2025年4月11日

『カスハラの正体』関根眞一・著 vol.6698

【カスハラ対策に。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121508408

この4月1日から、カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」を防ぐための全国初の条例が東京都や群馬県、北海道などで施行されました。

カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)※東京都
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/plan/kasuharashishin0612.pdf

本日ご紹介する一冊は、このカスタマー・ハラスメント防止条例に対応し、かつてのベストセラー『となりのクレーマー』を大幅加筆修正したもの。

買い物袋の有料化、新札導入後の話を含む最新事例も盛り込まれています。

著者は、西武百貨店のお客様相談室を担当し、数々のクレームを解決してきた、大ベテランの関根眞一氏。

クレーム対応アドバイザーとして独立してからも、3000件の難解苦情を処理してきた、この分野のプロ中のプロです。

本書では、そんな著者が過去に経験した、クレーム解決の劇的エピソードを複数紹介。

そこから得た学びや、クレーム対応の鉄則をまとめています。

婚約用のペアリングの件でヒステリックになった女性、「言った言わない」のクレームで金を引き出そうとする67歳の男性、宝飾品売り場で怒鳴るヤクザ、書籍売り場で女性社員を泣かせる30代男性、接客のまずさに気分を損ねてしまった常連客の女性、不可解な壊れ方をしたキャリーケースを「交換しろ」と要求する苦情客…。

いまどきの若い人なら即・会社を辞めるレベルのクレーム、カスハラ案件が登場し、著者がどう解決したか、会話付きで紹介されています。

どうやって相手にボロを出させるか、会話のどういうところに注意しなければならないか、細かいところが丁寧に書かれており、良い勉強になると思います。

読者が接客仕事やカスタマーサポートを担当しているならもちろん、マネジメントをしている場合でも、知っておいて損はない内容だと思います。

理不尽なクレームで現場の貴重な戦力を失わないよう、マネジャーが率先して読むといいでしょう。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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クレーマーは男性が圧倒的に多く、女性は珍しいもの

トラブルの発生原因に、「言った」「言わない」があります

カスハラを終わらせるためにお金を出す、というのはやってはいけないこと

正体不明の輩が出て来たときは、必ず二人で行くというのが鉄則

こちらに落ち度のないときは、どんなに怖くても相手の目を見て、毅然として対応するのが、この手の相手への最高の威圧になる

質問されたときに慌てて返事をしない

預かり証のないものを預かるな。また、ダイヤモンドなど貴重なものを置いたまま離席させるな

名前を連呼する行為は、相手の気持ちを萎えさせます。「ところで、お叱りにはどんな理由が存在したのですか。今井様」と、姓を繰り返します

真実のみで話をしろ

お客様の大事にしたいところを常に見抜く

きっと分かっていただけると思いながら、お話をすすめる

彼女が言うことには、販売員の態度と言葉遣いで傷ついた。こちらとの接客中に、販売員の知り合いが来店したら、そちらの接客を始めたというもの

恐喝のために怒鳴っているのならば、「静かに話してください」と冷静に言う

仮に、「以前来たときは、小袋は無料でしたよ」と言われたとします。「失礼しました。小袋は無料と有料がございます。贈答には有料袋が使われることが多いようです」と言った場合、顧客には嫌味に聞こえるでしょう。あとの言葉が蛇足です。もう一度、返事をしてみましょう。「以前来たときは、小袋は無料でしたよ」「失礼いたしました。小袋は無料と有料がございますが、大切なご贈答には有料袋をお勧めしています」と言えばどうでしょう。その贈られる先の方との関係も知らずに、私を貧乏人扱いした、と感じ、攻めが始まる可能性があります

人は、個人情報を知られるとなると、悪意があるときほど弱くなります。しかし、悪い人は住まいも名前も電話番号も嘘を書く可能性があります。それを防ぐためには、「ご記入ありがとうございます。申しわけございません。今その携帯電話にかけてよろしいでしょうか」と聞くだけでOKです

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前著も面白かったですが、この改訂版も面白い内容に仕上がっています。

今では実行が難しい解決策も含まれていますが、お客様に真摯に向き合う、相手の話をよく聞くという姿勢は、いつの時代も変わらず、大切だと思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『カスハラの正体』関根眞一・著 中央公論新社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121508408

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◆目次◆

序 章 マックス・ウェーバーとキッシンジャーを唸らせた『実利論』
第1章 古代インドと『実利論』の誕生
第2章 国家統治で追求すべきは「実利」
第3章 マンダラ外交の真髄
第4章 インテリジェンス・ウォーを勝ち抜くために
第5章 カウティリヤの兵法--『孫子』との比較から
第6章 『実利論』から見る近現代インドの外交と政治
終 章 『実利論』から日本は何を学べるか
あとがきと謝

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