【「江戸のメディア王」のビジネス視点】
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本日ご紹介する一冊は、NHK大河ドラマ「べらぼう」で注目の「江戸のメディア王」、蔦屋重三郎のビジネス視点を取り上げた、コンパクトな一冊。
著者の車浮代さんは、時代小説家、江戸料理文化研究家で、蔦屋重三郎関連の本をいくつか出している人物です。
本書では、ヒットを出す蔦屋重三郎のプロデューサーとしての視点、商売人としてのビジネス視点、戦略家・人たらしとしての視点が紹介されており、どうすればゼロから成り上がれるか、ヒントが書かれています。
出版や作品作りでヒットを出したい人、起業して成功したい人は、ぜひ読んでおくといいでしょう。
ヒットを出すプロデューサーの視点としては、以下が役に立つと思います。
・ほんの少しずらした視点で見る
・二番煎じでヒットにする
・闇の世界に光を当てる
・「普通ならありえないこと」を企め
ビジネス視点としては、低コストで売上を上げた以下の考え方が参考になると思います。
・歌手やお茶屋の看板娘など、普通の仕事をしている女性たちをモデルにして美人画を売り出した
・さまざまなバージョンで、「少しずつ構図を変えたもの」を描かせた
また、以下のブランディング戦略も参考になるでしょう。
・「蔦屋耕書堂から出ている本を読めば『通』になれる」というイメージをつくり上げた
シンプルに「べらぼう」の副読本として読んでも面白い。
以前ご紹介した、『蔦屋重三郎と田沼時代の謎』と併せて読めば、さらに理解が深まると思います。
『蔦屋重三郎と田沼時代の謎』安藤優一郎・著 PHP研究所
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さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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誰でも光り輝く才能をどこかに秘めており、それを見抜く力のあった人物に出会えば、人生が大きく変わるチャンスに恵まれるのだ
「自分の得意」を、ただひたすらアピールするのだ。それがチャンスをつかむコツである
ほんの少しずらした視点で見る
二番煎じでヒットにする
闇の世界に光を当てる
今度は、歌手やお茶屋の看板娘など、普通の仕事をしている女性たちをモデルにして美人画を売り出した。そしてヒット作をさらに量産する
人を売り出すためには、タイミングを見ることも重要
「普通ならありえないこと」を企め
夢を追う人を支える
蔦重はあえて遊女をそのまま描かず、それぞれ異なる個性を、花にたとえて表現したのだ
何より蔦重は、大衆のニーズをよくわかっていた。彼らは別に難しい知識など求めていないし、壮大な文学作品を求めているわけでもない。それよりももっと手軽に、短い時間で簡単に楽しめる娯楽がほしいのだ
反骨心のある発信をする
どんな人をも公平な目で見る
同業者とともに繁栄する
寛政の改革の頃、喜多川歌麿が描いた「当時三美人」という美人画がある。いまでいう、アイドルや人気女優の「ポスター」のようなものだ。人気だったこの絵を、蔦重はさまざまなバージョンで、「少しずつ構図を変えたもの」を歌麿に描かせている
リスクに備え、先行投資する
「狂歌師」という文化集団に自分も身を置き、「狂歌連」とというサークルを自ら主宰した。しかも吉原での宴会接待付きである
プロデューサーは、あくまで他の人間を売り出す仕事。自分が主役になってしまってはいけない。己は脇役に徹する。だから彼の周りには、才能ある人間が集まったのだろう
時代の先を読み、仕事を選ぶ
「蔦屋耕書堂から出ている本を読めば『通』になれる」というイメージをつくり上げたことは、蔦重の成功要因の一つであった
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蔦屋重三郎に関する本はたくさん出ていますが、こんなにコンパクトに、商売成功の秘訣をまとめた本はなかったと思います。
クイックで成功の秘訣を学びたい人に、ぜひお勧めしたい一冊です。
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『蔦屋重三郎の慧眼』車浮代・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン
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◆目次◆
I 慧眼
II 商売
III 人間関係
IV 生き様
V 色と通
VI 時代
VII 超訳 蔦屋重三郎の言葉
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