒸気)はまったく異なる特性を示します。この原因は、水分子と水分子との間の相互作用や関係性の違いに由来しています。相互作用が3者で変わることで、氷と水と水蒸気というまったく異なる特性を示すようになるのです。この例からわかるように、物質の特性を決める主役は、構成要素間の相互作用にあったのです。このようは背景知識を持っていた私は、人の集団を理解しようとする際に、人を分子に対応させ、集団を物質に対応させるアナロジーで考えました。その結果、人の集団を理解しようとするときには、人と人との相互作用や関係性が大事だろうと、つねづね考えていました
多くの組織では、個人の評価(人事考課)を行います。しかし、関係性に関する評価が行われたということは聞いたことがありません
三角形の中にいるということは、仲間に囲まれていることを意味します
三角形が多いトリニティな職場は、働き手の幸福度が上がるだけでなく、生産性も有意に上がる
三角形、すなわちトリニティが豊かになれば、知り合いのその先に知り合いが増え、問題解決能力が高くなる
動的な「スパイラル」こそが人生の幸せ
現在ある身近なV字に気づいて三角形にする
V字になっている3人に、互いに知恵を出して協力しないと答えが出ないような仕事を与える
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革命的に面白い理論だと思いました。
行政が優秀な公務員で成り立っているのに、問題解決力が低いのは、ひょっとしたら偉すぎる分、関係性がV字になっていて、本当に問題解決できる有能な人に辿り着かないからかもしれませんね。
V字の関係性は、現在、日本で起こっているあらゆる不協和の根源じゃないかとまで思いました。
トリニティな組織作りに取り組みたい方は、ぜひ、読んでみてください。
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『トリニティ組織』矢野和男・著 草思社
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◆目次◆
まえがき
第1章 孤立社会は誰がつくったのか?
第2章 幸せに法則性はあるのか?
第3章 身体の動きは何を物語っているのか?
第4章 「よい人間関係」とは何なのか?
第5章 「トリニティ」とは何なのか?
第6章 幸せと生産性は共存できるのか?
第7章 私たちはどうすれば幸せになれるのか?
第8章 どうやってトリニティをつくるのか?
第9章 格差社会はどこからはじまったのか?
第10章 GDPからGDTへ
あとがき
参考文献
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