2025年2月4日

『日本の国家予算 260兆円の使いかた』 三菱UFJリサーチ&コンサルティング・編 vol.6653

【教養として知っておきたい】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309631827

本日ご紹介する一冊は、東洋経済新報社から出され、好評を博した『図解 国家予算のしくみ』の著者らが、同書をベースに、最新情報をアップデートした新書。

ちょうど現在、新年度予算案の年度内成立に向けて、協議がなされている状況ですが、本書では、国家予算がどんな規模、スケジュールでどう決まるのか、その中身はどうなっているのか、その詳細を解説しています。

われわれの血税がどのように使われているのか、チェックする意味で読んでも面白いですが、個人的には、ビジネスパーソンの教養として、面白い内容だと思います。

ビジネスのロジックではなかなかわからない世界ですが、本書を読めば、国家公務員がどんな考え方をしているのか、何に関心があるのか、どのように意思決定するのか、おぼろげながら見えてきます。

巷で議論されている通り、老人に金がかかって、未来に投資できていない状況は、国家予算から明白。

これから日本をどうしていくか、議論する際のベースになる情報で、知っておけば、会食の場でもインタビューの場でもX(Twitter)上の議論でも役立つと思いました。

また、どんな業種・業界がどこの管轄下にあって、どんなことを気にしているのかがわかる内容なので、異業種の人と話を合わせるのにも使える内容だと思います。

そもそもお役所言葉自体わかりにくいものですが、本書は、それを感じさせないくらい平易に解説してくれています。

自分が何かの分野で起業する際、どの省庁がどんな支援をしてくれる可能性があるのか、あたりをつける意味でも読んでおきたい一冊です。

ビジネスパーソンの教養書として、ぜひ読んでみてください。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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手始めに、2024年度当初予算を主要経費別に見てみよう。まず一般会計総額112.6兆円のうち、借金の返済に相当する「国債費」が24.0%、地方公共団体へ移転される「地方交付税交付金」が14.8%を占めるため、これらを除いた国の政策に充てられる「一般歳出(国が支払うお金のこと)」は、予算総額の60%ほどしかない

一般歳出の中で最大なのは、「社会保障関係費」であり、一般会計予算全体の33.5%を占める。次いで、「防衛関係費」が7.0%、「公共事業関係費」が5.4%の順となっている

現在の日本では、予算編成上、「社会保障関係費」の膨張や「国債費」が他の政策の予算を圧迫している状況にある。たとえばこの間、「文教及び科学振興費」の割合が、緩やかではあるが一貫して低下し続けていることは、日本の科学技術立国としての屋台骨を揺るがしつつある

「概算要求基準」が閣議了解されると、各省庁は、財務省に対して来年度の予算要求を8月末日までに行う(これを「概算要求」という)

各省庁内の予算は、まず「所管」省庁内の「組織」ごとに分類される。経済産業省「所管」なら、経済産業本省、産業保安監督官署、資源エネルギー庁、中小企業庁の4つの「組織」の予算に分類される

では政府は、予算をどのように使って政策を実施しているのだろうか。予算書では、予算の使い道が、大きく7項目に分類されている。これらの使い道には1~6と9というコードが振られている
1 人件費
2 旅費
3 物件費
4 施設費
5 補助費・委託費
6 他会計へ繰入
9 その他

公共事業関係費を使途別分類で見てみると、50.3%が補助費・委託費、44.8%が施設費となっており、この2つの使途で95%以上を占めている

経済協力費の省庁別の内訳を見ると、外務省が3789億円と全体の75.2%

2000年までの主要食糧関係費では2000億円台で推移していた。食料安定供給関係費となってからは対象とする領域が拡大したため、6000億円を上回る水準で推移しており、2010年には1.1兆円と初めて1兆円を上回った

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ひたすら「○○関係費」、「○○特別会計」の内訳を説明する、ある意味読むのに根気が要る本ですが、丹念に読めば、日本の会計のどこが不透明なのか、どこに問題があるのか、よくわかる内容です。

ビジネス目線から見ても、どこにどんな予算があるのか、ビジネス的にどう活用できるのか、ヒントになる一冊だと思います。

ぜひ読んでみてください。

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『日本の国家予算 260兆円の使いかた』
三菱UFJリサーチ&コンサルティング・編 河出書房新社

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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309631827

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◆目次◆

巻頭言
第1部 総論
第2部 一般会計
第3部 特別会計
第4部 政府関係機関
第5部 独立行政法人

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