【モンベル創業者による人生哲学】
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本日ご紹介する一冊は、株式会社モンベル創業者、代表取締役会長兼CEO、辰野勇さんによる人生哲学。
2020年11月に刊行された単行本『自然に生きる力 24時間の自然を満喫する』を加筆修正・再編集・改題し、新書化したものです。
著者は、少年時代、ハインリッヒ・ハラーのアイガー北壁登攀記(とうはんき)『白い蜘蛛』に感銘を受け、登山家となった人物。
1969年にはアイガー北壁日本人第二登(当時世界最年少)を達成し、その後、70年に日本初のクライミングスクールを開校、75年には登山用品メーカーのモンベルを設立しています。
本書では、登山家としても経営者としても成功した著者が、山登りと経営、そして人生を論じた一冊。
後悔しない人生を歩むための心構え、リスクの取り方、経営理念と商品開発ポリシー、著者がこれまで、どんな考えで人生を歩んできたのか、そのベースがわかる一冊です。
「必要なものは何ひとつ忘れてはならない。しかし不要なものは何ひとつ持って行ってはならない」
「Light & Fast」
「Function is Beauty」
上の1つは登山の原則、下の2つはモンベルのコンセプトですが、いずれも経営に当てはまる言葉。
ムダのない、筋肉質で美しい経営をするために有用な考え方だと思います。
モンベルの代表的レインウェア「ストームクルーザー」がどんな設計思想で作られているのか語られた部分を読んで、「なるほど」と思いました。(独自の裁断方法で縫製箇所を減らし、防水性と軽さを実現している)
著者と交流のあった開高健氏の名言なども紹介されており、良い人生を歩むためのヒントに満ち溢れた一冊です。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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私が卒業した小学校では、学校行事の一環として、雪の積もった金剛山で耐寒登山を行っていました。長靴に荒縄を巻いて、山頂まで2時間ほどの雪道を登るのです。事故のないように、子どもたちは前もって校医の検査を受けます。検査の結果、私は連れて行ってもらえないことになりました。体が弱かったからです。金剛山に登れないとわかったときのショックは、とても大きなものでした
「勉強ができなくても、スポーツができなくても、俺には山がある」
想像力は人類の進化を促しました。しかし、想像力を持ったからこそ置き去りにしてきたものがあります。それは、「『今』を生きようとする姿勢」です
「ゴリラにも記憶があります。ですが言語を持たないため、過去の記憶を再現できません」(霊長類学者・人類学者 山極壽一氏)
行動中にあまり使用しないもの、軽くてかさばるものを一番下に、重いものを真ん中に、よく使うものや小物を一番上に入れるのが、パッキングの基本
モンベルのものづくりは、「何が売れるか」ではなく、「何が必要か」「何がほしいか」からスタートしています
モンベルの社員は同時に消費者でもあります。したがって、商品開発へのアイデアにユーザーとしての意見が入る
無駄な切り返し線をなくしたり、ポケットの位置や形状を検討したりし、機能を突き詰めていくと、シンプルなデザインにたどり着く。そのシンプルさこそが「美しさ」
「想像を頭の中に留めておくだけではもったいない。想像を具現化したほうが人生の彩りは増える」(開高健氏)
「可能性があるからやる」、とにかく「最初の一歩」を踏み出してみる。そして可能性の精度をあとから努力して高めていけばいい
1975年、28歳で「モンベル」を創業して、将来の事業計画をイメージしたとき、「会社を存続させるには、社員の平均年齢を若く保つために常に若者を迎え入れなければならない。社員が高齢化すると固定費が増えるだけでなく、会社の活力が失われ競争力が落ちる」と考えました
私は何度も、太陽に助けられました。厳しい状況に追い込まれ、生死の境に立たされながら、それでも私の心が折れなかったのは、「耐えて待てば、必ず日が昇る」、そして「日が昇れば、新たな希望が生まれる」ということがわかっていたからです
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本書のオビには、こんな言葉が書かれています。
「1800メートルの岩壁を登るという作業も、現実は『1メートル登る』ことを連続するだけの行為」
人生で壁にぶち当たった時、ひも解きたい一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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『自然に生きる』辰野勇・著 KADOKAWA
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◆目次◆
はじめに
第1章 24時間の自然を満喫する
第2章 不要なものは何ひとつ持たない
第3章 山には文学がある
第4章 ただ「一歩先」へ
第5章 「なんとかなる」
第6章 「好き」を仕事にする
第7章 アウトドア義援隊
おわりに
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