【集団心理を理解して、チームを成功に導くには?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296002228
人間は、集団になると賢くもなり、愚かにもなる。
政治家や芸能人のスキャンダルを引き合いに出すまでもなく、「集団心理」が間違った行動につながる可能性があることは、誰もがうっすらと気づいていることだと思います。
本日ご紹介する一冊は、社会心理学、産業・組織心理学、集団力学を専門とする、福岡大学人文学部の准教授が、集団心理を理解し、チームをワークさせるためのヒントをまとめた一冊。
人間が集団になると、どんなエラーを起こすのか、それを防ぐには何が有効なのか、科学的な見地から、アドバイスを示した、興味深い内容です。
著者は、1章でこんなことを述べています。
<むしろ「腐ったリンゴ」が複数現れるなら、リンゴを入れている「カゴ」、つまりメンバーが入っている集団の方に腐らせる原因があるのかもしれません。私たちは「カゴ」の方から改善を試みることが必要です。さらには「カゴ」次第で「有能なリンゴ」の活躍をさらに高めることもできるかもしれません>
では、どんな「カゴ」が腐ったリンゴを生むのか、本書では、<集団浅慮の3つの「兆候」>というのが紹介されています。
「兆候」は、以下の3つです。
1.集団の過大評価
2.精神的閉鎖性
3.意見の斉一化
また、こういう組織では、<「和を乱すなよ」と集団を守る人が現れる>ということも、指摘されています。
なんか、どこかで聞いたような話ですね(笑)。
本書では、こうした集団の負の側面を指摘しつつ、それが起こらないためにどうすればいいか、具体的なヒントが示されています。
チームを成功に導きたいリーダー、マネジャーは、ぜひ読んでみてください。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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・人間の性格は変えにくいが、状況は変えられる
・状況を変えれば、行動を変えていける
集団づくりにおける4つのキーポイント
・協力
・受容
・信頼
・コミットメント
集団浅慮を引き起こす鍵
(1)異論を許さない負の凝集性
(2)閉鎖的なリーダーの存在
(3)ストレスの高い状況
「少し自分の意見を言ってみた」→「受け入れてもらえた」という小さな成功体験を一歩ずつ積み重ねていくことで、少しずつ建設的に異論を議論できるような空気が醸成されていきます
ブレスト自体は効果的だが、1人でのブレストをあとから集めた方が、集団で話し合いながらブレストするよりも質も量も高い
集団サイズが大きいほど、人の意見に耳を傾ける時間が増えたり、意見を言いにくかったりなど、集団が持つネガティブな影響が出やすくなります
「王様は裸だと叫ぶ子ども」も組織には必要
2人によるチェックが最も効果的であり、3人以上のチェックでは2人のときよりもかえって精度が低下する
社会的手抜きを抑制するには集団と課題へのコミットを強める
課題が本人にとって高い価値を持っているときには、社会的手抜きが生じにくい
目標を設定することは集団で生じる社会的手抜きを抑制する効果がある
メンバーが自分の属する集団自体を重要なものとみなすことも、欠かせない
一人ひとりの成果が「見える化」されていれば、社会的手抜きは抑制される
リーダーは「奉仕者」かつ「安全基地」を目指しましょう
優れたチームでは、ミスが隠されずにきちんと報告されている
心理的安全性の高い職場では、意見を戦わせるほど成果があがる
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図とカラー、的確な比喩を使っていて、じつに読みやすい内容です。
チームワークやマネジメントの本って、つい退屈になりがちですが、本書は、じつに興味深く読めました。
ぜひ、読んでみてください。
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『だけどチームがワークしない』縄田健悟・著 日経BP
<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆
はじめに
1章 組織は「集団」だからうまくいかない
第1部 負の“集団心理”
2章 賢い人々でも集団になると愚かな決断をする
3章 話し合いがうまくいかないワケ
4章 集団の空気に縛られる私たち
5章 集団ではまじめなあの人もついサボる
第2部 優れたチームを目指して
6章 「烏合の衆」をチームに変える
7章 身につけるべきリーダーのふるまいとは
8章 メンバーの衝突にどう向き合うか
第3部 チームが直面する現代ならではの課題
9章 「ものを言える空気」がチームの基盤
10章 ダイバーシティ時代のチームづくり
11章 テレワークは効率が悪い……のか?
おわりに
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