2025年7月14日

『もうけの仕組み ビジネスモデル大図鑑』 会社四季報業界地図編集部・編 井上達彦・監修 vol.6761

【上場404社をビジネスモデル分析】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492534849

以前、『財務3表だけではつかめないビジネスモデルを視る技術』という、とんでもなく面白い財務分析本を紹介したのですが、覚えてらっしゃいますでしょうか。

『財務3表だけではつかめないビジネスモデルを視る技術』
村上茂久・著 ソシム
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4802614691

この本で明らかになったのは、たとえ業界が一緒であっても、ビジネスモデルが違えば利益率が大きく変わるということ。

いや、厳密に言えば、利益率だけでなく、キャッシュフローや営業、業務までが大きく変わってしまい、経営そのものが変わってしまうのです。

本日ご紹介する一冊は、上場企業404社を、ビジネスモデルの視点から分析した、『会社四季報 業界地図』のビジネスモデル版。

どの企業がどのビジネスモデルを採用しているか、同じビジネスモデルを採用している企業にはどんなものがあるか、ゆえに財務がどうなっているか、大図鑑としてまとめた、実に興味深い一冊です。

会社四季報業界地図編集部が編集しているので、データが豊富で、企業の最新状況がアップデートできる。

おまけにビジネスモデルまで学べるという、ありがたい本です。

本書を読めば、ビジネスモデルによって収益体質が大きく異なることがよくわかる。

以下のように、計9つのビジネスモデルが紹介されていますが、高収益体質の「補完財プラットフォームモデル」(任天堂、ソニーグループなど)と「合算モデル」(ウエルシアHD、イオンなど)を比べると、平均年収で400万円近い差が出ることがわかります。

営業利益率で見た場合、合算モデルのトップはオリエンタルランドの26.7%、一方、補完財プラットフォームモデルのトップは任天堂で31.6%、継続モデルのトップはインテグラルでなんと78.1%です。

ビジネスモデルがいかに重要か、わかる気がしますね。

1 製造販売モデル
2 流通小売モデル
3 合算モデル
4 継続モデル
5 フリーミアムモデル
6 設置ベースモデル
7 広告モデル
8 マッチングモデル
9 補完財プラットフォームモデル

もちろん、企業によっては複数のビジネスモデルを組み合わせていることも
あるので、そこもわかりやすく表示。

投資家、ビジネスパーソンがその企業の収益モデルや将来性を理解するのに役立つ、貴重な情報源だと思います。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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アスクル
ユニークなのは、自社の営業所を設ける代わりに、全国の文具店などを販売担当(エージェント)として、販売システムに組み込んだ点です。エージェントは、アスクルに業務代行費を払うことで、仕入れや在庫管理、配送などの業務をすることなく、顧客の新規開拓や商品代金の請求・回収など、顧客サポートを行います。このように、各機能を得意なプレーヤーに集約し、豊富な商品ラインナップを短時間・低コストで顧客に届けるという仕組みの構築に成功しました

合算モデルのポイントは、低価格なフック商品と、利益率の高い商品の合わせ売りにあります。ドラッグストア最大手、ウエルシアHDの事例を見てみましょう。ドラッグストアという名の業態ですが、売上高の構成比を見ると、実は食品の割合が22.6%ともっとも高くなっています。ただ、粗利に占める食品の割合は14.1%に留まり、医薬品の25.5%や化粧品の17.1%を下回ります

日本マクドナルドHDの稼ぎ方を見ると、こうした料理の提供よりも、実は継続モデルであるフランチャイズ(FC)事業で稼いでいることがわかります(中略)マクドナルドの国内店舗数2982店のうち、自社で運営しているのは東京など大都市圏を中心に約3割の878店、残りの2104店がFC店舗です

kubell(クベル)が提供するチャットワークは、無料プランと2つの有料プランを展開する典型的なフリーミアムモデルです。全体の登録ID数が2024年度時点で約740万なのに対し、有料プランを契約している課金ID数は約80万となっています

設置ベースモデルは、フックとなる製品を提供し、その後で保守サービスや消耗品を提供するというビジネスモデル

上場企業でも、屈指の営業利益率50.1%をたたき出すのが、中古車オークションを手がけるユー・エス・エス(USS)です。中古車オークションは、中古車の出品や売買の成約、落札の手数料で稼ぐビジネスモデルで、典型的なマッチングモデル

対象企業数が少ないのは、補完財プラットフォームモデルを構築するのが難しいということを意味しています

継続モデルの営業利益率ベスト10
1 インテグラル 78.1%
2 日本取引所グループ 57.2%
3 オービックビジネスコンサルタント 44.7%
4 ユーザーローカル 44.2%
5 Arent 42.1%
6 中外製薬 39.5%
7 ANYCOLOR 38.6%
8 デジタルアーツ 38.5%
9 松井証券 37.7%
10 ベイカレント 36.4%

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第4章「ランキングで見る 9つのビジネスモデルの実力」と、巻末特集「上場404社のビジネスモデルを独自分析」を見れば、どの企業が将来有望な投資先か、自ずと見えてくると思います。

また、起業家にとっては、これから会社を立ち上げる際、どんなビジネスモデルを採用すれば有利かがわかり、大変有用な内容だと思います。

投資家、起業家はぜひ、読んでみてください。

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『もうけの仕組み ビジネスモデル大図鑑』
会社四季報業界地図編集部・編 井上達彦・監修 東洋経済新報社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492534849

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0F28J865X

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◆目次◆

はじめに
監修者メッセージ
第1章 取引の図解の基本 ビジネスモデルを理解しよう!
第2章 事例で学ぶもうけの仕組み 9つの基本パターンを理解しよう!
第3章 注目企業の強さの源泉 ビジネスモデルの組み合わせに注目!
第4章 ランキングで見る 9つのビジネスモデルの実力
巻末特集 上場404社のビジネスモデルを独自分析! 9つのモデルのどれに該当?

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