【世界を席巻する物語を作るには】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296002252
本日ご紹介する一冊は、韓国でドラマ歴30年の人気脚本家が、Netflixなどで大人気の韓国式ストーリーの作り方を紹介した一冊。
著者は、「このドラマの前後で韓国ドラマ史は分けられる」といわれるドラマ「勝手にしやがれ」(2002)で百想芸術大賞、韓国放送大賞、韓国放送プロデューサー賞など、名だたる賞を受賞した、パク・ソンス氏。
「おいしいプロポーズ」(2001)、「No Limit 地面にヘディング」(2009)などの演出も担当しています。
本書がビジネス書と呼べるかは微妙ですが、刺激に慣れた現代人の心を揺さぶる方法を知っておくことは、きっとビジネスにもプラスに働くと思います。
著者は、今どきのストーリーを作るにあたって、伝統的な「三幕構成」ではテンポが遅すぎると否定し、代わって9つのストーリービートとエンディング灯台を置くことを推奨しています。
ストーリービートの配置の方法やオープニングの作成方法20個、エンディング灯台の6つの種類、セリフの書き方、主人公のキャラクター作りなど、詳しく書かれており、ストーリーを作りたい方、自社のコンテンツマーケティングにストーリー要素を入れたい人には、有用な内容だと思います。
■オープニングの作成方法20個 ※一部紹介
1 強烈なビジュアル
2 ミステリー
3 緊張感のある対立
4 激しい感情の瞬間
5 ユーモア
6 アクション
7 主人公の魅力的な特徴
8 時間の流れに逆らう
10 印象的なセリフ
12 秘密
14 予想もしていなかった転換
17 哲学的な問いまたは命題
20 感情的なセリフまたは独白
有名ドラマ、映画の例を引きながら説明しているので、単なる概論で終わっていないところも魅力だと思います。
脚本家として食っていきたい人には、具体的なキャリアのアドバイスや、脚本を書く際のポイント、ストーリーものを書けるようになるための注意点が紹介されているので、しっかり読み込んでおくといいと思います。
390ページに及ぶ厚い本ですが、面白くてボリュームがまったく気になりませんでした。
韓国ドラマ好きの人が読んでも、面白い本かもしれませんね。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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センスのある人は五感が敏感だ。人が見もしないものを見て、聞き逃している音を聞く。特別で、抜きんでた観察力の持ち主だ
センスのある作家にとって、ただの緑色なんでない。エメラルド、ライム、翡翠、ミント、黄緑、うす緑、ケリーグリーン、青磁、ピスタチオなど、その微妙な色味の違いを正確に表現する。自分だけのセンスで、人生の美しさを追究する
ヒューマニズムは、脚本の大衆性を確保するためのひとつめの要素だ。大衆は感動に飢えている
人が人の隣にいる姿を描くだけでも癒しとやすらぎを与えてくれるのが、ドラマのヒューマニズムなのだ
非常に珍しい人間を見つけることから始めよう
作家は創造者として、「自分だけの人間観を持つべき」
主人公は「カーニバル性」を持つべき(中略)カーニバル性とは、主人公みずからが祭りの主役になり、本能、潜在意識、よろこびや悲しみのエネルギー、夢、欲望、自由などが噴出する瞬間のことをいう
最初に登場したときとエンディングで、主人公の性格は変わっているべきだ。主人公の性格が変わらないストーリーはほとんどが単調でつまらない
主人公が危機に直面したとき、恋に落ちたり失恋したとき、変化の兆しが見えはじめる。危機から脱しようとするときに、人は自分を変化させたり隠れていた能力を呼び起こしたりするからだ
主人公の「決心」がストーリーの流れをつくる
「主人公には宝くじに当選するチャンスがある」のような潜在的な力が前半で提示されていないと、ドラマの後半で劇的に問題を解決するときになって、不自然で作為的に感じられるのだ
主人公がパイロットであれば、パイロットになるまでの教育訓練課程、航空会社のシステムや勤務形態などを調査し取材する必要があるだろう
不安な個人はモバイルコンテンツを楽しみ、ひとりで刺激を受け、癒しを得る
私はしばしば、俳優にセリフと反対の演技をするようにディレクションをした。その効果が大きいので、俳優も驚いていた。憤怒の状況で感情を隠し、少し笑みを浮かべて話したり、歓喜の瞬間に喜びを表さずに、できるだけ堂々とセリフを言いながら、目が涙で潤んでいるという具合にだ
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本格的にストーリーの作り方を知りたい方には、本当に役に立つ本だと思います。
指導経験豊富な方なので、新人脚本家がつまずくポイントも、しっかり押さえられています。
ビジネス書の著者や編集者が読んでも勉強になる一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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『韓国式ストーリーのつくりかた』
パク・ソンス・著 松原佳澄・訳 日経BP
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296002252
<Kindleで購入する>
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◆目次◆
PART1 基礎編 ストーリーよりもまずキャラクター
Chapter1 作家になるために必要なのは、生まれつきの才能?
Chapter2 作家でビューへの道--新人賞でパスする
Chapter3 すべてのはじまり--コンセプトを決める
Chapter4 主人公のキャラクターをどうつくるか
Chapter5 ストーリーの設計図、シノプシスをつくる
PART2 実践編 刺激に慣れた現代人の心を動かすには「9つ」の山場
Chapter6 ストーリーを構成するには--9つのストーリービートとエンディング灯台
Chapter7 シリーズものの企画と構成--専業作家でずっとやっていける力をつけよう
Chapter8 セリフを書く
Chapter9 地の文を書く
Chapter10 何を準備したら、ストーリーが書けるのか
Chapter11 修正する
PART3 挑戦編 メガヒットを完成させるのは時代
Chapter12 チームで共同作業をする
Chapter13 韓国ドラマはなぜ世界に進出できたのか
Chapter14 新人作家の作業環境とは
エピローグ 出航、冒険の始まり!
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